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 憧れのザイフェンを訪ねて 


ドイツ旅日記 2002 Contents



ザイフェン滞在編
At Seiffen
31.July  関空 → ウィーン経由 → ドレスデン
   01.August  ドレスデン → ザイフェン
   02.August  ザイフェン滞在 1日め
   03.August  ザイフェン滞在 2日め
   04.August  ザイフェン滞在 3日め
   05.August  ザイフェン滞在 4日め

02.August               ザイフェン滞在 1日め
 朝方5時過ぎには目が覚め、もう眠れない。ここはザイフェン。外は、まだかなり薄暗い。
夜が明けきっていないのか、お天気が悪いのか?身体は、起きだしたくてウズウズしている。
 
6時を回ると、ようやく外もかなり明るくなってきて、これなら外を歩けそうだ。簡単に身支度をしてから、
 
まだ寝ている息子に声を掛け、朝の散歩に出た。雨が少しぱらついていた。
 
 
 今朝は、
Hauptstr.を昨日と反対の方向へ歩いてみることにする。 
やはり、エルツの工芸品を扱っているお店がたくさん並んでいて、それらのウィンドウを1つ1つのぞいた。
 
その中に1軒、ウィンドウには木工芸品ではなく、エルツのモチーフを細かいクロスステッチで刺繍したタペストリー 
や装飾品などを飾っているお店があった。どうやら手芸屋さんのようで、窓越しに店の中をのぞくと、
 
他にも実在する作品をそのまま刺繍の図案にして刺してある作品がいっぱい飾ってある。そして、それらの図案を
 
まとめた図案集も売られているようだ。私は、もともと刺繍が好きで、自分でエルツのモチーフを適当に刺繍にして
 
楽しんでいる。そういうわけで、そのお店の作品がとても気になり、是非ともその図案集を手に入れたいと思った。
 
開店は10時からのようなので、あとで必ず寄ろうと心に決める。 
 
 さらに歩いて行くと、建物の横に見覚えのある大きなピラミッドが見えた。
う〜ん、これは〜?と考えて思い出した。
 
Mahoさんがお便りで紹介してくださったザイフェンの
 
おもちゃ職業専門学校のピラミッドである。
 
では、側の建物が学校の校舎なのか・・・と感無量。
 
こんな早朝なのに、明かりがついていて、誰かがいる様子。
 
Mahoさんは、8月4日からこの学校で2年生の新学期を迎えられる
 
とのこと
 
(実はその4日に、Mahoさんが特別に授業風景を見学させてくださった。 
そのときの様子は後ほど・・・
 
 さて、そろそろホテルに戻ろうと、通りを引き返しはじめると、 
学校のすぐ手前の敷地の庭に、大きな削り木の花の飾り物が
 
ちょこんと頭を出しているのが見えた。
 
よく見ると、そばには
Werkstatt Leichsenringの看板が 
そこは、私の大好きな工房の1つ、ライヒゼンリングさんの工房であった。
 
どの工房も、誰の工房かわかるような、それぞれの代表作品を
飾り付けて 
いるのを見るのが楽しくてとても感激する。
 
このライヒゼンリングさんの工房も、絶対に訪問したいと思っていたので、 
場所がすぐにわかってよかった!
 
同じ庭先に、現在作っている実際の作品を集めたショーケースが置いて
 
あり、新製品と思われる作品を見つけてこれまた喜こんだ。でも、果たして
 
手に入れられるかな・・・?
 



この2枚の写真は、別の日に撮ったものです! 
   2日の朝も、あいにくの雨模様でした。
 ホテルに戻り、息子と朝食を食べに1階のレストランに下りた。ここでも、数種類のハムにチーズ、シリアルに 
ヨーグルト、新鮮なくだものにジュースと嬉しくなってしまう。ドイツのバターは、ちょっと酸味があるが絞りたての
 
牛乳から出来たばかりのようなすごく新鮮な味がした。それと、コーヒー・紅茶と共に必ずグリーンティー(緑茶)
 
が用意されているのにも驚いた。ドイツでは、最近緑茶がブームとか。 
 このHotel Erbgerichtには1泊の予定で、あとは、Nussknackerbaudeなどの前から泊まってみたか 
ったホテル
に移動するつもりだったのが、このホテルの部屋からの眺めが最高に良いのと、重い荷物を引いて 
歩いて坂道を
移動する気力がなくなってしまって、残り4日もすべて同じ部屋に泊まりたいと思い、フロントで希望を 
伝えたところ
OKがでて、本当に助かった。これで、ザイフェンにいる間、あの眺めが楽しめる! 

