特別な処女の油 (エクストラバージンオイル)
*-拡がりました-*
健康ブームの一環でもある禁煙ブームもどうやら板についてきた今日この頃
日本たばこ産業企画開発部部長、スギヤマキヨタカ(56才 趣味:登山)は頭を抱えていた。
ただでさえ不景気、加えて社会的な嫌悪感を受け
たばこの需要自体が落ちに落ちていた。
そんな最中、先日の役員会議でヤマシタタツロウ社長直々に
現状を打破する新製品の開発を命じられたのだ。
「もしもコケた時は....わかってるね...? アレはもうナシだよ....? ニヒッ」
社長はそう言い残すと席を立った。
スギヤマは肩を震わせていた。
もし失敗したら...
もし失敗したら.....
役員クラブでの「渚のすべて」の歌唱を永劫禁じられてしまう!
しどいっ!あからさまな圧力かけやがって!高気圧ジジィ!
スギヤマの目はしっとりと潤んだ。
50を過ぎてからというもの、
スギヤマは消化試合をこなす枯れ葉のような存在となっており、
かつてナツオトコと呼ばれたアイデアに満ちあふれた日々は今や昔となっていた。
ちくしょうちくしょう。
クリイミイカフェだって俺の功績だってのに。
今じゃそれも知ってる奴のほうが少ねえ。
社員食堂の前を通り過ぎる所で
彼の右腕と言われるマエダと出くわす。
去年離婚したというがあまり悲愴感がない。
きっと深くものを考えないのだろう。
「どうしたんですか部長?顔が青いですよ?」
「いや..........実はな.....................」
マエダは一通りの話しを聞くと高らかに笑い、
「なんだ、部長、ゆってくれればっ、クスッ、僕の十八番イッコあげますよ
『湘南マイラヴ』あたり。 ガハハハ」
「き、き、きみっ!じょ、じょ、冗談にしてもそ、そ、それはちょ、ちょ、ちょっとひどっ」
「ガハハハ すみませんすみません。 冗談はさておき。
実は外資のコンサルタント会社にひとり知り合いが居るんです。
日系3世のスペイン人なんですが、
彼のアイデアはなかなかいいですよ。
きっと奇抜なアイデアを出してくれるに違いありません。」
「ぉ おお、そうかね。そうなのかね。じゃあ早速アレだ
アレしてくれ。アポリント。アポリントとってくれ」
「(笑いをかみ殺しながら)承知しました。んじゃ今、電話でアポリント取ります。」
「おう、で、いつが空いてるかね?」
「(プルルルー)オー、ブエノスディーアス
ユーセィ、ユセィユーセィ
オーケィ、オーケトゥナーィ!
と、いう事で今夜です。」
「意味分かるヒトのほうが少ないだろうな。マエダ君。」
............................その夜............................................
精悍で長身の男を想像していたスギヤマはちょっと拍子抜けした。
目の前の小男はカルロスと名乗った。
「開発費あまりない、新しいものツクル
いいものツクル、これムズカシイデス。
デワッ、何ツクル、簡単ですカ?」
しょっぱなからうさん臭い日本語と
漠然とした質問に、スギヤマは不安を感じた。
なんと答えたものか考え倦ねたまま下を向いていると
カルロスが続きを始めた。
「お金ナイ、知恵ナイもツクル事デキルはコドモ。
コドモツクルは簡単でス
だからスペイン、少子化、ナイ。
ヒャーハッッハ」
スギヤマの額にはたっぷりと脂汗が滲み
拳は怒りでふるふると刻んだ。
「.....................こいつをつまみ出せ...............」
掠れた声でやっとの思いでそれだけ発声すると
スギヤマは胸ポケットから救心を取り出し4粒をくっと飲んだ。
カルロスはそのにやけた顔のまま、続ける。
「コドモツクル、簡単。
ファミリーのチカラ使うのが一番。」
「..........ファミリー?............................................................そうかっ!」
マイルドセブンファミリーか!
