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千と千尋の神隠し

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 世界の宮崎駿となったこの映画、日本でもものすごい観客を動員してましたが、私はいろいろあって劇場では見れなかった。とはいえ、以前から評判の高かった宮崎駿がどこかの由緒正しき映画祭で一等賞をもらって、過去にないくらいのたくさんの人が映画館に足を運んだというのである。今までの宮崎駿とは大きく違う映画だということを期待しないわけにはいかないだろう。
 しかし、どーでしょう。今までの宮崎駿と何か違うか?今までよりももっと踏み込んで宮崎駿のやりたい放題やってる以外は、そんなに違わないと思うのは私だけでしょうか。

 女の子が主人公だったり。
 ここではないどこかのファンタジーな世界が舞台だったり。
 出てくる人がみんないい人だったり。
 いろんなクリーチャーが出てきたり。
 ちいさくてかわいらしいキャラクターが必ずでてきたり。
 声優に何となく違和感があったり。

 確かに私が期待し過ぎた結果、このような感想になっているのかも知れない。でも、この映画が今までの宮崎駿と突出して違うのは、わかりにくさ、だけのような気がする。この映画は、観終わった後にとても多くのクエスチョンを残してくれる。

 なぜあの世界は人間が入れるのに出ていけない構造なのか。
 時間をかせぐためにハクがフッと吹き出す白いキラキラはなんなのか。
 父さんと母さんは湯婆婆にハメられて豚になったのか。
 千を人間臭いというリンをはじめとするあの世界の住人は人間じゃなければなんなのか。
 ゴロゴロ転がる3つの顔は湯婆婆のペットなのか。
 坊は湯婆婆の息子なのか。旦那がいるのか。
 有名な川の主を助けるとなぜ大儲けなのか。砂金がいっぱいあったからか。
 カオナシはなぜ突然あの場所に現れて大暴れしたのか。
 あのハンコはなんなのか。魔女の契約印は何に使うのか。
 ハクはなぜ湯婆婆の弟子になったのか。
 銭婆はなぜ釜爺に怖い魔女だと言われているのか。
 銭婆は千尋には親切にするのに、豚にされた他の人間のことはどうでもいいのか。
 カオナシはなぜ銭婆のところに残るのか。
 カオナシとは一体なんなのか。

 それぞれの質問にはそれなりの答えが用意されているんでしょうが、私にはわからなかった。わからなかったから良くない、というつもりは毛頭なくて、これだけの枝葉を設定したうえで切り落としながら本編の方を観るのに何の不都合も感じずに楽しめるような映画、というのはすごいとは思うんだけど(と同時にそこに宮崎駿やりたい放題を感じるわけもあるのですが)、あれだけたくさんの人達が観たという映画のわりには、ちょっとどうなんでしょう。そんなに万人受けする映画か?全然わけがわからない、という人だってたくさんいたのと違うか。正直なところ、私も全然わからないうちの一人であります。何だかよくわかんない変な映画だけと面白かった、というのが素直な感想。カオナシはみんなの中にいる、とか、そーいう概念的なことはわからないし、知りたくもない。そういう面では「もののけ姫」の方がしっかり届くような気がする。ちなみに、私が「千と千尋」を通して宮崎駿から受け取ったメッセージは「あいさつとか、お礼とかを、キチンとしよう」というものでした。
 結局この映画が世界で評価されたのは、今までと同じ宮崎駿を和風にして世界に出したらウケた、というのが正直なところではないかと思うわけで、宮崎駿作品の中でこの映画が他の映画より素晴らしい、というのとはちょっと違うのだろうな、と。そういう意味では期待外れだったわけですが、何となく「アニメ」で「女の子が主人公」で、というだけでちょっと距離を置きがちになっていた宮崎駿を、もう一度ちゃんと観た方が良いのかな、とも思うわけです。

(2001/07/02)


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