フェレットの心筋症 FAQ
目次
フェレットの心筋症 (Dr. Williams)
Dr. Bruce Williams, DVM, 寄稿
心筋症は一部のフェレットに見られる遺伝性の疾患で、老齢になって発症する。心筋症とは心筋が徐々に弱まり、十分な血液の駆出が出来なくなるものである。心筋が弱まり、引き延ばされて心臓は徐々に拡大して風船のようになる。
血液が停滞し始め、肺及びその周囲、時には腹腔にも血液が集中し、最も良く見られる症状である咳嗽の原因となる。実際には多くの動物で第一に活発さが無くなり疲れやすくなる。
心筋症はいくつかの薬剤で治療が可能である。これには心臓の負荷を軽減する利尿剤も含まれる。しかし、いずれにしても疾患の進行は止めることはできず回復することはない。
心筋症は大部分が遺伝性である。心筋症はボクサー、グレートデン、ドーベルマンにみられ、それぞれの種にそれぞれの心筋症のタイプがある。人間においても家系的に認められる。人間ではウイルスも原因と考えられてきたが、心筋症のフェレットに先行するウイルス感染を疑わせるような病態は認められていない。
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フェレットの心筋症
心筋症は犬や猫、また多くの飼い主やブリーダーが知っているように私たちの飼っているフェレットも含めて、多くのコンパニオンアニマルにおいて良く見られる心臓疾患の原因である。CARDIOMYOPATHYと言う言葉は文字通り”心筋の疾患”を意味する3つのギリシャ語からなり、しかも、私たちがこの疾患に対して持っている知識を要約している。
フェレットの心筋症の原因は犬や猫と同様に明らかではない。最初に心筋症が認められ、より広く研究されてきた人間においてもその原因はよくわかってはいない。しかし、いくつかのタイプの心筋症は内分泌疾患やウイルス疾患、中毒(アルコール中毒を含む)、栄養不良などに伴って見られる。猫においては心筋症の一つの原因としてタウリン欠乏が知られているが、これがフェレットにもあてはまるとは限らない。それでもタウリン欠乏は重要である(このことが自分の与えているフェレットフードにタウリンが含まれているか確認する理由である。フードのパッケージに書かれているタウリンの量を確かめなさい)。
フェレットの心筋症は潜行性で、心臓は飼い主がフェレットあの具合が悪いことに気づくずっと以前から傷害を受けている。すべての心筋症の傷害は同じもので、すなわち心筋線維が壊死し、瘢痕組織に置き換わる。瘢痕組織は電気信号を伝達することは出来ず、また心筋線維のように収縮することもできない。より多くの線維が失われれば、心臓は弱まり、有効な血液の駆出が出来なくなる。この結果フェレットの心疾患の診断を確定できる2つの臨床症状を示す。a)心肥大と、b)心機能低下により血液の駆出が出来なくなることによる”血液の逆流”、の2つである(血液の逆流は、”鬱血性心不全”として知られる症候群を引き起こす。これについては下に記す)。
血液の逆流は多くの臓器で起こる。腹部の血液の逆流は腹水貯留による腹部の膨満を生じる。血液の逆流は肺周辺または肺自体でも起こり、まず軽度の咳をみる。さらに重症になると咳がひどくなり、飼い主もはっきりと活力が低下していることに気づく。末期には呼吸困難を生じ、肺水腫と腹水の貯留の併発も見られる(腹水は横隔膜を圧迫しさらに呼吸を妨げる)。これは鬱血性心不全と言われる病態である。
私は数頭のフェレットで異なったタイプの心筋症を見ている。これは猫に見られる心筋症で、”肥大型心筋症”として知られるものである。この疾患では線維の過形成が見られ、線維は心臓の内径にまで侵入し、心臓の血液駆出力を低下させる。このタイプの心筋症の臨床症状は鬱血性のものと同じである。
この疾患を早期に診断するのは難しく、進行するに従って明らかとなってくる。すべての徴候(心肥大、腹水、肺水腫)はレントゲン検査で診ることが出来る。レントゲン検査がこの疾患の主要な検査法となる。超音波検査のような特殊な検査も一部の動物病院では受けることが出来る。この検査法では一部の症例では早期診断が可能である。
