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 憧れのザイフェンを訪ねて 


ドイツ旅日記 2002 Contents




ザイフェン滞在編
At Seiffen
31.July  関空 → ウィーン経由 → ドレスデン
   01.August  ドレスデン → ザイフェン
   02.August  ザイフェン滞在 1日め
   03.August  ザイフェン滞在 2日め
   04.August  ザイフェン滞在 3日め
   05.August  ザイフェン滞在 4日め

04.August               ザイフェン滞在 3日め
 今朝のザイフェンは、自転車でいっぱい。午前9時におもちゃ博物館前
からスタートする自転車レースに参加する人たちが、各地から集まって
 
来たからだ。
 
昨日、ヴォルフガング氏から、是非スタートの様子を見るといいよ!と
 
言われていたのだけれど、さすがに今日はホテルの部屋でグズグズ
 
してしまって、朝の9時までに博物館のあたりまでは行けなかった。
 
しかし、9時を過ぎると、ホテルの部屋にいても外が急に騒がしくなって、
 
鐘を打ち鳴らす音や、自転車が何台も通り過ぎる音がし始めたので、
 
慌てて窓から外をのぞくと、ちょうどホテルの前を、何百台かと思うほど
 
の自転車が次々とやってきては、角を曲がって通り過ぎていく。
 
その中の1台が、ちょうどその角に差しかかった時、自転車のチェーンがはずれてしまって、必死で直そうとするの
だが、なかなか直らなくて、
上から見ていた私も気が気ではない。その本人はもっと焦って困っていたと思う・・・。 
その時、近くの観客がさっとその自転車を支えて、手助けを始めた。そして、また別の観客も。それでも直すのに
 
しばらくかかっていたが、ようやく直り、再び自転車を走らせて、レースに戻っていった。私もホッとして、あとは、
 
お天気が持ちますように・・・と祈った。その日も、再び朝から曇っていたので・・・。
 
 今日は、もう1度、おもちゃ博物館をゆっくり見学することにしている。
9時半過ぎに博物館の方へ歩いて行ったが、先ほどまで、あれほど多く見かけた自転車は、
 
もうすっかりいなく
なっていて、いつもの静かなザイフェンに戻っていた。
 

 おもちゃ博物館では、館長さんのDr.Auerbachが、写真を自由に撮ってもよいと
おっしゃてくださっていたので、思いっきり撮らせていただくことにする。
 
 中央通りに面した方の入り口から入ると、鉱夫やくるみ割り人形などエルツのおなじみの
 
モチーフがステンドグラス風に描かれた壁飾りが目に入り、天井からはランタンがたくさん
 
吊るされた通路を通ることができる。私はそのランタンがとても気に入って、お店に売られ
 
ているのをよほど買おうかと思ったが、その大きさや、電圧の関係で果たして日本でも
 
使えるかが不明だったので、あきらめることにした。
 
 受付の女性に挨拶をすると、私のことを覚えていてくださったようで、すごく嬉しかった。
 
今日も、1階の展示物から順に見ていくことにする。一昨日に、館長さんが説明してくださ
 
ったことをゆっくり思い出しながら、ほとんどの展示物の写真を、ガラスケース越しに撮った。
 
あまり他の見学者がいなかったからよかったけれど、デジカメで満足できる写真が撮れる
 
まで何度も撮り直したりしたが、それでも展示物の写真を撮るのは難しい。
 

 1階は吹き抜けになっていて、中央には2階部分の天井まで届く大きピラミッド。そして
 
入り口側の奥に、雪景色のザイフェンの大きなジオラマ。その両隣に、昔ながらのエルツの
 
おもちゃ職人の部屋と、水車で動かす木工用ろくろが並んだ作業場の様子を実物を使って
 
再現してある。ちょうど、Gunter Flath氏の小部屋シリーズのおもちゃ職人の部屋そのもの
 
である。
 
 1階は、主に1800年代後半から1900年代初頭のエルツでおもちゃが本格的に作られ
 
始めた頃の作品が展示されている。
 
ドーナツ状のろくろ細工の木片と、それらから切り出された様々な大きさ種類の動物たち、
 
それらをさらに削り彩色された色鮮やかな動物たちとノアの方舟セット、
 
ヴォルフガング氏が得意とされる伝統仕掛けおもちゃの古い時代の作品、
 
さらにドールハウスやままごとのセットなども見ることができる。
 
また、エルツの人々が自分たち用に作った素晴らしいピラミッドやシャンデリアの数々、
 
天使と鉱夫ばかりが集められたコーナー、くるみ割り人形のコーナーには、 
Füchtner一族の作品と思われるものも一緒に展示されている。
 
それらの作品を順に見ていきながら、それら1つ1つの作品が
博物館で再現してあるような 
部屋で、家族総出で作られている光景が何度も頭に浮かんだ。
 

 博物館の2階部分に、現在にも名前が残っている歴代のおもちゃ職人の顔写真入り
説明パネルと彼らの作品が展示され、現在にも引き継がれる彼らの作品のルーツを知る
 
ことができる。さらに、現在活躍しているマイスターや工房・メーカーの代表作品も、
 
アイテム別、作家別に
豊富に展示されていて、とてもわかりやすい。 
また、Meisterstück(マイスター試験のために作られた作品)を集めたコーナーもあった。 
2階の入り口付近には、ミニチュアの街並みセットなどが、商品としてわっぱや箱に収められている様子や、
 