「......さすが部長、お察しが早い。」
マエダは事前にカルロスと打ち合わせたようでいそいそとプロジェクタの準備をしながら続けた。
「セブンスターマイルドとして生まれたマイルドセブンは
今や完全に分家し、ライト、スーパーライト、エクストラライト、FK、メンソール、ワン
の押しも押されぬ売り上げナンバーワンファミリーの長となりました。
日本を代表する国際銘柄、きしくもワールドカップ目前、
ここはひとつ世界に日本文化を紹介できる子供が居てもいいハズです!」
「......う、ウム。それで?」
「これです。」
マイルドセブン ワサビ
「どうですかっ!メンソール以上の清涼感!抗菌作用もあって.............................................あれ?」
「....................................次いってくれ..........」
「あ、アレ?オカシィなあ...じゃ、これはどうです?ワサビの姉妹版」
マイルドセブン ウメ
「どうですかっ!アルカリ性食品として消費者の健康志向に訴える梅をフィーチャーして..........」
「...............................................はーじーめてせなかごーしにーかーわしたきすぅ.....................」
「ぶ、部長、しっかりしてくださいっ。
すみません。これ、僕のアイデアなんです。
か、カルロスのはちゃんとしてますので大丈夫ですからっ!(多分。)
ほら、カルロス!早く!」
「 たばこはオトコのカッコヨサを引き出すコドウグになりまス。
マイルドセブン、サラリーマンみたいでショ。
街角のピンナップボーイズのココロ、掴みません。」
「ほう。それで?」
「コレです。」
マイルドセブン ウィザード
「いいじゃないか、詳しく聞かせてくれ」
「徹底的に見かけ倒しで行くのでス。
葉はゴールデンバットを使い、原価バリバリ削減。
しかも『一万箱にヒト箱、尻尾が逆向きのがある』という噂を流すのでス
オトコはそうゆうのにヨワイのでス。
CMには古谷一行の息子あたりを起用、
『マイクチェックっおれはワル、でも親達、仲間達に感謝っ!』というイメージで 売るのでス
すると.................」
「す、すると?」
「メインターゲットである草加とか春日部あたりの16、7のギャング風情が買い漁りまス!」
「たばこは二十歳からだー!!(たてまえはー!!)」
カルロスは何事もなかったかのように姿勢を正すと
OHPを切り替えた。
マイルドセブン ビタミンプラス
「栄養補助食品が売れてまス。
だからたばこ吸いながらビタミン補給
A,B2,B6,Cも配合!
パッケージはもちろんビタミンカラー!
キャッチは『たばこを吸って健康になろう』!」
「......なんか売れなそうだなー、ま、いいか、続けて」
「売れるヨ!トレンド、間違いナイ。
けど問題点ふたつありまス。
葉にビタミン配合して、主流煙でビタミン摂取できるかわからないのと
あと原価がヒト箱700円になりまス」
「ぜんっっっぜんだめぢゃん!!!!!カルロス、お前殺す!ぶッ殺す!」
「ノー、ノー、部長、
部長、アイデアない。カルロス、まだアイデアある。
カルロス殺すは部長スーサイドと同じ。
イニシャチブはカルロスのモノ。
オメガトライブならあげるけド。」
「いらんわっ!さっさと次いけ!」
マイルドナナ
「今までの女性向けのたばこ、みんなカッコイイ感じバッカリ。
カワイイ感じがなかったネ
だからコレね。
マイルドナナ。
イメージキャラクターは松嶋菜々子ネ。
松嶋菜々子が鼻からケムリブワーっと。」
「そうかー、今の人にアピールするには松嶋菜々子さんかー
俺の年だと木の実ナナなんだけどな。
木の実ナナが鼻から煙ブワーッと。」
「いやー僕的には片瀬那奈がいいっすけどねー。
片瀬那奈が鼻から煙ブワーッと。」
..................................................................................................................................................................................................................
