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ディープ・インパクト

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 映画やテレビなどを見て泣くことは安っぽいことだと思うようになったのはいつ頃からだろう。と、たまに考える。今では、映画やテレビのふとした一瞬のシーンを捕らえて、それだけでお腹いっぱい胸いっぱい私のオメメは涙でいっぱい涙腺全開しゃくりあげ寸前30男となってしまった私である。
 そんな私にとって、この映画はある意味暴力的と言えるほどに心の奥底の涙の泉をかき乱すのだった。
 息子を引き止めることなく送りだす父。
 迫り繰る津波に覚悟を決め抱き締めあう夫婦。
 自分が助かる権利を友達の母子に押し付ける女の人。
 見えなくなった目を隠したまま、妻と子にさよならを告げるパイロット。
 それぞれのシーンで力の限りに泣かしていただくワタクシ。泣いても泣いても尽きることのない涙。これだけ泣くと、なんだか疲れるぞー。映画観終わった後はなんだか適度なスポーツをした後のような爽快な気分になってしまうくらいに泣いた。涙は心の汗だ、とどこかの青春さんが言っていたがそーいう意味か。一汗かいて気分爽快か。
 この映画を観てこんなに泣いてしまうのは僕だけだろうか、と妻に聞いてみたら、妻も息ができないくらいに泣きながら観ていたらしい。我々夫婦は、今後、もし、またこの映画を観ることがあったら、そのときもクタクタになるくらいに泣くだろう。その次に観たときも泣くだろう。泣くまい、と決心してても泣くだろう。
 そんな私に、映画を観て泣きたいのだが何か良い映画はないものだろうか、とタイムリーに聞いてきた会社の先輩がいたのである。この先輩は、飛行機の中でたまたま観た「タイタニック」でボロボロ泣いてしまって自分でビックリした、という人なので、あまり参考にならないかも知れないが、実験である。「ディープ・インパクト」を強力にプッシュしておいた。
 その次の週末に、先輩は律儀に「ディープ・インパクト」を観たのである。感想は、「ずるい」というものであった。あんな映画観たら泣くに決まっているじゃないか、と。映画開始30分後からずっと泣きっぱなし(時折声を上げて)だったそうである。非常に疲れた、ということだった。いかに泣きやすいとはいえ、四捨五入すると40にもなろうという男の人が嗚咽を漏らしながら号泣してしまうのである。
 この映画の宣伝には「感動の」とかいう言葉は一言もなかった。下手をすればCGだけが売りのパニック映画と受け取られても仕方のないような宣伝だった。にも関わらずこのポテンシャルである。
 観る人は手元にティッシュをおいて、心して観るべきである。
 私は映画館に行くのにハンカチ忘れて服の袖で涙を拭い続けたのであった。

(2001/07/02)


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