ミニチュアの作品で作られた街のジオラマが展示されている。
 

 結局2時間ほどかけて、館内の作品をたっぷり見せていただいて、デジカメのメモリーがなくなるまで写真も
撮らせていただいた。
 
帰り際に館長さんにもう1度お礼と、館長さんの写真を撮らせていただこうとしたのだが、その時はちょうど他の
 
見学者の案内をされているところで、偶然私の姿を見つけられ、声は掛けていただいたのだが、
 
私もその場で咄嗟にうまく一昨日のお礼が言えないまま、写真だけを無理言って何とか撮らせていただいたり
 
したので、すごく申し訳ない、失礼なことを
してしまったとそれからずっとそのことが気になっている。 
実は、翌日に博物館を通りかかったときに、再び偶然に館長さんとお会いし、今日こそはと前日の非を詫びたの 
だが、肝心のお礼の方がうまく言えなくて、またさらに落ち込むことに
なってしまった。この時ほど、自分の語学力 
不足を心底情けないと思うことはなかった。
 

 お昼過ぎにMahoさんから連絡をいただいて、午後はベアテさん(Mahoさんがザイフェンで木工芸の勉強をされ
るための橋渡し的な役をされた方)のご兄弟がされているペンションと工房を案内してくださり、そのあとベアテさん
 
のお宅にお邪魔することになった。昨夜のお誕生日会ではお会いできなかったが、私たちのことを気に掛けてくだ
 
さっていたようだ。
 
 ベアテさんのご主人が、Mahoさんとホテルまで車で迎えに来てくださり、まずベアテさんのお兄さんがザイフェン 
に最近新しく建てられたペンションを見せていただくことに。そのペンションは、ベッドルームのほかにキッチンや
 
リビングも付いていて、家族連れが長期休暇を楽しめるようになっていた。どのお部屋も、とても広い間取りに、
 
思わずため息が・・・。
 
 それから、ベアテさんの弟さんの工房に連れて行っていただいた。 
どんな作品を作られているのかな?と楽しみに工房にお邪魔したら、私もコレクションとして持っているおもちゃ 
売りと同シリーズの煙出し人形や手で回すメリーゴーランドがたくさん並んでいるではないか!
 
私はその時まで、それらが作られている工房を知らなかったわけで、その工房のマイスター、つまりベアテさんの
 
弟さんJochen Emmerich氏の作品であったことが初めてわかった。
 
こちらの工房では、主に、この煙り出し人形のシリーズと手回しメリーゴーランド、それらに付いている木馬や 
汽車のミニチュアとオーナメント、そしてイースターのうさぎを作られている。
 
こちらの工房の手回しメリーゴーランドは、以前私が勤めていたお店にも置いてあったが、とても人気商品だった。 
Emmerich氏に工房の中をひととおり案内していただいて、しっかり写真も撮らせていただいた。 
大好きな作品の工房名がまた1つ明らかになって、それもMahoさんと親しいベアテさんの弟さんの工房だった
 
とは、本当に嬉しい。
 

Jochen Emmerich氏 

手に持たれているのは 
作られる途中の小鳥売りの煙り出し人形

おなじみの人気作品 
手で回すメリーゴーランドは
Jochen Emmerich氏作!
 そして、いよいよノイハオゼンのベアテさんのお宅へお邪魔させていただいたのだが、
下の娘さんの具合がまだ良くないようで、私たちも一緒によばれたケーキも、喉の痛みで
 
ほんの少ししか食べられない様子で、本当にかわいそうだった。
 
 ベアテさんは、実は私と同い年らしいのだけど、3人のお子さんがおられ、私よりもうん 
と頼れそうな雰囲気である。Mahoさんも、下宿先のインゲさん、ベアテさん、
 
ヴォルフガング氏の奥さんのウテさんと、ご実家のお母さんの代わりに頼りにできる女性
 
がたくさん近くにおられて、本当に心強い
ことだろう。 

 ノイハオゼンには、個人のコレクションとして有名なくるみ割り人形の博物館がある。
Mahoさんに、そこに連れて行っていただくことになった。
 
ベアテさんのお宅からは、そう離れていない距離なので、歩いて向かった。 

左から 上の娘さん ベアテさん 
ご主人 Mahoさん
 博物館の外には、私が今までに見た中では最高に大きいくるみ割り人形が凛々しく立っている。
 中に入ると、入り口すぐのところに、年代物の人形がたくさん展示され、
この博物館
のコレクションの豊富さを誇っていた。 
私も、ザイフェンに来てから、ますます古い作品に魅かれる。 
 2階に上がると、工房や大手メーカーで作られている作品のほかに、 
普通の人々が自分達の楽しみで作ったと思われるオリジナルの
 
