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ヤングガン
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ここ十年かそこらの間に映画を好きになった私のような者にとって、西部劇とは昔大流行りした映画の1ジャンルであり、それはその他の過去の名作と同様に、そのうち勉強というかウンチクたれるための基礎知識としてツタヤで借りて観ておかなければならない映画、という認識であった。だいたい、最近の傾向として西部劇といえる映画は数年に一本しか現れない。私の会社の大先輩、つまり昔大流行りした西部劇をリアルタイムで押さえていた人は、ここ最近の西部劇の少なさに嘆いておられる。というか、西部劇のようであれば何でもよくなっていて、間違って「ポストマン」観てしまったり、今度久しぶりに西部劇の映画があるよな、と言っていたのでよく聞いてみたら「ワイルドワイルドウエスト」だったので、内容を説明して事前に引き止めたり、と、西部劇が好きな方々には辛い時代なのかも知れない。それとも、日本には入ってこないだけで、アメリカではB級西部劇みたいなものが細々と展開されているのか。アメリカ人のお年寄り達が今の西部劇の本数で満足しているとは思えないが、あれか、同じ映画を何回も観ているのか。 というわけで、私にとっては「ヤングガン」が初めての西部劇であった。今となってはこれもけっこう古い映画となってしまった。その次の西部劇は「ヤングガン2」だった。このことからもお分かりのように、私は「ヤングガン」を面白い、と思った。バイクに乗ってキャンプしながらウロウロする、という趣味を持つ私にとっては、馬に乗って荒野をパカパカしつつ、たき火を囲んでチリビーンズの缶詰めを食い、毛布にくるまって寝る、というそのスタイル自体が興味の対象となった。西部劇に出てくるチリビーンズの缶詰めは、マンガにっぽん昔話で囲炉裏で暖められている鍋から椀に取り分けられるお粥のようなものと並び賞される、見た目がすごくうまそうに見える謎の食べ物、と言っていいだろう。私の友達は幼き頃母親に西部劇でみんなが食べているアレが食べたい、と訴えたらその日の晩飯がそら豆の煮物だった、という過去を持つ。私はちゃんとしたチリビーンズを妻に一回作ってもらった。確かにうまいが、思ったよりも汁気の多い食べ物だった。西部劇ではもっとコッテリした感じの物を食べていたような気がするのでレシピが違うのかも知れない。もちろん、荒野お馬パカパカキャンプ以外にも、古き良きアメリカという単純そうな時代背景、ならず者という現代にあてはまる立場がないキャラクター、イマイチしっくりこない善悪の基準、埃っぽくて暑いのか寒いのか良くわからないけど一回着てみたい衣装、細身のリボルバー、男の友情、といったスタイルが当時の私を刺激した。 刺激された私にとって西部劇とは、昔大流行りした1ジャンルではなくて宝の山のように思えた。私はツタヤに行き何本かの西部劇を観た。「荒野の七人」とか「明日に向かって撃て」とか。まあ過去の名作といってもいいとは思うが、これらを観た感想は、やはり西部劇は昔流行った1ジャンルだった、ということであった。どうやら、今と昔では映画の文法というか、そういうものも大きく変わってきているようなのである。文芸作品ならまだしも、アクションやエンターテインメントを求める映画である場合、スピード感や迫力やストーリーの意外性といった仕掛けの部分はどうしても負けてしまう。この頃観た西部劇で面白かったのは「ロングライダース」だけだった。どうやら、私にヒットしたのは「西部劇」ではなくて、「ヤングガン」そのものだったようである。 結局、私の中の西部劇ブームはあっという間にしぼんでしまって、大事に取っておいた「ワイルドバンチ」は未だに観ていないのであった。 (2001/07/02) |