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計量の意味微小な距離 だけ離れた 2 点を考える。
一方の点の位置をデカルト座標で と表したとすると、
もう一方の点は と表せるだろう。
このとき、 、 、 の間には次の関係が成り立っている。
もしもこの 2 点をデカルト座標以外の別の座標
なぜなら、
大切なのはこの 4 つの係数
ちゃんと並べ方に規則があることに気をつけてもらいたい。 察しがついているかも知れないが、この少し後でしっかり定義しよう。 これを先ほどのデカルト座標の場合の (1) 式に当てはめれば、
と表せることになる。 この単位行列みたいなのがデカルト座標の計量である。
ところで先ほどの (2) 式の第 2 項と第 3 項は一つにまとめられるのでは
ないかと気付いたかも知れないが、
項をまとめずにわざわざこのように分けて書いたのには訳がある。
と書けて、さらに
のように
と書くだけでいいことになる。
そこらの教科書では
「無限小線素
先ほど計量を書き並べる時の規則を説明するのを飛ばしたが、ここまで来れば説明は簡単だ。
実例さあ、ここまでの内容を実例を使って確認しておこう。 デカルト座標から極座標への変換を考える。
座標の微小変化は次のような変換規則を持つのであった。
これを今回の場合について計算してやれば、
である。
ここで
であるから、係数だけを取り出して並べれば、
となる。
これが極座標の計量である。
これを見ると計量というのは場所によって値が変化するものだということが分かる。
これは微小な偏角
計量はテンソルだ大変面白いことに、計量は 2 階の共変テンソルの変換則に従うのである。 計量の成分 の添え字を二つとも下側に書いてあるのはこのための伏線だったのだ。
なぜこれが共変テンソルであるのか分かるだろうか?
簡単だ。
先ほどのこの式を思い出してもらいたい。
無限小線素 それで計量のことを「計量テンソル」と呼んだりもする。 親切に書いておくと、計量の成分は
のような変換を受けるということだ。 さあ、この変換則は使えるぞ!
反変・共変の変換ここに、ある反変ベクトル があったとしよう。
つまり、
という変換を受けるということだ。
ここで添え字として
この式の右辺の変形を見ていこう。
2 番目の偏微分と 3 番目の偏微分の
となるのが分かるだろうか?
この変形が成り立つことはちゃんと展開して考えるべきである。
さらにこの 2 番目の偏微分は
となる。
この結果から何が分かるだろうか?
計量テンソルは反変ベクトルを共変ベクトルに変換する道具として使えるということだ。
ここまで来れば、逆に共変ベクトルを反変ベクトルに変換するような量も存在するのではないか、
という興味が湧いてくることだろう。
確かにある。
簡単な話だ。
すぐ上の式は行列計算のルールと同じであることに注目しよう。
これは行列
これが求めていたものだ。 つまり計量テンソルの逆行列を共変ベクトルに掛けてやれば反変ベクトルになるのである。 この「計量テンソルの逆行列」は 2 階の反変テンソルだが、 ややこしいことにこれも「計量テンソル」と呼ばれる資格がある。 なぜなら、こんな方法があるなら反変だろうが共変だろうが自由に変換できるわけで、 すでに反変か共変かなんて区別は大した意味を持っていないからである。
図形的意味この変換法を使えば、共変ベクトルのように変換する座標を作ることが出来る。 それは一体どのような座標だろうか? 抽象的なものだと思っているだろうか。 いやいや、それは絵に書いて見せることが出来るほど具体的で簡単である。
斜交座標を例に取って説明しよう。
その座標上に、あるベクトル
つまり、
しかしこれとは違った方法でベクトル
つまり、 デカルト座標を使っている限りにおいてはこれら 2 つの方法のどちらを使おうとも 全く違いはなかった。 デカルト座標の計量テンソルが単位行列になっているのは 反変と共変に違いがないことを表しているのだ。
我々が反変ベクトル的な座標を愛用しているのには訳がある。
ベクトル
と書き表すことが出来るという利点があるからだ。 平行四辺形を作ってベクトルの合成、分解を行う方法を 中学の頃から練習させられて来たと思うが、 まさにその表現がそのまま使える状況になっているわけだ。
では共変ベクトル的な座標を使う利点は無いのだろうか。
無いことは無い。
共変的な座標
つまり、ベクトル このように二通りの座標の決め方が存在することについて、 人間にとって使いやすいかどうかという基準だけで一方を無視するわけにも行くまい。 これらは表裏の関係で存在しており、 実際、こうして理論上無視できない所にまで顔を出してきてしまっている。
補足反変ベクトルを共変ベクトルに変換するのにわざわざ計量テンソル を使わなくても
2 階の共変テンソルなら何でもいいんじゃないかと思うかもしれないが、実はその通りである。
しかし今見たように、デカルト座標では反変と共変に違いがないのであった。
よってデカルト座標で「単位行列」になるような共変テンソルを使うのが
もっとも自然であり、ちょうどそれが計量テンソルだというわけだ。
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