movie
MATRIX RELOADED

top page


 現在我々が存在している場所が仮想現実である、という世界観と、なにがどうなってるんだかわかんないけど何かすごいかっこいいアクションシーンで、ちょっとした社会現象にまでなってしまった前作ですが、この映画を見ると、前作はあくまで序章に過ぎなかったことがよくわかる。一応三部作と言われているが、全体の構成としては、序章、前編、後編、といった感じでしょうか。続編が前の映画を越えられないのが普通ですが、さすがに本編は序章を超えるというかなんというか、大変面白い。
 話はややこしそうになりながらも映画にのめり込むのをさまたげない程度の難解さに留まっていて(何回も観ればさらに理解が深まるんだろうけど)、しかも隅から隅までかなりしっかり筋が通っているので、どんなに奇抜なアクションが繰り広げられてもしらけることは全くない。
 アクションシーンは前作に輪をかけて何がどうなっているかよくわかんないけどかっこいいんだな。オープニングではトリニティがビルの屋上からバイクでダイブした後に何だかヘンテコリンだけどかっこいい着地を決めて、おお、マトリクスが始まった、と実感できるし、ハイウェイでのカーチェイスでは、いろんな敵が入り乱れて誰がどこをどう走っていて今どうなっているかなんて全然わかんないし、ブレットタイムを上回る新しい映像テクノロジーがガンガン食い込んできて余計にわけのわかんないことになってしまうんだけど、トリニティは黒いドカティで顔色一つ変えずに対向車線を逆走するし、モーフィアスは日本刀片手にビシッと決めてくれるし、キーメーカーだってかっちりとしたタンデムライドを見せてくれて、みんなかっこいいんだ。衣装はちょっとやり過ぎのような気もするけど。
 というわけで、もしこれが実写でなくてアニメだったら「よくできたSFアニメ」とオタクの世界に埋没しかねないのを、実写でやってしかも全く破たんしていないから正当に高い評価を得ているマトリクスですが、この完璧といっていいような映画にも重大な欠点が一つだけある。
 キアヌ・リーブスはカンフーが下手なのである。こればっかりは最新の映像テクノロジーでもどうしようもないらしい。前作ではガンアクションの方が比重が高かったが、今回は、なぜか笑いがこみ上げてくる「ネオvsエージェント・スミス100人」に代表されるようなカンフーシーンがテンコ盛りなんですよ。近年の流行りとも新しいガンアクションの形とも言える「二丁拳銃近距離乱れ打ち」は、素晴らしくイカした立ち姿さえ決まれば良いので、ブレットタイムとの合わせ技でシビれるようなアクションシーンになるわけですが、マトリクスのもう一つの目玉である「ワイヤ−アクション+カンフー」は、昔から香港映画が熟成させてきた分野であって、我々はリー・リンチェイ(改めジェット・リー)の異常なまでに俊敏で正確なカンフーを観たことがある。無敵のヒーロー化したネオに求められるのはまさしくジェット・リーのカンフーであって、そうである以上、いかにハリウッド製のCGをもってしても、キアヌ・リーブスは絶対にジェット・リーには勝てないのである。となれば、それ以外は完璧に構築されたマトリクスの映像の中でキアヌ・リーブスが演じるネオのカンフーのみが際立ってチープに見えてしまうのも仕方がないと言えよう。少なくとも私には、カンフーするネオよりも、空を飛んでるネオの方がリアルに見えた。
 そんなこといっても、同じくカンフー素人であるキャリー・アン・モス演じるトリニティのカンフーアクションはかっこいい、という人も多数いるだろう。しかし、よく観るとわかるように、トリニティはそんなに長い時間カンフーをしないで、壁を走ったり、白鳥のように羽ばたいたりしているのである。そして、キャリー・アン・モスはスタイルがすごく良い。手足が長いと技が大きく見えるのである。
 ウオシャウスキー兄弟は、どう考えているのだろうか。ジェット・リーが「リーサル・ウエポン4」でハリウッドの現れたのは「マトリクス」よりも一年早い。その気があれば、ネオはジェット・リーでも良かったはずだ。「キス・オブ・ザ・ドラゴン」を見る限り、ジェット・リーの演技力も捨てたもんでもないような気がする。英語くらいは、なんとかなるだろう。どうなのか。
 あ、そーか。ジェット・リー、小さすぎるのか。キャリ−・アン・モスとラブシーンができないのか。
 じゃあ、あれだ。今回作ったという3DCGのキアヌ・リーブスをジェット・リーによるモーション・キャプチャーで動かすってのはどうだ。

(2001/07/02)


MOVIE MENU