十六夜清心
2004年1月 歌舞伎座

今回の「花街模様薊色縫(さともようあざみのいろぬい)」は
小袖曾我薊色縫(こそでそがあざみのいろぬい)」の一部で
心中の場面が中心になっている。
通称「十六夜清心(いざよいせいしん)」
義太夫狂言の面白さを十分に味わえる河竹黙阿弥の傑作。
のびた坊主頭、裸足に草履、やつれたナリの清心には、
三千両強奪の嫌疑がかけられてもいたのだが、
その実は、遊女・十六夜と馴染んだ女犯(にょぼん)の罪
とうとう鎌倉極楽寺追放!のエピソードをもっている。
はてさて清心十六夜
稲瀬川に入水して心中を・・・したんだけどね、
なにせ清心には水練の心得がしっかりあって、死にきれない。
だったら入水なんてすんなよ!とツッコミ入れてたら、
今度は通りすがりの若衆の金を取って、はずみとはいえ殺しちまう!
で、「しかし、待てよ・・・」と居直っちゃうのよね〜。
も〜も〜(*^_^*)
新ちゃんに「色悪」は当たりすぎ!でしょ。
気弱なときの清心にはおかしみを含み、強気のときはギラン!と輝く
まったく新ちゃんったら、にくい男だねぇ。
清心はこの後「鬼薊(おにあざみ)の清吉」になっていくんだけど
もっと観たいよ〜、ワルの新ちゃん!

清心/市川新之助、 十六夜/中村時蔵、 恋塚求女(若衆)/中村梅枝
ほかのみなさん



高 坏
<たかつき>
高坏(食物や盃をのせたりする足付きの台)を
買うように言いつけられた次郎冠者が、騙されて高下駄を買い、
酒に酔って下駄タップしちゃう舞踊劇。
能舞台をまねた「松羽目(まつばめ)物」かと思いきや、
1933(昭和8)年初演の、まったくの歌舞伎オリジナル作品
当時流行っていたタップダンスを取り入れて
六代目尾上菊五郎が演じ、現在は勘九郎さんの当り芸
そういえば
北野武監督の「座頭市」でも、下駄タップが登場し好評のよう。
あれは戦国時代の庶民の風流おどり
そのストリートダンサー達から抜け出た阿国(おくに)から
現在の歌舞伎へ四百年
日本人の色、音、リズム、感性は変わらないってことね。

「松羽目物」は好き。基本的に能狂言を手本にしているので、
みんな「笑顔」で「楽しい」「笑える」のである。
人を笑わせる表情や技も必要で、笑わせる踊りも必要だ。
新ちゃんと勘九郎さん、舞台での会話は初めてなんだって。
初競演とは思えない、結構イケてるお笑いコンビだ。
新ちゃんは向いていると思うんだけど、
まさか太郎冠者・次郎冠者になるなんてこと・・・ないんだろうな〜。
笑顔の新ちゃんも当然ステキ!是非やってほしい!

高足売/市川新之助、 次郎冠者/中村勘九郎、 ほかのみなさん




仮名手本忠臣蔵 九段目山科閑居
<かなでほんちゅうしんぐら/やましなかんきょ>
先月八段目が上演されていた・・・で、その続き。
大星の山科閑居に加古川の娘・小浪が母・戸無瀬と訪ねて来る。
小浪は大星嫡男・力弥の許婚、嫁入りを望むのだが
加古川本蔵がかつて松の廊下で、塩冶判官を抱き止め
その本意を遂げさせなかったことから
「その娘を嫁にすることはできない」と縁組みを断っちゃう。
きゃぁ〜(#^.^#)
久々の、そして最後の新ちゃん菊ちゃんだ。
しかも新ちゃんは凛々しい前髪、菊ちゃんは当り役のお嬢ちゃま。
二人の会話や見せ場がないとは、残念ながら
玉三郎さんと菊ちゃんの母娘とは、ステキ過ぎでしょ
え〜!新ちゃん、團パパ刺しちゃうの〜? (*_*)
とってもゴージャスで複雑なキャスティングも面白い。

大星力弥/市川新之助、 加古川小浪/尾上菊之助
加古川本蔵/市川團十郎、 加古川戸無瀬/坂東玉三郎
大星由良之助/松本幸四郎、 大星お石/中村勘九郎、 ほかのみなさん




京鹿子娘二人道成寺
<きょうかのこむすめににんどうじょうじ>
紀州道成寺の安珍・清姫(あんちん・きよひめ)伝説
能「道成寺」を元にした全十四段の一部。
さて、1月の舞台をもっとも沸かせたのがこの二人道成寺。
艶やかな衣装の数々、小道具も多く
引抜(ひきぬき=一瞬にして着物が替わる早業)も見どころながら
妖艶な玉三郎姉さんと誠実な妹・菊ちゃんの
二人花子という珍しいシンクロナイズド・ダンシング!
良かった好かった、会場中のだれもが大絶賛!
今しかできない、この二人だからできる「二人花子」です。
本当に、良いものをみせていただきました。

白拍子花子/尾上菊之助、 白拍子花子/坂東玉三郎、 ほかのみなさん


覚えちゃおう!

