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赤ちゃん泥棒

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 コーエン兄弟の撮る映画はとにかくみんなが誉めるんである。でも、あえて正直に言わせてもらうと、「ファーゴ」は面白いけどなんだか変な間の映画だし、「ミラーズ・クロッシング」は話ややこしすぎて頭からバネが出そうになるし、カンヌのグランプリを取った「バートン・フィンク」に至っては、全然わからないのである。俺のレベルが低いの?
 そんな中で、「赤ちゃん泥棒」は笑ってればいいだけだからコーエン兄弟の映画としてはわかりやすい、ということになるのかも知れない。わかんないところは笑ってればいい。

 さて、赤ちゃんはかわいい。
 これは、あれもが認めるところである。こっちむいて、ニコッと笑われたら、もうアレである。その昔、ビートたけしが、
「子供はずりーよなー。笑顔一発だもんなー」
と言っているのを聞いたことがあって、さすがにビートたけしも子供の笑顔には負けるのか、と変に納得してしまったくらいに、というか、それ以上に赤ちゃんはかわいい。確かにかわいい。
 でもね、それは通りがかりに見て触って笑ってもらっている範囲の話である。この映画の主人公のお兄ちゃんもそうなんである。マイハニーと二人で赤ちゃんかわいいね欲しいね、って言ってても、赤ちゃん手に入れた途端にマイハニーはお母ちゃんになってしまって、予防注射生命保険教育費食費服にオムツにあれもこれもで、それが全部いっぺんに自分の肩に乗っかってきて、マイハニー改めお母ちゃんは育児に夢中でアレやれコレやれと不満タラタラで、そういうのも全部コミでそれが愛する家族の重みというもので、ニコラス・ケイジはどないしたらそんな寝癖になんねん、という髪の先っちょ震わせて呼吸困難でフラフラになりながらわけわからなくなって紙オムツを強盗したりするわけだ。
 赤ちゃんを育てる、ということを真剣に考えると、頭の中いっぱいになってちょっとフラフラするのがふつうで、だから、ニコラス・ケイジのリアクションは普通だ、と私は思うのだけれど、世間ではデキチャッタ結婚っていうんですか、そういうのも普通のことになってきているみたいですね。


(2001/07/02)


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