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シュレック

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 映画におけるCGのすごさが声高に叫ばれるようになってけっこう長いが、フルCGアニメ、という分野はまだそんなにその歴史が長いとは言えない。そもそも、実写におけるCGの視覚効果の違和感みたいなものが、生理的なレベルでの嫌悪感(作り物に騙されまいとする観る側の意地とも言える)にも通じているような気がする昨今、CGを売りにするのはいっそのことフルCGの作品だけにしておいた方がいいのではないか、と以前から思っていた。確かに「シュレック」のCGは素晴らしい。ところが、私は「シュレック」を観た後で、以前の自分の考えが少々甘かった、と反省することになった。
 「シュレック」のCGは本当に素晴らしいと思う。映画自体も非常にシンプルで(原作が絵本らしいが、やっぱり映画の原作は絵本とか短編とかの方がしっくりくるなあ)、観ていて飽きない。こんな感じで気楽に見られて十分楽しい映画ってのがあったんだ、ということに気付かせてくれるような映画である。ちょっと馴染めない類いの趣味の悪いジョークがいくつかあるが。
 ところが、まるで実際に生きているかのようにいきいきと動くシュレックやドンキーやフィオナ姫の、その動きそのものに驚かされたかというと、そんなことはなかったのである。それよりも、時おり見られるぎこちなさに、
「やっぱり、何となく動きがおかしい場面がところどころにあるなあ」
と思ってしまうのである。そう、CGはもはやどんなことができても普通なのである。緑色の怪物が画面の中で飛び跳ねていても当たり前なのである。恐竜が動き回っても、無数のロボットが暴れ回っても、小さい緑色の老人が目にも止まらぬ速さで動き回っても、そんな程度では、もう私達は驚かない。
 映画におけるCGは新たな局面を向かえつつあるのだろう。一つは「マトリクス」のような、非常に奇抜なカメラワークやアクションを映像化するための手段として、もう一つはアニメーションの新技法として。
 「シュレック」でも、スタッフの一人が「フルCGアニメはかなり成熟されつつある分野だ」というようなことを言っている。コンピュータに関する全ての事柄がそうであるように、フルCGアニメも魔法の映像を生み出すとても高等な新技術、という高いポジションから、転げ落ちるように地上に舞い降りてくるだろう。「ドラエ○ん」や「サザ○さん」がフルCGアニメになることも10年も先のことではないような気がする。
 今はまだ、
監督:「ここんとこ、炎がこう、グワーッと盛り上がって、その中からドカーンとなるんだよ」
スタッフ:「監督、それはすごくむずかしいですよ」
監督:「え、そーなの?CGだったら簡単にできるんじゃないの?」
みたいなやりとりが聞こえてきそうな映画が多いが、CGがごく一般のツールとして地上に舞い降りてきた頃には、CGの限界と得手不得手をはっきり把握した気狂いのような天才が現れて、私達は想像すらもできないような映像を観ることになるだろう。
 そして、今のつたないCGで作られた映画は、チャチくてとても観てられなくなるんだろうな。

(2001/07/02)


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