 今日は、10時半にヴォルフガング氏の工房にMahoさんを訪ねてお邪魔することになっている。
朝食後しばらく時間があるので、また少し外をブラブラすることにした。息子は、今度もホテルで待っているそう。
 
9時から開いている店もあり、初めて店内に入ってみる。すべてのエルツの作品が、ガラスのショーケースに 
収められていて、自分の欲しいものを品定めすると、店員さんに声を掛けて、倉庫から出してきてもらうシステム。
 
開店早々だったせいか、他にお客はいなくて、店に入る時は勇気を出して"Morgen!"と声を掛けた。 
向こうからも、ニッコリ
"Morgen!"と返事が返ってきてホッとする。 
小さなミニチュアの人形から大きなピラミッドまで、カタログに載っているすべての作品が抜け出したかのように、 
今までに見たことが無いほどのたくさんの種類の
作品がショーケースに整然と収められていた。
 
すべてを1つ1つじっくり見るのは不可能に思え、
それで、どうしても自分が気になるもの以外は、大雑把にさっと 
見るだけになってしまった。
 
そして、そのようなお店が他にいくつも並んでいるわけで、エルツの木工芸品ファンにとって、そこでの時間は、 
最高に贅沢な至福のひとときであるのに違いない。 

煙り出し人形のおじさんが
座っていたベンチはここにあった!
 

木組みのかわいいお店。角の柱の飾りに注目! 

 10時を回ったので、ホテルへいったん戻り、ヴォルフガング氏の工房へ行く準備をする。
 
息子も私もかなり緊張気味。
 
ヴォルフガング氏の工房は、教会の直前にある右に折れる道を突き当たったところにあるらしい。
 
ちょっと早めにホテルを出て、2人ともドキドキしながら、再び教会の方へ向かった。
 
 約束の10時30分には、少し時間があるので、教会の前で写真を
撮っておくことにする。
 
面倒がる息子をなだめて、互いに1枚ずつ撮りあったのだけど、
 
結局、私が教会と一緒に写っている写真は、このとき息子に撮って
 
もらったこの1枚だけに
なってしまった。それも、教会が半分しか 
写っていないのですご〜くショック!
 
いったいどうしてなのか、自分でもわからなくて、本当に残念である。
  
 教会のそばの道を右に曲がり、突き当たりまで行くと、ヴォルフガング氏の作品で、馬に乗った子どもの 
特大の引き車が
 まず目に入った。
やはりここで間違いないと思い
それらしき建物を探すと、その右奥に、
 
WERNER
の文字と共にピエロとギャロップの大型のやじろべえをデザインしたカラフルな飾り付けが見えた。
 
あれが工房の建物だとわかり、ゆっくりと近づいてみる。入り口のドアにチャイムがあって、
それを鳴らすのを
 
しばらくためらったが、思い切って鳴らしてみた。
 
すると、ほんの数十秒後にドアが開き、ヴォルフガング氏がにこやかに現れた。私も精一杯笑顔をうかべて
 
手を差し出し、結局出てきた言葉は、ヴォルフガング氏の
"Hallo!"に続いて、私も"Hallo!"と返し、 
名前を名乗って、息子の紹介をするのがやっとだった。あとは、ひたすらスマイルで訪問の喜びを伝える・・・。
 
Mahoさんもヴォルフガング氏の後ですぐに顔を見せてくれて、ホッと一安心。あとは、Mahoさんの通訳に 
頼りっぱなしとなる。
 

 まず、1階の工房に案内してもらった。そこは、つい先ほどまで、Mahoさんも作業をされていたところで、
 
もう1人の女性Katrinさんが、結婚式バージョンの手回しオルゴールを組み立てている最中だった。
 
細い筆の先のボンドを、人形や木などの部品の底面に塗って、オルゴールの台に接着する作業をされていた。
 
というのは、あとで写真を見てわかったことで、そのときは、今まさに私は工房にお邪魔しているんだという感激
 
で興奮してしまって、せっかく
作業の様子を見せていただいているのに、落ち着いてじっくり観察する気持ちの
 
余裕をなくしてしまっているという、何とも情けない状態だった。
 
とりあえず、写真を撮らせていただくことだけは、何とか忘れなかった。
 
  
   作業の後片付けをされているMahoさん 
  
              Katrinさん 

 そのあと、仕事を続けるKatrinさんをのぞいて、皆で2階の事務所に上がって、話をすることになる。
その際、私からの気持ちばかりの手土産として
東京書籍の「ドイツ・おもちゃの国の物語」の本と、
 