後日談
スギヤマ部長は会議の席でマイルドナナを発表し
役員受けも良かったのですが
『鼻からブワーっと』が災いし、
松嶋さんも片瀬さんも果ては木の実さんにも出演を断られ、
結局この企画は流れていってしまいました。
煙のように。
お粗末。
*-ネンゴロ-*
僕は谷村有美さんという歌手にとりたてて興味を持った事もないし
これからも持つ事はない事は大確信していますし
そのヒトがアップルジャパン社長婦人になっても 別になんの感想もなかったのですが
ふと昔、FMを聞いていた時の事を思い出しました。
彼女がパーソナリティーを務める番組で、
大江千里氏がゲストに来ていました。
なんだ、それで、 あの、千里氏の女性観とか、ありがちな質問が繰り広げられたワケです。
んで千里氏 「いやーオンナノコと懇ろ(ねんごろ)になるとね.....」
みたいな感じで話しはじめた。
が早いか谷村嬢、「...いや、うわっ千里さんイヤ、そんなヒトと思わなかった」 と、
公共の電波で放言しやがりました。
千里氏は困ったようにその後、あまりしゃべらなくなってしまいました。
「懇ろ」というのは「懇意になる」「親しくなる」という意味だと思うのですが
嬢は明らかに「寝んゴロ」=「ピロートークの仲」=「ヤッチャッタ」という意味に
ハイパー勘違いをしたようで、
千里氏もそれに気付きつつ、 公共の電波で嬢の無知を指摘してしまうほどコドモではなく
結果、「なんか悪者みたいな感じになってしまった」まま、番組は終わりました。
まあ、いいか。
まあ、誰にでもあるし。
そーゆー勘違い。
ただひとつ確かな事があるとすれば、
嬢は今、シャチョーとネンゴロ。(谷村語の意味で。)
最近は衣食住を除いた物欲に対して「月イチ」制限をかけています。
持ち金に任せて買えたり買えなかったりしていると
「今こんなに欲しいアレが買えなくて、実はあまり欲しくなかったコレが手許にある」現象が
頻繁に経験された結果です。
これが意外にうまく機能しています。
衣食住を対象から外したところがひとつの成功要因でもあります。
(食い道楽や着道楽を生活から疎外すると途端生活がさもしくなる気がするのです。)
先々月は新しいシェーバー、
先月はマイナスイオンドライヤー、
そして今月は...........
ヤマハのシンセサイザーが欲しいなあとか
ワコムの液晶タブレットそそりすぎ!とか
VAIO W 衝動買いしたすぎ!とか
VAIO見た後のiMACはダメすぎ!とか
ヒューレットパッカードの売り子のネーチャンかわいすぎ!とか
そうゆう事を総合した結果
メガネを買いました。(アレ?)
これで僕もよく言えばガクト
悪く言えば大川興業大川総裁です。(どーんとなったはなびがー!)
話とびまくりで躁鬱の進行具合が適格に皆様に伝わるかと思うのですが
実は久しぶりにフラッシュをいじっています。
3分ほどのものになると思うのですが今までのとノリが違うと思います
(思いっきり禁じ手なのですが。)
まあ進行具合が良くないのでいつお目に触れるか正確な事はわかりません。
ただひとつ確かな事があるとすれば、
僕は今、すごくネンゴロしたい。(谷村語?)
*-simple-*
男「結婚しよう」
女「........私達、出会ってまだ一年も経ってないし
それはでも時間は問題じゃないって事も世の中には多々あると思うし
私だって如何なる場合も冷静沈着、
石橋を叩いて叩いて渡らないほどの堅実を気取った憶病者でもないつもりよ?