心筋症は潜行性の進行性疾患と考えられる。心筋症は治癒させることは出来ず、治療法があるのみである。このタイプの心臓疾患の治療は二つのことが重要である。第一に腹部の血液の逆流を減少させなければならない。次に心臓の収縮力を増強させる。腹腔や肺に貯留した水を移動させ、機能が低下した心臓が駆出出来る程度に血液量を保つために利尿剤が用いられる。ジギタリスや類似の薬剤は心筋の収縮力を高め、より有効な血液の駆出を行えるようにする。早期の疾患では利尿剤による血液量の管理が唯一必要とされる治療である。心臓の機能が低下していた場合は、ジギタリスを使用し、心予備力をしばらく抑制する。
しかし、すべての動物が治療に反応するとは限らない。Dr. James Fox は著書「Biology and Disease of the Ferret」で治療しても症状の進行は速く治療の効果が得られないことも多いとしている。このことから患畜を念入りに観察し、効果が見られていないようであれば獣医師にすぐに相談しなさい。
1. Robbins SL, Cotran RS and Kumar V. Pathologic Basis of Disease. W.B. Saunders and Co., Philadelphia, 1989. p. 634-638.
2. Fox, JL. Biology and Diseases of the Ferret. Lea and Febiger, Philadelphia, 1988, pp 268-269.
3. Jubb, Kennedy, and Palmer. Pathology of Domestic Animals, vol 3. Academic Press, San Diego, 1985, pp. 26- 29.
Bruce Williams, DVM
williamb@email.afip.osd.mil
心筋症 (Dr. Brown)
Dr. Susan Brown, DVM, 寄稿
キャットフードにタウリンを補給して与えるようになって以前よりはるかに心筋症の発症が減った。タウリン欠乏は猫の拡張型心筋症に関係していると考えられる。
しかし、心筋症には拡張型(心筋が弱くなり弛緩する)と肥大型(心筋が肥厚し寝室が狭小化する)の両者が見られる。診断は臨床症状やレントゲン検査、心電図、超音波で行い、拡張型と肥大型を鑑別する必要がある。両者は異なった薬剤による治療が行われる。犬糸状虫も重篤な心疾患を引き起こすので、犬糸状虫の感染地域では糸状虫の検査も必要となる(しかし超音波で犬糸状虫が確認できることもある)。
すべての症例に利尿剤が用いられ、Vasotech さらに他の薬剤が疾患の病型に応じて必要となる。治療は行う価値がある。私は現在最初の診断から二年を経過したフェレットを診ている。これは初診時に肺水腫を認めた症例である。もちろんこれらの治療の成果は、第一に心臓がどれだけの障害を受けていたかに応じる。
心疾患のフェレットの看護
以下の情報は Sukie Crandallより寄せられた。彼女は飼育している Meltdownと Ruffleと言う二匹の心疾患を持つフェレットに関する経験を報告している。
これまで心疾患を持つフェレットに脂肪が悪影響を及ぼしたということはない。しかし、心筋症ではない心疾患、あるいは前心筋症段階にある心疾患では、塩分は問題となるかもしれない。フェレットフードやキャットフードで十分含有量の低いものは無く、最も塩分含有量の低いフードは栄養素が十分でなく、栄養を十分にとるためによりフードを多く採食すると、より多くの塩分をとることになる。多くのベビーフードにも塩分が多く含まれる。獣医師が低塩分の食餌を奨めたなら、塩分を加えない肉に火を通し、ピューレ状にしてかたゆでにした卵の黄身を加え、フェレットの好みに応じて食塩の代用のNu-saltを加える。Nu-saltは塩化カリウムで、腹水の見られるフェレットで、利尿剤や脱水の影響で電解質に異常が見られた場合にも用いることが出来る。製氷皿で凍らせて密閉容器やラップにくるんで保存可能である。
