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マークスの山
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この映画の中で、中井貴一演じる刑事が強引な捜査を展開して、他の刑事の反感を買い、囲まれるシーンがある。囲まれたことに中井貴一が気がつくと同時に、中井貴一の両隣りに立った刑事が左右の腕を固め、正面の刑事がみぞおちに二発入れる。「調子に乗るなよ」という捨て台詞を聞きながら、地面に崩れ落ちて悶絶する中井貴一。 それとは別に、萩原聖人が小林稔司に鉄パイプでめった打ちにされるシーンがある。追い込まれて開き直った小林稔司が萩原聖人を罠にはめて鉄パイプで殴りまくる。萩原聖人は手で顔をガードして、殴られながらヒイヒイ言って走って逃げる。追う小林稔司。さらに殴る。歩いたり、転がったりして逃げる萩原聖人をえんえんと小林稔司が殴り続ける。見ていてあくびが出るくらいに長々と殴り続ける。それでも何とか立ち上がる萩原聖人。 別に、人間が殴られると本当はこういうふうになるのだから、ここに書いたシーンはおかしい、とかいうつもりはないです。映画というのは、必ずしも現実に即していないから見ていて楽しいのであって、現実には成り立たないような暴力シーンもストーリー上必要であったり、また、画として必要であれば、あってもいいと思います。拳銃で後頭部殴ったら血も出ずに一発で相手が気絶する、とか。そうやって、あっさりと通り過ぎておかないと全体の流れが途切れてしまってテンポが悪くなるなら、それも必要でしょう。そういう都合のいいことが普通に起きてしまうのが映画の世界です。そんなもんにいちいちツッコミ入れてたら映画なんか観てられまへん。 でも、やっぱりそれにも限度とか、観ている方の納得とかあると思います。上記の2つのシーンは、この点に関して全く配慮がされていませんね。前者の方は、何者にも屈することなく自分の信じる捜査を展開する男というキャラクターにしてはヘナチョコ過ぎです。完全に主人公に対する感情移入が疎外されてしまいます。ただのイチビリやんけ、こいつ。さらに、後者の方は、観ている途中で嫌悪感すら感じるくらいにヘンテコリンです。普通死ぬって、そこまで殴ったら。 必要に応じて現実にはなかなかあり得ないことが普通にできてしまうのが映画の世界であり、そこで私は夢を見させてもらっているわけですが、それを観ている間に気付かれているようでは、ましてや、それをあからさまに見せるようなシーンがあったのでは、夢から覚めてしまいます。夢から覚めたら、そこから続きの夢は見れないですね。そのシーン以外がどんなにすばらしくても(この映画は他のところも全部つまらなかったが)、そのシーンがあったというだけで、やっぱりあまり面白くない映画ってことになるんでしょうね。 (2001/07/02) |