ただ私達は若い、そう、若いから結婚という一つ重い責任を背負う事に依って
お互いの可能性を永劫、埋没させてしまう事もあるワケだし、
まあ全てが全てそうではなくてお互いを高めあっていける理想の二人などという
絵に描いたようなカップルも実在するワケでまあきっとあなたは私達がそうである、
いや、そうでありたい、いや、そうであるように努力する事が大切なんじゃないのかい?とか
きっとそういう論法で話を進める算段じゃないかと私は密かに思うんだけど
それに対しては、その見極めは結婚を急がなくてもできるじゃない?というか
結婚する理由としてはいささか論点がずれていましょう?という切り返しで対応する所存よ。
そう、それに若い私達にはお金、お金がないわ
そう言うとあなたは私に見透かされないと思って一瞬きっと苦い顔をして
お金なんてどうとでもなるさ、俺いっしょうけんめいはたらくし、とか
君ひとり俺が食わせていくさとか
そのくせ女の金に対するこだわりを心の中で嫌悪して
この守銭奴が ぐらいの悪態をついているのだわ。
....ひどい。
私はそんな無尽蔵な金品に囲まれて高らかに笑って暮らしたいとか
白金に4LDK新築が必要とか明らかに条件反射で男が引いていく事など
おくびにも出さないのよ。てゆーか思ってないのよ、思ってないってば。
ただアレなのよ例えば子供の給食費で困るとか、
ああそこまでは返って 稀かも知れないけれどでもアレよ、
無理して府中あたりに分譲買っちゃったりして
そのくせローンが35年完済で頭金は親ローン
その為あなたは私の両親に頭が上がらなくなって笑顔がどこか卑屈になったり
私は近所の奥さん達とサイゼリアでだべる時にすらディアボラ風ハンバーグは良しとして
プロシュートまで頼んでしまうと晩ごはんの質素さが露骨になるなあとか
脳内家計簿を開いては閉じ開いては閉じしながら
心ここに在らず状態になってしまった挙げ句、ちょっと奥さま聞いてるの?
なんて突っ込まれてしまい、ああ、ごめんなさい、寝不足でぼけっとしていたわ
などとお茶を濁してみるのだけれどタダでさえ東スポ並の想像力とハングリーさを抱えた
専業主婦御一行様にはそれは恰好の餌食となって
意味ありげに微笑みを返され、夜がお盛んで良いわねえとか
夫婦仲が宜しい事で、とかそういったコテコテの言葉を返される可能性だってあるのよ?
そう、苦労。苦労を共にしたいとか
ああ。言いそう。あなた言いそう。それはアレよ。
苦労したくないとまでは言わないわ。私も人の子ですから。
ええ、苦労のひとつやふたつやぶさかではないのですよ。
苦労について決して理解がないわけじゃないのよ?
まあそれは私の父が苦労人だったという事が
きっと少なからずは関係しているのだとは思うのだけれど
それはまた話すと那須高原の大地主の叔父の事から話さなきゃいけなくなるからやめておくわ。
でもそう、例えばエンゲル係数?
そんな言葉を思い出させてしまうような暮らしは私にとってハード
比較級を用いて詳細に表現するならあなたのハードペッティングよりもさらにハーダー。
ああ、「さらにハーダー」は「モアベター」に通ずる知性の無さに響くわね。
でもまあ「もっともっと」を詩的に表現した場合、アリかなと思ったのよ。
伊達に英文科は出てないわよTOEICの点数はひとに言えたものじゃないけど。
まあでもその話になると私はいつもニュージーランドのホストファミリーの
メイヤーさんの話しを始めてあなたはほくそ笑んでるふりをしながら
またその話かよと心の中で舌打ちをするのを私は知っています。
...........ひどい。」
男「5文字以内に集約してください」
女「ご免なさい」
*-ちょっと痛いですよ-*
こんにちは僕ペッツ。
今一番好きな調味料はハオ・ユウ・ジャン。
今一番好きな店は銀次郎。(八百屋)
えー。
今月は通院月間となりそうです。
長きにわたり騙し続けていた左奥歯が臨界点に達し
ごうごうと音をたてて核融合をはじめたので
世相を鑑み、 運転停止の方向で
家から5分の歯医者さんに通いはじめました。
名実ともにデンタルペイシェント。
さてマイデンティストについて特筆すべき事と言えば
やたら衛生士さんの数が多く
それらがやたらかわいいという事です
我ながら嗅覚が良い。(嗅覚 ?)