心疾患を持つフェレットには、おやつやハーブ、また、なんとか保たれている動物の状態を悪くするような食品は与えてはならない。この中には甘草、カフェインや鎮静成分を含む飲み物、Lanoxinの吸収を阻害する線維分に富んだおやつ、チョコレートなどが含まれる。
心疾患を持つフェレットにとって、ストレスは死を招くこともある。個々のフェレットに専用のケージや、風呂場の入り口に柵を設けたようなスペースを与え、飼い主の監視のもとでのみ、仲の良いフェレットと遊ばせたり休ませたりする。患畜のフェレットを怒らせてもいけない。室温は80°F以下に保ち、一日の温度差も大きく変化させない。フェレットがいつも使っている大きく重い遊具は取り除き、小さく軽いものに取り替える。頻繁に使うトイレはゆるいスロープの付いたものや、入り口の低いものをカタログなどで探すと良い。しかることでフェレットをしつけようとするのは良いことではなく、フェレットはご褒美を与えることでものごとを良く学ぶ。心筋症のフェレットに対してしかることは極めて危険な状態を招きかねない。飼い主が受け入れることが出来ないものからはフェレットを遠ざけるようにする。
具合の悪いフェレットがトイレを使うことが出来なくなった場合は、床に新聞紙を敷くことになるかもしれない。トイレ容器に入れるトイレ材には、新聞紙を切り刻んだものを加え、動物病院や薬局で支払う費用がある分、節約をするようにしても良い(我々のシュレッダーの価格$80は、トイレ材を節約することで6ヶ月で償却された)。
うっ血性心疾患のフェレットとの生活
[Jan BoyleおよびDon Boyleより寄稿]
あなたの飼育しているフェレットがいつかCHFあるいはうっ血性心疾患と言われる状態になるかも知れません。私は獣医師でもなく助言を与えることはできません。ただできることは、私たちの得た経験をお話しし、あなたのフェレットが同じ状態になったときに、その管理の面で何かの役に立つことを祈るだけです。私たちの"やんちゃこぞう"はまだ元気です。
突然私たちのフェレットのポトが具合悪くなる2〜3週前、ポトには動きに緩慢さがみられました(その突然みられた症状については後で説明します)。それはわずかな変化でしたが、はっきりとわかる変化でした。私は何が起こったのかわかりませんでしたが、明らかに遊ばなくなり、活動量が減りました。ある晩、私は夜中の2時半に目が覚め、飼っているフェレットの中で最も高齢のポト(約7歳)が風呂場のマットの上に横たわっているのをみつけました。明らかに異常な状態でした。平らに横たわり、ぐったりして見えました。いつもは私が起きると彼は尾を振って私を見上げるものでしたが、このときは彼はそこに横たわったまま、私が揺り動かそうとしても動こうとしませんでした。ただ眠いだけの状態とは明らかに異なっていました。言葉では表しがたい状態でした。
私は看護婦ですので、家に聴診器を持っていました。私は彼の心音を聴診し、大変驚きました。彼の心臓は心拍が遅く、時には止まり、また動き、時には非常に速く拍動していました。私は彼が今にも死んでしまうものと思えました。後になって、そのままにしていたらほんとに死んでいただろうと思いました。このようなときには、耳をフェレットの胸にあて、心音を聴くことができます。聴診器は必要ありません。私の主人が起きてきて、ポトを揺り動かしたところ、少し動きが出たようでしたが、私は近所の獣医師に電話を入れた。ポトの症状を説明したところ、その獣医師はフェレットに詳しくはないようでしたが、翌朝まで様子を見ても良いだろうと言われました。
