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クリムゾンタイド

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 潜水艦内絶対君主制を貫くジーン・ハックマンの完全に自信に満ちた態度がとにかくかっこいいのである。ふつう、絶対君主制を好む軍人の上官(この場合は艦長か)ってのは、キャラクター的に悪者と決まっているのである。正義の主人公の邪魔ばっかしして、最後は自分が間違っていたことを思い知らされてもっと偉い人にガツンと怒られるか、自分の頭の悪さのせいで死んでしまうかして、観客の溜飲を下げるのがいいところなのに、ジーン・ハックマンの演じる艦長はその領域を超越してしまって、すごいなあ、と思うのである。
 例えば、マイクを通じて全艦内に命令を出すシーン。デンゼル・ワシントンの真面目な副艦長が命令をすると、
「私はこうしたいと思っているので、みんなにそういう風に動いてほしい」
というニュアンスが感じられて、まあ、それは非好戦的なキャラクターのせいかも知れないが、それに対してジーン・ハックマンの艦長が命令すると、ちょっとそれはどうだろうというような命令でも当たり前のように聞こえて、それは艦長はその命令を当然のことと信じているからであって、また、それが、艦員がこの命令を実行できないはずがない、と信じているとも言えるような態度であり、絶対君主制であってもそういう態度が艦員を引っ張っていくんだろうな、と思わせてしまう。まさしく理屈はいらんのである。いいねえ。ここまでカッチリした男が出てくる映画もなかなか少ないよね。
 でも、だからと言ってデンゼル・ワシントンは迫力ないのかというとそうでもなくて、ジーン・ハックマンと、相手の意見を自分の声の大きさで消そうとしながらお互いの主張を怒鳴りあうシーンなんかは、思わず笑ってしまうくらいに迫力あった。
 こういう映画って、宣伝もどうしても地味やし、話も本編一本勝負だから盛り沢山な感じもしないし、似たような感じのつまらない映画はたくさんあるしで、なかなか当たりを引くのは難しいが、たまに見つけるとすごくうれしい。

 でも、結局のところ、これだけの緊張感を生み出した原因は通信機の調子が悪かったからなんやな。何事も手入れを怠ると大変なことになる、ということでしょうか。


(2001/07/02)


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