そんなのは不純だとか
本末転倒だとか仰いますが
「通い続ける」事がなにより大事な事ですので
その意味ではあれなのです
「家から5分」以上のモチベーション獲得なのですが
目を閉じて大口開けた虫歯オトコの馬鹿顔を
間近で見られてしまうこの辱め。この苦痛。
こ、これは ドリルでキュィィィーン以上だぜ。
そんな恥辱に苛まれまして
然して 癖になってしまいそうなので
近々、耳鼻科、眼科なども渡り歩く予定でおります。
(レッツ捕獲ナイチンゲェェェール月間に改称)
*-only one but enough-*
ベートーベンは聴覚がなくなっても
作曲を続け
オーケストラを指揮し
希望のなんたるかを民衆に見せつけた
「聞こえないのに!聞こえないのに!」
数百年の時を隔て、極東では
ある民放アナウンサーが
十数年のキャリアとゴールデンタイム出演を以って
希望のなんたるかを 再び人々に焼きつけた
「鼻声なのに!鼻声なのに!」
『ドキュメント鷹西美佳』 新潮社刊 〜創刊に寄せて
そんなものは創刊されません。が。
僕はなぜだか彼女のデビューをかなりクリアに覚えていて
それは往時の夕方6時、ライブオンネットワークというニュース番組で
普段は 井田由実がピンでやってたんですが
ぶっ倒れたか休んだかで一週間ほど代役に立ったのが彼女でした。
これでもか、といわんばかりのド素人ぶりで
1時間の間に最低180回はトチる感じで
子供ながらにテレビの前ではらはらしたのを覚えています。
画面には終始焦り顔しか映りませんでしたが
番組終了後と帰宅後に分けて、彼女が悔しさと恥ずかしさで大泣きしただろう事は
アレを見たら誰でもわかる、くらいでした。
そしてなぜここまで明晰に覚えているかと言えば
彼女がかつて 衝撃的に美しかったから、だ、と、思います。
彼女がその後 努力とキャリアを重ね日テレ裏番長となった今、
もうそんな事を知るヒトも少なく
ああ、時間は優しいなあ、
そして同時に
ああ、時間は残酷だなあ
と毎度お馴染み近視で遠い目をするオトコ、ペッツです。
全っ然関係ないんですが(毎度どーも)
他人様の期待を裏切る事は実はあまり罪ではなく
その逆、自分の期待を自分が裏切ってしまう事は
罪だと思うのです。
人間は多面体ですから
腹の減り具合や雇用条件や終電の時間や天候、気温や
娘や配偶者のグレ具合などで
気分や性格が変わるでしょうし
信念を深めたり自暴自棄になる自由をも保証されています。
志し、などという言葉を使うと随分と陳腐に聞こえる世の中ですが
斜に構えて
統べてを値踏みして
見下すべきものをとことん見下し、
損得で媚びへつらい、
わりと感情まかせの人々に
ラクそうに見える彼等に
僕が迎合しない理由がたったひとつ
たったひとつだけあるのです
それは、集約されすぎた言葉を使えば、
「友達の友達は皆ルイを呼ぶ ルイルイ!」
という太川陽助氏のルイ14世トリビュートアルバム(廃盤)の中にも語られているのです。
弛緩の中に身を置いて
ヴィジョンを持たぬ場渡り
見込み任せの終身雇用
高い適応度は実は主義主張のなさ
らくちんで、ほっとして、まわりもみんな似たようなもんだし、
ああ、これでいいんだなあ
ああ、これでじょうじょうだよなあ
つーかこれがきっと生活というヤツなのでは
と、朱に交わったり、藍よりいでて藍よりケツが青かったりしている
そんな時にね
そんな時に限ってね
かつて自分が固持していた
気付かないうちに何かと摺り替えてしまった
なにものにも変えられないはずの主義や主張やポリシーを持って
理想を夢見ているのではなく
理想と現実を融合させようと努力する
そんなヒトに会ってしまったとして、だ
一度らくちんコイてしまった彼は
もう類でも友でもない
『呼ばれない』自分に、
やっぱり愕然とするしかないと思うから。
