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ランボー

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 いや、自分でもわかってます。今さら「ランボー」とはなんぞや、と。だがちょっと待てそうやってツッコンだ人およびツッコミそうになった人。おそらく、君たちが指摘しているのは「ランボー2」だ。と思うぞ。俺が言ってるのは「ランボー」だ。まあ、私がこれからしようとしている話にとってはどうでもいいことなのですが。

 筋肉ムキムキですぐ裸になって一人でベトナム戦争起こしたりとか、ソ連のヘリを弓矢で撃ち落としたりとかしてしまうどう猛なランボーですが、一人だけどうも頭の上がらない人がいる。グリーンベレー時代の上官トラウトマン大佐である。
 トラウトマン。
 改めて書いてみたが、以前からどうも変な名前だなあ、と思っていたのである。変な名前だと思いませんか。トラウトマンですよ。と、こないだの朝、出勤前のウンコしながら自分に問うてみた。私は朝の立ち上がりがすごく遅いので、自分でも何考えているか分からないときが多い。
 いーですかあなたトラウトマンだ。トラウトって直訳したら「鱒」ですよ。魚の。つーことはトラウトマンって「鱒男」って名前だ。そんな名前のやつにあのランボーが頭上がらん、ってなんか感覚的にピンとこないことないですか?だいたい見た目のヘナヘナエリート大佐っぽいし、ってちょっと待て−。今、俺は重大なメッセージを見落としてないか。
「トラウトマン」→「鱒男」→「マスオ」
 ああそうか僕の中でモヤモヤとしていたトラウトマン大佐の秘密はこれだったのか俺ってスゲー、と思って妻にさっそく報告したら、
「あんたいつもそんなことばっかし考えてんの」
と言われてしまった。どうやら俺ってあんましすごくないようである。
 しかし、ランボーもマスオに頭が上がらないとは。私はランボーに教えてやりたい。やつは嫁さんの実家で暮らしていて、やつはどっちかというと嫁さんのシリに敷かれぎみだぞ、と。嫁さんの父の晩酌につきあわされて、熱燗でほっぺたちょっと赤くしながら「そーですよねー、お父さん」とか言って気を使っているのだぞ、と。挙げ句の果てには小学生の義弟にもちょっとナメられかけているのだぞ、と。でも、お前の前では偉そうにしているのだ、とランボーに教えてやりたい。ランボーはどうするだろう。取りあえず上半身裸になるだろうか。そして、弓矢を持ってトラウトマン大佐の家を偵察に行くだろうか。
 例えば、逆のパターンで考えてみよう。眼鏡かけたマスオさんがベレー帽かぶって偉そうにしているのである。「ランボー、ここはベトナムじゃない」とか。ここで問題が生じる。マスオさんの前には、ランボーがいなければならないのだが、それは長谷川町子タッチでないといけないのだ。私が想像するのは「ランボー」の最後のシーン。現実と戦争との境目がわからなくなってトラウトマン大佐の前で子供のように泣きじゃくるランボー、という画なのだが、ベレー帽かぶって背筋のばして目をつぶって腰に手をあてて毅然としているマスオさんの前で泣きじゃくっている逞しい男は何回考えても「押し売りにくる鼻のでかい泥棒ヒゲを生やした歯並びの悪い男」なのである。おっかさーん、と言いながらワンワン泣いている。なんだそりゃ。

 トラウトマン大佐。あなどれない。

(2001/07/02)


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