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ミッドナイト・ラン

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 私の友人に、映画というものは「熱い男の友情」を描き出すために存在するのだ、といってはばからない男がいる。CG爆発派手派手エンターテインメント全盛の世の流れに対し、ストーリーがない、という良くわからない批判方法を大切に懐にしまいこんで悦に入っているよりは、彼のように単純明快な自分の嗜好をはっきりと認識しておく方が何倍もマシである。それに、私自身、彼ほどではないが、熱い男の友情に打ち震え、拳を握り、時に涙し、ガッツポーズで締めくくるというのは好きである。おそらくこの分野が嫌いな人はそんなにいないと思っている。実際にバディものという映画のジャンルすらある。
 熱き男の友情を求める彼は、それほど頻繁に映画およびビデオを観る方ではないが、時々無性に熱き男の友情に魅せられたくなるらしい。それが、仕事および私生活の好不調の波とシンクロする部分があるのかどうかは私は知らない。彼は突然そのような衝動に駆られ、ツタヤへと行き、熱き男の友情が溢れていそうなビデオを探す。そして、たまたま目に入ったビデオを観る。彼自身あまり映画を観ないので、観た観ていないにかかわらず、最近の映画の題名と内容をほとんど知らない。頼りになるのはビデオのパッケージと後ろの宣伝文句だけである。そんな彼がこないだ借りたのは「人の命を救う最前線で活躍する男達の人間ドラマ」とパッケージの後ろに書いてあったのかどうかは知らないが、「救命士」なのであった。彼は、怒りながらそのことを私に教えてくれた。「救命士」はマーティン・スコセッシがニューヨークを描いた物であり、彼の求めるスカッと爽やか男の友情、とは対極の位置にあるとも言える。私が、借りる前に一言聞いてくれたら「救命士」はやめとけ、と教えたのに、というと、彼は、じゃあ今日俺は何を借りればいい?と聞いてきた。
 バディものと呼ばれるジャンルが存在するほど多くの人に好まれる熱く爽やかな男の友情を描いた映画は、当然のことながらたくさんある。ところが、これは抜群だ、と言えるほどの映画をすぐに何本も思い出せないのである。すぐに思い浮かんだのはリーサルウエポンだが、彼が観ていないワケがない。渋いところを突いたつもりで私が推薦したのが「ミッドナイト・ラン」である。
 甘かった。彼はすでに観ていた。あの映画は最高だ、と言っていた。私もそう思う。とびきり熱いわけでもなく、突き抜けるほどスカッと爽快なわけではないが、この映画の中には理想的な男の友情の始まりとやりとりと終わりがキチンと入っている。あ、なんか久しぶりに観たくなってきた。

(2001/07/02)


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