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全エネルギーの計算速度分布を導き出した元々の動機は、 容器の中の粒子群の全エネルギーを計算したいが為だった。
とりあえずは単一種類の粒子群について考えよう。
質量がどれも同じだから扱いが簡単だ。
容器全体で合計
だと計算できる。
これに個々の粒子の運動エネルギーである
この計算の途中で、
という公式を使ったが、 これは例によって別のページに説明しておいた。 さて、ここまでの結果から・・・うーん、特に大した事は分からないなぁ。 でもこれが少し後の方で役に立つのである。
圧力の正体次に気体の圧力を分子運動論で説明してみよう。 気体の圧力というのは、多数の粒子が容器の壁を叩きつけることで生じているのだと考える。 これらの粒子をちゃんと容器の中に収まっているように抑えつけておく為には、 それらの一つ一つが飛んで来るたびに跳ね返さないといけない。 その為に必要な単位面積あたりの力が圧力だという理屈だ。
気体を詰めた容器の内壁には、一体どれくらいの粒子が当たっているのだろう。
議論を分かり易くするため、容器は直方体だとしておこう。
この中には、単一種類の理想気体が合計
まずは容器の
速度
ここまでの話で
では、この領域内には粒子は幾つくらいあるだろうか。
容器の全体積を
要するに、
と表されるということである。 何だかややこしい式になってきたなぁ。
ところで、この壁にぶつかった一つの粒子は、
速度の
この微小面積を叩く全ての粒子が受ける運動量変化の合計というのは、
(1) 式に
やれやれ、すっきりした形に落ち着いて一安心だ。
さて、力というのは運動量の時間変化率のことだから、
この結果を
ここまでは
良く見ると、この式には圧力
いや、それを調べる前にちょっと待てよ。 今回の最初の方で、次のような関係があるのを導き出したのだった。
右辺には共通する部分があり過ぎる。 つまりこれは、次のような関係があることを意味するのではないだろうか。
これは理想気体についてだけ成り立つ式で、 「ベルヌーイの関係式」と呼ばれている。 流体力学にもベルヌーイの式というのが出て来るが別物なので注意しよう。 一応、両方とも同一人物による業績ではある。 ベルヌーイは気体分子運動論の先駆者でもあったのだ。 この関係式は熱力学からは導けない式であり、気体の分子運動論によってのみ導かれるのである。 ベルヌーイはマクスウェルより 1 世紀前の人であり、 彼の時代にはまだマクスウェル分布というものは知られていなかった。 ではベルヌーイはどうやってこの関係を導き出したかと言うと、 分子運動の平均速度という概念を使って、 「厳密ではないが多分正しいだろう」と思える推論をしたわけだ。 私はそれよりは、もう少しだけ正確な議論をしたかったので、 歴史の順序を無視してマクスウェル分布から説明したのである。
定数 b の正体では熱力学との繋がりを見るとしよう。 熱力学によれば、理想気体には次のような状態方程式が成り立つのだった。
これは
その結果、次の関係があることが分かる。
よっしゃあッ!!
これで今までずっと謎だった定数
これを「ボルツマン定数」と呼ぶ。 これを使えば先ほどの式は少しだけすっきりして、
と表せることが分かる。 めでたい事なので、この結果を代入した形のマクスウェル分布の式を、ここに紹介し直しておこう。 まず、「速度分布」は、
であり、「速さの分布」は、
である。 これらを使えば色々と物理的考察をして遊べそうだが、それは次回にまわしてゆっくり楽しむ事にしよう。 その前に、一つだけ補足しておきたい事がある。
ボルツマン定数ボルツマン定数というのは、気体定数をアボガドロ数で割っただけの値である。 単純に見れば、ただそれだけのことに思えるだろう。 物理学者はわざわざそんなものを導入するほど、化学を敵対視しているというのだろうか。 いや、そうじゃない。 この定数にはそれ以上の物理的な意味が隠されている事がこれから徐々に明らかになるのである。
ボルツマン定数
モル数 上で出てきたベルヌーイの関係式を使えば、
という関係が見出せて、どうやら
温度が上がるほど、それに比例してエネルギーが上がる。 へぇ、なるほど。 まぁ、確かにそんな気がする。 熱力学でも、理想気体の温度は内部エネルギーのみによって決まる、という議論があった。 この他に、粒子数が増えるほどエネルギーが上がる、ということも読み取れる。 いや、この表現にはちょっと違和感があるかな。 エネルギーは他から貰わないといけないから、 ただ粒子を増やしただけで勝手に増えるようなものじゃない。 だから、こう言った方がいいだろう。 エネルギーが一定なら、粒子が増えるほど温度が下がる、という感じだ。
では、この 3/2 という数字は何なのだろう?
この先でやることを少しだけつまみ食いしておくと、
どうやら、一定のエネルギーを分かち合って安定している集団というのは、
なぜか 1 自由度あたり、平均して
それなら
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