我が家に飾っているコレクションを撮った写真をヴォルフガング氏に渡した。
 
本の方は、やはりすでに1冊お持ちだったようで・・・。コレクションの写真は、すごく喜んで見てくださり、
 
迷ったけどお見せできて本当によかった。
 
 息子は、すっかり固まっていて、時折ヴォルフガング氏に大丈夫?と声を掛けられている。
私は、いくぶん緊張がほぐれてきた。
 
 その事務所は、工房のショールームを兼ねていて、
ヴォルフガング氏のすべての作品と、お父さんのヴァルター氏と
 
お兄さんのクリスチャン氏の作品も一緒に並んでいる。
 
 ヴォルフガング氏が私に、何か見たいものがあるか?
 
と聞いてくださった
ので、私は即座に、 
「でんぐり返り人形が見たいです!」
とMahoさんを通じて答えた。
 
それは、やはりウルルン滞在記の冒頭に出てきたヴォルフガング氏
 
作品で、私も1度それで遊んでみたかった。
 
そのでんぐり返り人形は、エルツの伝統おもちゃとして古くからあった
 
ものをヴォルフガング氏が改良したもので、Mahoさんによると、
 
その人形の顔のモデルは実はヴォルフガング氏だという説が、
工房で囁かれているらしい・・・。 
しかしヴォルフガング氏はそれを強く否定しているとか。でもやはり、 
そのでんぐり返り人形が、ご自分の作品の中では1番のお気に入りということを
 
奥さんのウテさんから後日うかがった。
 
私が遊ばせてもらった分は、最初の試作品らしく、時々途中の段から落ちたりし
 
たけど、それはご愛嬌。何度もたっぷり遊ばせていただいた。
 
完成品は、1段の長さを最適なものに調整されたそうだ。 

 ヴォルフガング氏は、そのあと会合があるとのことで、その日は、
そこでお別
となる。
実は、翌日の3日も、ヴォルフガング氏のお宅でお昼を 
Mahoさんと一緒にご馳走になることになっていて、ヴォルフガング氏と一緒の 
写真は、その時に撮らせていただけることになった。 
こんなに親切にしていただけるとは思ってもいなくて、本当にどのように感謝の 
気持ちをあらわせばよいのだろう。
 

工房のカタログからお借りした写真です 
  ヴォルフガング氏が工房を出られてから、Mahoさんの案内で、
 1階の奥の工房を見せていただいた。
 
 8月は休暇のシーズンのため、休みを取っている職人さんが多く、
 
 その日は
Katrinさんの他に
Mahoさんと学校の同級生 
 Sebastianさんがお1人で作業をされている。
 
 この部屋には、木材加工用の機械がずらりと並んでいて、 
 そのうちの1つを使って丸い棒状の木片を薄くカットする作業を
 
 私の前で何度も見せてくれた。
 
真剣な表情のSebastianさん 

 ヴォルフガング氏の工房をひととおり見せていただいたので、次は、お父さんのヴァルター氏の工房を
Mahoさんに案内していただくことに。
ヴォルフガング氏の工房兼自宅の庭を横切って行くと、あっという間に 
博物館の近くに着いて、今度は博物館の駐車場を横切った先のちょっとした高台にヴァルター氏の工房が 
見えた。工房の方まで下から階段で上がれるようになっているが、直接ヴァルター氏のお宅の庭先に着いて 
しまうので、
この階段は、工房関係者やかなり親しい人が使うものだろう・・・。さすがは、Mahoさん!
 