その眩さから目を反らすしか残されてないと思うから。
僕は、そんなのは嫌なのです。
そんなのは罪より辛いのです。
*-乳化-*
眠くて寝る
腹が減って食べる
やりたくてヤル
退廃だと声を荒げる人の
押し付けがましさにも今日は同調しないけど
確かに存在する壁を
突き壊すのはなんだ
破壊の為の工作機械
ピル服用の安全なロックンロール
それとも君にあの日教わった乳化剤
あの子に会ったのは
僕がまだ20かそこらで
学生とバイトのどちらが本業なのかわからないほど
カウンターの内側に身を寄せている頃だった。
西口のお子様向けのバーでは飽き足らず
関内のど真ん中の店に移り
この街のひどく陰鬱で難く
しかし決して表には出ない様々なしがらみに
僕は洗礼を受けていた。
多くの人が持つイメージの中に出来上がっている
西口と関内の雰囲気の違いは、或いは正しい。
一見様大歓迎、ターミナル周辺に広がる
庶民生活の延長に支配される西口
山下町、みなとみらい、伊勢佐木町、石川町、中華街に囲まれ
しかしそのどれとも相容れない 奇跡の孤独感と郷愁、そしてスノビズム
関内は外面は別として、決してよそ者が遊ぶ街じゃなかった。
どれだけのレシピが頭に入るか
手際の良さとシェイカーの高速インターバル、その音
そんなものに終始した前の店と比べ
この街の高級店は若い僕には最初安穏にさえ映った。
品のいい蝶タイ、緩慢で丁寧なヨーロピアンスタイル
奇抜なオーダーは少なく、
男はスコティッシュウィスキーのシングル
若作りの者でもせいぜいバーボンだった。
いっぱしの社会人をよくスーツの色から灰色に例える事があるが
僕がこの時感じた歳を経た男達の色はボウモアの琥珀だった。
その店が、当時僕が求めていた格好良さから離れた部分はもうひとつあって
それはホステスが居た事だ。
バブル末期、悲壮を漂わしはじめる者はまだ少なく
男達の落としていく金は
学生の僕が呑みに周る店とは
誇張なく確実に一桁違う額だった。
隠れ家的ではあったがいかがわしいところはなく
その意味で彼女等は本来の意味でのホステスであったと思う。
あの子は僕の入店から2ヶ月ほど経って ある日ちょこんとそこに居た。
開店前の、でももう薄暗い中
更に薄暗い店の中に
しゃがんで、
文字通りちょこんと、
総ガラスの内ドアーを拭く後ろ姿が
僕が見た最初のあの子の姿だった。
雑用はすっかり男達の仕事になっていたから
僕は少々驚いた。
同僚が言う事には彼女からなにかやらせてくれと言ってきたらしいし、
それに
ゴージャスに、かつ品よく伸びたソバージュは
ガラスクリーナーとの相性がいいとは思えなかった。
彼女は春からの就職の決まった、国立大学の四年生だった。
明らかに垢抜けはしないその学校名を聞き
意外に思うのと同時に
学内での人気のほどは何を聞かずとも伺い知れた。
明らかにアダルトな客層
若いといっても相応の、主流の従業員の中
僕にとって彼女は(彼女にとっての僕も恐らく)
数少ない、気を張らず話せる仕事仲間だった。
過激で流麗な髪
対極、ベビーフェース。
それでも彼女が合わせ持つ親しみやすさとクールのコンプレックスは
嫌が応にもいつも、僕が彼女の二級下である事を思い知らせた。
彼女はきちんとしていて
それでいて屈託もないから
客の評判も良く
オーナーからも重宝がられていたのだが
やがて春が近くなり店を去った。
僕は店に残り
日々をバイトと名ばかりの学業に費やし
もうすぐ目の前に夏を迎えるある日
不案内の客を迎えに行く道すがら
名字に君づけで後ろから呼ばれ
躊躇しながら振り返る。
それが彼女との再会だった。
カジュアルでありつつも品を残すというのは
服飾の領域だけで完成されるものではないかもしれない。
彼女の残り香と意外にもその時はじめて聞いた電話番号を手にして
僕は少し気を遠くしていた。