くるみ割り人形が多数飾られている。そして、驚くべき展示物があった。
 
それは、実際にエルツで作られている大手メーカーの作品と並んで、
 
どこかの
でそれらに似せて作られたコピーのくるみ割り人形が、 
コピーとはっきり明示されて展示されていたのである。
 
エルツの作品の特徴を細部まで
似せた人形は、却って滑稽にも見えるが、 
年々増えていくコピー製品をそれとは知らずに買っていく人々
も多いのでは 
ないだろうか。私も今回の旅行中に、旧西ドイツの街で、エルツのどの作品
 
を真似て作った
ものと特定できる明らかなコピー製品、もしくはデザインだ 
けはそっくりだけど、コピーとも呼べないような粗雑な製品がかなり出回っ 
いるのを見てしまい、私でさえ、不愉快であった。エルツの人々にとっては、
 
それは腹ただしいことだろうと思う。
 
 そのほか、1階の奥にも、比較的古い作品から新しいものまで、現在も 
作られている様々な工房やメーカーのくるみ割り人形が一堂に展示されて
 
いて、それは圧巻である。 
 
 また、ミニチュアのくるみ割り人形だけを集めたコーナーがあり、中には、虫眼鏡が置いてあって、それで見ないと
よくわからないほどの超ミニサイズの作品もあり、とても感心したとともに、私が持っている日本の米粒で作られた
 
「こけし」の作品にどこか似ていると思った。
 

 1階に、ボビンレースの作品を飾って、おばあさんが実際にレース編みの実演をされているコーナーがあった。
Mahoさんは、ボビンレース編みの教室で、そのおばあさんから習われているそうで、そこでも親しそうにお話を 
されていた。Mahoさんは本当にお顔が広くて、ザイフェンでもノイハオゼンでも、すべての人々とすでに知り合いに
 
なっているのでは?と思うほど、あちこちに知り合いがおられる。
 

 そのあと再びベアテさんのお宅に戻り、今度は、ベアテさんご夫妻が車で近郊の村にある鉱山博物館に連れて
行ってくださることになった。私が、坑道のの入り口を実際に見てみたいとお願いしたもので・・・。
  
だけど残念なことに、そこに着いたものの時間がわずかに遅くて、
すでに閉館したあとで、外からガラス越しに中の様子をのぞいていたら、
 
館長さんと思われる方が出てこられ、坑道の入り口ではないが
 
館内とは別のところにある
坑道をのぞける施設を特別に見せていただけ 
ること
になった。 
 そこは、博物館の建物に中にある坑道の入り口よりもかなり高いところ 
にあって、やはり建物の屋内ではあるのだが、柵で囲ってある下を除くと
 
10メートルほど地下に暗い狭い坑道が見えた。
 
その施設は、確か、坑道で何かが起こったときに、鉱夫を助け出すための
 
ものと、Mahoさんを通じて、説明をうかがったように思うのだけれど、
 
すでに記憶が曖昧になってしまって、違っていたかもしれない。 

鉱山施設のそばにあった台車 
その向こうに見える丘のあたりは確か
 
国境を隔てたチェコの村とうかがったような・・・

 その施設を出た途端に雨が降り出してきて、私たちは皆大急ぎで、ベアテさんたちの車に戻った。そして、
私と息子をザイフェンのホテルまで送り届けていただいた。ベアテさんのご主人が、ホテルの入り口まで、
 
傘を差しかけてくださり、そこで私も今日のお礼を一生懸命に伝えて、ベアテさんたちとお別れをした。
 
 Mahoさんとは、再び明日の月曜に、新学期が始まったおもちゃ職業専門学校前で待ち合わせをすることに
 
なっている。そのときに、ライヒゼンリングさんの工房とMahoさんの学校での実習風景を見せていただけるとか。
 
本当に私たちのために、週末もずっと付き合っていただいて、おまけに新学期早々、学校にも案内していただける 
とは、本当に申し訳ないのと有り難いのとで、いくら感謝してもし足らりない気持ちである。
 

 その夜、私たちは、ザイフェンに来て、いやドイツに来て初めて、息子と2人だけで夕食を食べることになった。


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