 階段を上って、ヴァルター氏のお宅兼工房に着くと、いきなり、ヴァルター氏がどなたかに散髪して 
もらっているところだった。少しびっくりしたけど、ザイフェンの名士でもあられるヴァルター氏の生のお姿を
 
拝見できて、またまた大感激する。
 
 私たちが訪ねた時に、ヴァルター氏の散髪もちょうど終わったようで、
Mahoさんがヴァルター氏に私のことを紹介してくださり、私も握手を
 
しながら再び"Hallo!"と挨拶をした。
 
三男のジークフリート氏も出てきてくださり、再びご挨拶。
 
お父さんのヴァルター氏も跡を継がれるジークフリート氏も、本当に
 
やさしそうな雰囲気で、私の緊張は、ずい分ほぐれた。
 
その時は、ちょうど、完成間近の新しい作品が置いてあったので、
 
運良くそれを見せていただけた。その作品も、歴史的な光景を忠実に
 
再現したもの
であった。               こちらが、表玄関の方です! →           
 
 それからは、ジークフリート氏が工房を案内してくださった。
まず、2人の職人さんが、それぞれ別の作業で、鉱夫の人形のパーツを作っておられた部屋を見せていただく。
 
私が持っている鉱夫の作品も、このように一体一体細かい手作業で作られたものだと思うと本当に有り難い。
 
     
   鉱夫の胴体に手をくっ付けていたRainerさん ジークフリート氏 と Mahoさん
女性の職人さんはGiesaさん
 
 この部屋にも、たくさんの作品が飾られていたので、思わず写真を撮ろうとすると、
 
ジークフリート氏が、他の部屋にもっとたくさんあるからここで撮らないでもいいよ!という意味のことを言われる。
 
それで、ジークフリート氏について隣の部屋に行くと、そこは、素晴らしいショールームで、部屋の中央には、 
ドレスデンで見たあの「君主の行列」を完全に再現した色鮮やかな見事な隊列が、ガラスケースの中に
 
収められていた。
 
実は、こちらの作品のことは、静岡の百町森さんのドイツの旅日記を読ませていただいたり、ウルルン滞在記にも 
映っていたりで大変気になっていて、もしヴァルター氏の工房訪問が実現すれば、是非見せていただけたらな〜と
 
楽しみにしていたもので、その
願いが叶い、本当に幸せである。
 
こちらの作品は、恐らくヴァルター氏の生涯の最高傑作の1つで、心を込めて、ご自分の全精力を注ぎ込んで
 
最高の仕事で作り上げられたものに違いない。列の最後尾に、鉱夫とその壁画を描いた画家の姿もしっかり
 
あった。
 
その時にいただいた、ヴァルター氏の書かれたご本の巻末にも、その壮大な作品の一体一体の人形の説明付きの
 
写真が収められていて、ヴァルター氏のその作品に対する深い思い入れがうかがえる。
 
 それからも、また別の部屋で、ショーケースに展示されている作品たちを見せていただいた。 
それらは、私にも馴染みがある、鉱夫のパレードや鉱夫たちを題材にした作品と行商人シリーズ
 
などで、
現在も作られている作品がすべて並んでいる。 
 ジークフリート氏は、その中でも比較的新しい作品で、いろいろな入れ物を背負った薬売りを
 
見せてくれて、
背に背負っている入れ物にスタンプしたのは、ご自分の娘さんだと教えてくれた。 
実は、その娘さんは、
昨年病気で亡くなっている。 
そのことは、私もMahoさんから以前にうかがっていたので、
そのスタンプの話には本当に胸が 
詰まり、涙ぐんでしまった。
 

 ジークフリート氏は、その思い出深い薬売りの人形と、こちらも
新しい作品の薬草摘みの婦人の人形の2つを、私にくださった。
 
私は、ドイツ語のごくありきたりの感謝の言葉しか言えなかった
 
けれど、心の中ではそのお心遣いに精一杯深く感謝して、有り難く
 
いただいた。それら2つの人形と、先にいただいたヴァルター氏の
 
ご本は、私の一生の宝物である。
 
 
 私たちがいた部屋に、元鉱夫で、今は確かレストランかペンション
を経営しているという男性が、ご自分が作られた鉱山のジオラマの
 
ような作品を持って来られ、一緒に見せていただいた。
 
そのジオラマに、ヴァルター氏の鉱夫の人形を飾りたくて、人形を
 
買いに来られたらしい。
 
鉱山のいろいろな作業の様子が細かく作られていて、とても素人
 
の作品には見えず、エルツの人々は、趣味でこのような作品を
 
昔から作ってきて、それが現在のおもちゃや木工芸品作りの村に
 
発展したということが、本当によくわかった。
 

 左の写真は、そのショールームで記念に撮らせていただいた
もので、お2人の間の台の上に、ドレスデンの現在再建中の
 
フラオエン教会が最初に作られている当時の様子を再現した
 
作品をわざわざ置いていただいた。この写真も私の宝物になりそうだ。

 ずい分長い間、ヴァルター氏の所にお邪魔していたが、長男のクリスチャン氏の工房を訪ねる約束の時間が
近づいたので、お2人とお別れをして、今度は、ヴァルター氏の工房の表玄関側から失礼した。
 