彼女との最初のデートはそれから1週間後
「この際、小洒落たバーでもないよね」という共通認識で
僕等は離陸する飛行機が間近に見える埋め立て地に向かった。
スタッフにはハイネケンを2本、袋入りの氷と一緒にコンビニで買って
目的地までにキンキンに冷えてもらう算段だ。
車の中でも
頭上に鉄塊が浮くその島でも
僕等はほんとうにいろいろな事を話した。
事欠かない話題は就職活動や
『実際、社会に出てみてどうであるか』などであったが
僕は大仰にうなずくわり、
彼女のきめの細かい肌の質感や
心地よい、わずかに低めの声のトーンなどに
思考のほとんどを占拠されていた。
「乳化剤って分かるかな?」
彼女は研究職で、自らの仕事の内容について
某かの脈絡で語っていた訳なのだが
根っから文系の僕が 乳化剤の定義とその用途を
平易な言葉で分かりやすく理解できたのは 間違いなく彼女のお陰だ。
ミルクとはなんの関係もないもの
例えば水と油を結ぶもの
僕の為に平易ではあったが
職業・アナライザーの彼女から発せられる言葉は しっとりと説得力があった。
彼女とのキスや胸焦がすシュチュエーション
書くに憚る事
書くに辛い事
思いは幾多あるが僕は今日は。
破壊でも方向転換でもない乳化という現状の打開策とそれから、
書く事のある筈なかった君へのラブレターを。
ちょっと書いてみたくなっただけなんだよ。
recommended tune................................悲しきレイディオ / 佐野元春
*-お手々の皺と皺を合わせて-*
いや、
ベタで。
やっぱアップすんのやめようかとゆう。
そうゆうベタさで。
今日が大寒てのがしっくり来すぎで。

(新iMacライム)
わーごめんなさいごめんなさい

(新iMacタンジェリン)
うおーこのウェブさーむーいー

(新iMac寂聴 featuring 瀬戸内寂聴)
なむぅー
( "yum." にひっかけてるなんてゆうともっとキッツいからゆわない)
*-条件反射高島町-*
なんだ久しぶりに
東横線に乗りました。
そして誰に頼まれたワケじゃないけど
各駅のキャッチフレーズを作りました。
アド街ック天国とかで使ってください。
まったりとしてそれでいて渋谷
モバイルトルコ人代官山
くされスノッブ中目黒
サリンジャー祐天寺
コントラバスのことなら学芸大学
カレーライス都立大学
後付けウォシュレット自由が丘
仏恥義理田園調布
ボンジュール多摩川
もしもの時の新丸子
夢をかなえて武蔵小杉
日進月歩元住吉
鈴木保奈美っぽい日吉
アイ ハヴ ア 綱島
おまえが好きだ大倉山
菊名にしやがれ
お日柄も良く妙蓮寺
ブルース白楽
サッチモ東白楽
信頼と実績の反町
モーレツ横浜
条件反射高島町
たらこくちびる桜木町
だからなにとかはゆうな。
*-ライフタイム苦笑い-*
えっと年の瀬になると
『今年一番○○だったもの』みたいな話題って出ます。
迎合するみたいでヤなんですが
『今年一番痛かったヒト ベスト3』です。
田代とか野村とかウサマとか米とかベタすぎて痛くも痒くもねぇ。ので。
3位 友人の披露宴で『ライフタイムリスペクト』を歌ってしまったヒト
2位 自分の披露宴で『ライフタイムリスペクト』を歌われてしまったヒト
1位 よりによって『ライフタイムリスペクト』をBGMにプロポーズしてしまったヒト
番外 そのプロポーズを受けてしまったヒト
えー、3位ですが 二次会まで含めると、
全国でかなりの数の痛い報告が寄せられており、
やっちまった犯人の大多数は
「新郎の六流大学時代、体育会の同期有志(複数人)」である確率が
全体の74%を越えるそうです。
ダメですね体育会。
恥ずかしがらずにやるのがせめてもの救いですが。
(近年、体育会のヒトにはそれ系の機能がないという学説が発表されています)