朝になると心拍は毎分400ほどと非常に速くなったり、200にまで落ちたりしていました。近くの動物病院の診察を受け、レントゲン検査を行い、夕方にラシックス(2mg)を投与されました。レントゲン検査の結果ポトの肺や腹腔に液体が貯留していました。しかし、この獣医師にはレントゲン検査にみられる徴候の原因が何であるかわかりませんでした。 ラシックスは実際にはこの状態では必要なものでしたが、投薬が遅すぎました。すえに私たちがポトの変化に気づいてから30時間は経過していました。おそらくより多量に投与することで早急に治療効果が得られたことでしょう。私たちはその病院後にしましたが、何ら診断は得られず、症状は改善をみず、レントゲン検査の結果が得られただけでした。
いずれにしても、その晩ポトはより症状が悪化しました。かれはあえぐように呼吸し、時折湿性の咳をしました。2-3度咳をし、その後また咳をしたとき、私はそれ以前の咳とは違うことに気づきました。ポトは今回のような状態になる以前には咳をしたことはありませんでした。
翌朝早く、私たちはポトを家から数時間はなれた、フェレットに詳しい獣医師の元へ連れて行きました。超音波検査の結果、ポトの心臓の弁は幸い正常に動いていました。ポトの心臓の脇に脂肪の塊があり、獣医師によればこれが原因となっているということでした。ポトの腎臓には液体を貯留したふたつの嚢腫がありましたが、獣医師たちがこれをCHFに関連があると考えるとは思いませんでした。
家に戻っても、私たちはラシックスの投与を続け、獣医師の指示に従ってラシックスを有効最小量にまで徐々に減量しました。ポトには1日2回、12時間ごとに1/2mgでした。さらにポトにはエナカルドの1mg錠の1/8を1日1回投与しました。私は液状のラシックスを与えていたので、一回量はごく少量で、そのため小さじ1杯のSustecalと4杯の水で増量して与えました。エナカルドは細かく砕いて、夜ラシックスと一緒に与えていました。薬の味がまずいのをごまかすために、さらにビール酵母も加えてました。ラシックスには錠剤もあります。
ポトは太りすぎでした。それはポトの心臓により負荷をかけています。フェレットを太らないように維持することは簡単ですが、痩せさせるのは難しいことです。人間同様、肥満はフェレットの寿命を縮めます。暖かい日には散歩に連れて出ます。多少はダイエットによいかと思います。
個々数ヶ月、そして現在もポトは大変良い状態で、以前のように元気よく遊び、なんの変わりもないように見えます。ポトがもともと非常に丈夫なフェレットだったのが幸いしたのかも知れません。私たちはポトの体重を少しずつ減量するように努めました。大変難しいことでした。動物病院で購入できる低カロリーユカヌバも利用してみました。今ではこれをレギュラーユカヌバに混ぜて与えています。低カロリーユカヌバはレギュラーユカヌバのラムアンドライスなどと違って食肉を中心に作られていないためです。トータリーフェレットをポトが好んでいるので、この低カロリー食を与えてみようかと思っています。
フェレットのCHFは人間の場合と同様に進行性の疾患です。私がこれまで目にした文献等によると、症状の発現から最長2年間生存しているようです。私たちはこれまで8ヶ月間看病してきました。今後はラシックスの用量を増やす必要も生じるかと思います。
フェレットのCHFに関する情報をできる限り入手して読むことをおすすめします。まだ多くの情報はありませんし、あなたのかかりつけの獣医師がこの病気の治療について十分知識をもっていないかも知れません。猫や犬とは異なる点もあります。最前の治療について獣医師とよく話し合われるとよいでしょう。
Copyright 1994-1998 by Pamela Greene<pamg@rice.edu>
Last modified: 27-2-1998. Comments and suggestions are welcome! I am not a ferret expert and cannot guarantee the accuracy of this information.