 12時を回っていたので、Mahoさんと3人で、パン屋さんで簡単に 
お昼を済ませて、クリスチャン氏の工房に向かう。
 
 工房の庭先の動物たちを下の通りから見上げて、ミニチュアとは
 
ひと味違うその迫力を楽しんだ。
 
 工房に着いて、まずクリスチャン氏の奥さんにご挨拶。
 
その時は、まだクリスチャン氏の姿は見えなかった。私達以外にも
 
工房を訪れている人達が、工房ショップでお買い物をされていた。
 
私達は最初に、削りあがった動物に色付けをされている様子を
 
見せていただいた。
 
ちょうど翌日が、ザイフェンの小学校の入学式で、クリスチャン氏の
 
子どもさんもちょうど入学されるそうで、工房の中もすべてかわいら 
しく飾り付けがされている。
 しばらくすると、ラフな格好の男性の姿が見えて、私は最初誰かわからなかったのだけど、何とその男性が 
クリスチャン氏で、本当に申し訳なかった。テレビで拝見した時よりもずい分髪を短くされているせいもあるかな・・・。
 
Mahoさんが、私のことを紹介して下さり、クリスチャン氏にろくろの機械の置いてある部屋へ案内していただいた。 
置いてある機械は、他で見かけた金属製のものではなく、やはり昔ながらの木製のろくろのようだ。 
残念ながら、そのろくろを使っての作業は見せていただけなかったが、出来上がった輪を見せてくださった。 
輪の切れ目からちょうど私の大好きな馬の姿が現れた。
 
 その部屋のコーナーに、昔のエルツの部屋を再現したような、古いタイルの暖炉がしつらえてあって、
 
その天井から、クリスチャン氏の作品の豪華なピラミッドが下がっていた。昔ながらのろくろを使う作業場にふさわ
 
しい古いエルツの雰囲気を大事にされているのだろう。
 

クリスチャン氏とろくろ細工の木の輪 

古いタイルの暖炉とクリスチャン氏のピラミッド 

こちらも馬の色付けをされていたKatrinさん 

 そのあと、私も工房ショップで、販売用のろくろ細工の輪とわっぱ入りの牛のセットなどを買って帰った。
(馬の輪が欲しかったが、残念ながら「ろば」のものしかなかった) 

 これで、ヴェルナーファミリーの3軒の工房すべてを訪問させていただいて、私の興奮は冷める暇がなく、
 
今度は、いよいよザイフェンのおもちゃ博物館をMahoさんと一緒に、見学させていただくことになる。
 
再び、Hauptstr.に戻り、博物館の方へ向かった。 
 博物館に着いて、Mahoさんが、すでによく顔見知りの受け付けの女性に 
話し掛けて、館長さんが事務所におられるかどうか聞かれたようだ。
 
そのあと、事務所に上がって、館長さんのDr.Auerbachにお会いした。 
Mahoさんは、博物館のパンフレットの日本語訳などのお手伝いもされて
 
いて、館長さんとも親しいようだった。館長さんは、すごくニコニコ話をされ、
 
とても気さくなお人柄に思えた。
 
 それから、いよいよ館内を館長さんが直々に案内して下さることになり、
 
Mahoさんの通訳で、私も説明がうかがえた。
 
まず、そのとき特別展示されていた、Hans Reichelt氏直筆のデザイン画 
について説明していただいた。 

ザイフェンのエルツおもちゃ博物館
 

館長さんのDr.Auerbach
Hans Reichelt氏(1922〜)は、現在も作り続けられているエルツを代表するおもちゃや 
ミニチュア及びくるみ割り人形、煙り出し人形
、天使と鉱夫などの多くのデザインを手がけて
 
こられた、元おもちゃ職人専門学校の先生で、その後は、旧東ドイツ時代のエルツの木工芸品
 
製造組織VEROなどで、デザインを続けられた。
 
Reichelt氏がデザインした作品は、本当に私もよく知っている見覚えのあるものが多くて、
 
工房やメーカーが独自にデザインしたものと思っていたものが、実は彼のデザインによるもの
 
が多いということを、初めて知った。このことは、本当に勉強になった。 
館長さんからも、そのHans Reichelt氏のデザイン画が多く載っている館長さん監修のご本を 
いただいた。 
 ヴェルナーファミリーの工房で、私と息子が温かく迎えられたり、今回の博物館でのお心遣いも、 
すべてMahoさんを通して、Mahoさんがザイフェンでとても頑張られて、1人の日本人女性としてザイフェンの人々
 