2位の新郎新婦ですが 多くの目撃証言によると
「両者とも微笑んでいた」という事です。
このような場合、実際は新郎は「愛想笑い」、新婦は「苦笑、失笑、嘲笑」している、
が全体の100%に達しています。
1位はかなり痛いですね。
痛い上に確信犯。
ハズしているのに自覚どころか 自らを名コーディネーターと信じて疑いません。
恐ろしい事に全国の閑村部からこのような事例が数十件寄せられています。
富山県、秋田県など日本海側に多く。
『文字通り寒かった』とは被プロポーズ者の弁。(匿名希望)
番外.......「ほんとうにいるのか?」という声が多く聞かれますが
全国で4人ほど、存在が確認されたそうです。
うち2名は山口県、三重県に働きに来ていた外国人労働者で
インタビューに対し 「歌がなんだかわからなかった」とか
「祖国に豪邸を建てる」とかそうゆう回答でした。
*-人生の後藤-*
後藤という姓の人に今まで何人となく会った。
即座に僕の「全後藤歴」を思い出せる訳でもないが
僕の中にはもう確固とした「後藤の肖像」があり
恐らくこれから会うどの後藤も 僕の持つこのイメージを払拭しはしないだろう。
イメージは漠然とした、空気に近い存在なのだが
他者に伝える為の記号化というデバックを敢えて行うならば
僕の後藤→ 黄色 ナポリタン 関根勤 である。
これが何に起因するかは極めて明解であり
時は僕の幼稚園時代、2年程暮らした仙台に遡る。
小高い丘の上のカソリック系幼稚園のゆり組
級友のひとりに「後藤君」がいた。
僕は彼とは接点がなく、あまりしゃべる事もなかったが
彼には非常にリマーカブルな特徴があった。
僕等の園は各オカァサン自作のスモッグを着用していたのだが
彼はいつ何時を問わず、パステルイエローと白のチェックのスモッグであった。
まあこれに関しては替えのスモッグも全て同じ生地だったかも知れないワケで
対したアレではないのだが、後藤→黄色のバックボーンとなった。
そして昼時、
僕等の園は各オカァサン自作の弁当を食べていたのだが
彼のそれはいつ何時を問わず、
一見のり弁当が入っていそうなアルマイトの弁当箱を開けると
乱れなく一面に広がるスパゲティーナポリタンであった。
横のほうにソーセージやレタスなどが添えてあるワケではない。
瞭然で高潔な純度の高いスパゲティーナポリタンだ。
それが毎日毎日毎日だ。
そしてごちそうさまの後の後藤君の口廻りは鮮やかなオランジェ・イタリアーノに染め抜かれ。
(まあケチャップなのだが。)
それも毎日毎日毎日だ。
想像してみてほしい。
無機質のアルマイトの蓋を取ると必ずそこに存在するオレンジ色を。
ナッシング・バット・ 麺を。
一介の幼稚園児にとって、
それは衝撃というより、一世界であったと思う。
こういった日常の風景が、 後藤→ナポリタン のバックボーンになった。
そして彼は関根勤に似ていた。
心理学やトラウマや観念、印象というものを具体的に語ると
なんと下らなく、理屈や連続性のない事だろうと笑いたくなるが
実に、それらはそれ以上でもそれ以下でもない形で僕の中に存在し続けている。
一度だけ、予備校時代、仲の良かった女の子に「後藤さん」がいて
ラクダに似ていて、且つ、かわいい、という人だった。
存在感もあり、
僕はココロの中で
『もしかしたらこの人が僕の後藤観を変えるのでは?』などと密かに期待したのだが
1年足らずの付き合いでは到底それには及ばなかった。
なぜそんな事を なんとはなしに考えているかと言えば
ここ3週間、異常なペースでスパゲティーナポリタンを食べている。
後藤君のそれと違うところは、
僕はオニオンとピーマンと挽肉、 そして大量のパルメジャミーノを欠かさないところだ。
然して僕は御飯時
別段嬉しくも悲しくもない感情で
「あー、おれ、なんか後藤君みたいだなあ」と思っている。