色悪名台詞
いろあく めいぜりふ

知らざァ言って聞かせやしょう
白波五人男の最年少、美少年・弁天小僧が
美しい武家娘から、片肌脱いで盗人の本性をさらす・・・
よっ!待ってました!
こ〜ゆ〜色男の悪人を「色悪」(いろあく)という。

いかにも傾(かぶ)いた洒落七五調がたまらない!
そんな、粋で鯔背(いなせ)な歌舞伎の台詞をお勉強その1。
海老蔵襲名のお楽しみ「」等の成田屋名台詞は、
次回に取っておくとして(*^-^*)、
今回は、久しぶりのご両人(新ちゃん菊ちゃん)を記念して?
新之助として最後の歌舞伎舞台「清心」、
海老蔵襲名狂言から「切られ与三」、
菊之助の「弁天小僧」と、
超かっこいい「色悪」の三本立てです!

「小袖曾我薊色縫/清心」
(こそでそがあざみのいろぬい/せいしん)
しかし、待てよ。今日十六夜が身を投げたも、
またこの若衆の金を取り殺したことを知ったのは、
お月様とおればかり。
人間わずか50年、首尾よくいって10年か20年が関の山、
襤褸(つづれ)を纏(まと)う身の上でも
金さえあれば出来る楽しみ、
同じことならあのように騒いで暮らすが人の徳、
一人殺すも千人殺すも、取られる首はたった一つ、
とても悪事を仕出かしたからは、
これから夜盗家尻切(やとうやじりき)り、
人の物はわが物と栄耀栄華(えいようえいが)をするのが徳、
こいつァめったに死なれぬわェ。
「与話情浮名横櫛/与三郎」
(よはなさけうきなのよこぐし/よさぶろう)
御新造(ごしんぞう)さんへ、おかみさんへ、お富さんへ、
いやさお富、久しぶりだなァ。
(お富:そういうお前は。)与三郎だ。
(お富:ええ。)おぬし、おれを見忘れたか。
(お富:ええ。)
しがねェ恋の情(なさけ)が仇(あだ)、命の綱(つな)の切れたのを、
どう取りとめてか木更津(きさらづ)から、
めぐる月日も三年越(みとせご)し、江戸の親にやァ勘当受け、
拠所(よんどころ)なく鎌倉の、
谷七郷(やつしちごう)は喰い詰めても、
(つら)に受けたる看板の、疵(きず)がもっけの幸いに、
切られ与三(よそう)と異名(いみょう)をとり、
押借(おしが)り強請(ゆす)りも習おうより、
慣れた時代の源氏店(げんじだな)
その白化(しらばけ)か黒塀(くろべい)の、
格子造(こうしづく)りの囲い者、
死んだと思ったお富たァ、お釈迦(しゃか)さまでも気がつくめェ、
よくまァ、おぬしァ、達者(たっしゃ)でいたなァ。
安やい、これじゃぁ一分(いちぶ)じゃァ、帰られめェ。
「青砥稿花紅彩画・浜松屋/弁天小僧」
(あおとぞうしはなのにしきえ/べんてんこぞう)
知らざァ言って聞かせやしょう。
浜の真砂(まさご)と五右衛門(ごえもん)
歌に残せし盗人(ぬすっと)の種は尽きねェ七里(しちり)ヶ浜、
その白波(しらなみ)の夜働(よばたら)き、
以前を言やァ江の島で、年季勤めの稚児ヶ淵(ちごがふち)
百味講(ひゃくみ)で散らす蒔銭(まきせん)を、
(あて)に小皿の一文子(いちもんご)
百が二百と賽銭(さいせん)の、くすね銭せェだんだんに、
悪事はのぼる上(かみ)の宮、
岩本院(いわもといん)で講中(こうじゅう)の、
枕探(まくらさが)しも度重(たびかさな)り、
お手長講(てながこう)の札付(ふだつ)きに、とうとう島を追い出され、
それから若衆(わかしゅ)の美人局(つつもたせ)
ここや彼処(かしこ)の寺嶋(てらじま)で、
小耳(こみみ)に聞いた音羽屋(おとわや)の、
似ぬ声色(こわいろ)で小ゆすりかたり、
名さえ由縁(ゆかり)
弁天小僧菊之助(べんてんこぞうきくのすけ)たァ、おれがことだ。

寺嶋、音羽屋・・・(*^-^*)・・・実際に尾上菊之助のために作られた台詞です。
もちろん本人は襲名時等で上演しているようですが、
私はまだ聞いたことないし・・・(v_v)
聞きた〜い!観た〜い!憧れの弁天小僧です。


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