に信頼され、素晴らしい人間関係を築いて下さっているお陰で、その知り合いとして私まで良くしていただけたという
 
ことを
本当に強く感じ、Mahoさんに心から感謝するとともに、Mahoさんの偉大さをあらためて実感させていただ 
いた。
  
 それからも、館長さんが、1階の展示室から順番にそれぞれの展示物ごとに詳しく説明して下さった。 
それらの説明の中で、特に印象に残ったお話がある。かなり古いノアの方舟セットが何セットか展示されている前
で、館長さんは、これだけまとまった数の方舟セットが揃ったのは、やっと最近のことで、それらを苦労して
 
アメリカやヨーロッパの各地から集め戻されたと話された。
それらを作っていた職人の家庭では、小さな子どもまで 
家族総出でそれらの製作に携わっていて、そこの子どもが、
「このおもちゃで遊ぶ子どもが世界には本当にいるの?」
 
と聞いたそうだ。つまり、自分達は、そのノアの方舟セットを毎日毎日作り続け
 
ても、それらはすべて輸出用に回され、
その子どもでさえ、けっして自分達が
 
遊ぶことは許されなかったらしい。
 
だから、エルツには、当時の作品が全くほとんど残っていなかったそうだ。
 
エルツ地方が、おもちゃ作りの村といくら知られていても、そこの子ども達は、
 
それらで遊ぶことができなかったという歴史的背景も、あらためて知ることに
 
なった。
 
 もう1つ、特に心に残るお話があった。
 
写真のような豪華なピラミッドやシャンデリアは、裕福な家庭のために作られた
 
ものに違いないと勝手に想像していたのだが、実は全くそうではないらしい。
 
貧しいエルツの人々が、生活のためのおもちゃや工芸品製作の傍らで、
 
クリスマスを心から祝う気持ちをあらわすために、また自分達の心の慰め
 
として、自分達のために素晴らしく凝った作品を作って、それらを代々大切に
 
引き継いで飾られたものという説明をお聞きした。このお話にも、とても驚いて、
 
また1つ勉強させていただいた。
 



 この日は、館長さんの説明をお聞きするだけにとどまり、後日4日の日曜に再び私だけで、博物館にうかがって 
もう1度じっくり作品を見せていただき、写真を撮らせていただくことにした。
 
Mahoさんは、もう何回もその博物館を訪問されて、館長さんの説明を聞かれていると思うが、今日はとても
 
じっくりお話をしてくださったと言われるのを聞いて、私もとても有り難かった。
 
Mahoさんは、館長さんが話されたあと、いちいち私に日本語訳しないといけなかったので、本当にお疲れだった
 
と思う。でもそのことは、博物館でだけでなく、私と一緒のときは、ずっとそうだったので、本当に申し訳なく思う。
 

 博物館を見学して、Mahoさんに案内していただくこの日のザイフェンでの訪問先は、一応終わりとなったが、
実は、その日の夕食は、Mahoさんの下宿先のご夫妻が、私と息子のために、ご自宅でバーベキューをご馳走
 
してくださることになっていて、夕刻、Mahoさんと一緒にノイハオゼンに向かうことになっていた。
 
ザイフェンを5時過ぎのバスに乗るのに、かなり時間があったので、Mahoさんも一緒に、お店巡りに付き合って
 
くださることになった。
 
 それで、真っ先に、朝発見した刺繍のお店に向かう。 
そのお店は、Mahoさんも良くご存知で、私が買いたいと
思っていたエルツのモチー 
フの図案集をMahoさんも買われたそうで、私は、そのお店に飾られている完成品
 
に見とれて、いそいそとその図案集を買い込んだ。 
 それから、Hauptstr.の端の方のHotel Seiffener Hofの前あたりに、 
アンティークをあつかうお店があると、
旅行の出発前にある方からメールで教えて 
いただいたので、そのお店にも是非行ってみたくて、お願いした。
 
 そこに向かう途中、日本のテレビ東京のカメラチームに出会い、その方達は、ちょうどMahoさんを捜されていたと 
か。
しばらく私も一緒にお話を伺っていたが、私に気遣ってゆっくりお話が出来ないのではと思い、一足先に私は 
失礼して、
先にお店に向かうことにした。その間に、Mahoさんがインタビューを受けられるといいな〜と思ったの 
だけど、
どうだったのだろう・・・?私も、すぐにアンティークショップに向かわず、別のお店などをのぞいていたら、  
思いがけず早く、Mahoさんの姿が見えて、逆に私を捜されていたとか・・・。
お話の方はすぐに終わったらしくて、
本当に申し訳ないことをした。 
 そのあと、再び一緒にアンティークショップに向かい、新しい作品では味わえない 
歳月を感じさせる色合い、博物館でしか見られないような初期のデザインや作りの
 
エルツの主役たちにお目にかかった。気になる作品のお値段などを聞いてみたが、
 
やはり相当に高価で、見せていただくだけになった。
 
 下宿先のご夫妻にお渡しできる私からの手土産が何もなかったので、Mahoさんに、お花を持っていくことを
提案していただいて、一緒に花屋さんで、夏らしいひまわりの入った花束を選んだ。
 
 そろそろいい時間になったので、とっくにホテルに1人で戻っていた息子を連れて、Mahoさんとバス停に向かう。
 
ノイハオゼンまでのバスの運転手さんは、私たちがザイフェンに着いたときのバスと同じ運転手さんで、Mahoさん
 
ともすっかり顔なじみのようで、親しそうに挨拶をされていた。
  

Mahoさんの下宿先のお宅 
 ノイハオゼンのMahoさんの下宿先のわりとすぐ近くにバス停があり、 
Mahoさんが、このお家と指差されたのは、窓辺がお花できれいに飾られ、こげ茶と白の
 
コントラストがとても印象的なお宅だった。
 
「Mahoさんのザイフェン便り」の中で紹介されていた、このお宅の様子やご夫妻のこと、
 
またMahoさんの
お部屋の写真などから、いろいろ想像していたけれど、外観もお庭も、 
そして案内していただいたすべてのお部屋が、実に美しく整えられていて、本当に素敵 
なドイツらしいお宅だった。
 
 
 初めてお会いするインゲさんとご主人のアルミンさんは、私と息子の訪問をとても歓迎
 
してくださり、バーベキューの食事タイムからそのあとの団欒の時間も、本当にずっと世話
 
を焼いてくださって、息子に今日は泊まっていきなさい!とまで言っていただいた。
 
息子も、外のテラスでいただく食事や、バーベキューコンロの火の番が楽しく
て、
ザイフェンで私たちとくっ付いていた時の表情とは全く違い、本当に嬉しそ
 
うだった。
 
ドイツの夏は、日が長いので、午後9時を過ぎてようやく暗くなってくるぐらい
 
なので、その夜は10時過ぎまで
お邪魔していて、再びホテルまで、車で全員 
で送っていただいた。
インゲさんご夫妻とは、名残惜しくて、精一杯ご挨拶して 
お別れしたが、実は、結局翌日も少しだけお邪魔したの
だった。 
Mahoさんに撮っていただいた写真
息子は、アルミンさんの上着を借りている
 

 Mahoさんとインゲさんご夫妻とは、本当に家族同然の感じで、Mahoさんもごく自然にお2人と接していた。
その雰囲気は、ヴォルフガング氏との間でも同じで、Mahoさんの
素直で明るい、ごく自然に相手と接することが 
できる
素晴らしいキャラクターによるものだと心からうらやましく思った。 
  
  インゲさん と Mahoさん
  この2まいの写真は、翌日の3日に撮ったものです! 
  
           テラスのバーベキューコンロの前で
           インゲさん アルミンさん Mahoさん

 Mahoさんのお部屋にも入れていただき、ザイフェン便りで見せてもらっていた写真と同じテーブルや窓、そして、
まくら型の編み台の上の
ボビンレース編みの作りかけの作品などを実際に見せてもらって、
 
また、
春には小鳥のコンサートが楽しめる外のテラスで、私も食事をいただいて、私もだんだんMahoさんと一緒に 
エルツで生活しているよう
気になってきたりして・・・。 
それほど、今日の1日は、Mahoさんに目いっぱい付き合っていただいて、ザイフェンとノイハオゼンでの
 
朝から充実し滞在1日めとなった。 
 

(この8/2の日記はずい分長くなってしまいました。ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました!)

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