2006年8月18日(金) 無題 

8月18日天候晴れ水温10℃

2日間も釣行があったにもかかわらず、釣果が小イワナ一匹だけという、
久しぶりに屈辱を味わった、悪夢の長野遠征から一週間。
仕事にも身が入らず、脱け殻の様であった。

それにしても、なぜ長野で釣れなかったのか色々考えてみた。
下ろしたてのロッドの為、キャスティングがおかしいのか、
それとも長野には相性が悪いのか。

その答えを見つけに、caddisの仲間にも言わず向かった先は、
神奈川県西部に位置する早戸川上流。
ここのところcaddisのホームである。

県道64号線から、リバースポット早戸川の案内板に従って林道へ入り、
丹沢観光センター(平成16年に閉鎖)を過ぎ、魚止橋を5:30に到着。

ここの最上流部には滝があり、神奈川に大滝と呼ばれる3本中の一つ、
また日本の滝100選にも選ばれている美しい早戸大滝がある。
この滝は、正面からでは前に立ちはだかる大岩に隠れてよく見えず、
またトレッキングの難易度が高く、そこまでたどり着かずに途中で諦めて
引き返す滝人が多いことから、まぼろしの大滝とも呼ばれている。

滝まで制覇したのは、caddisメンバーの中で、へっぽこD級仲西しかいない。
彼もやはり1回では行けず、3回目ぐらいで滝を見ているという。
自分も、よく釣り上がりで途中までは行くが、まだ見たことはない。
いつかはと機会を狙っているが、今回も釣りがメインの為、
食料、水分を軽装して歩き始める。

いつものように、山道を歩かず川岸を歩く。
なぜ、川岸を歩くかは自分なりに理由があり、流速に目を慣らす事や、
その日の渓の状況や情報など得る為でもある。

台風7号の後だけに、渓が荒れ、増水しておりポイントが少ない。
川岸を歩いていると、つい良ポイントに目がいき、竿を出しかけるが、
丸太橋からと決めて歩いてるので、ここは我慢して先を急ぐ。

途中何箇所か、足を滑らせ体を岩に叩き付けられたら命がない、
という難所をクリアーし、やっとの思いで丸太橋付近に着いたのが8:00。
山道の倍の時間がかかっていた。
そして案の定、丸太橋は無く、台風で流されたに違いない。

それにしても、今年35歳で運動不足、なおかつ装備合わせて
総重量0.1トンの体を支える膝は、すでに悲鳴をあげ放心状態。
はやる心を抑え、ここで無念にも一時間の休憩。

水分を早い内に使い切らないよう、湧き水でうるおしてから、
左が大滝沢、右が原小屋沢の流れる合流点である雷平まで一気に釣り上がる。
ここまでの釣果は24〜25センチのイワナ2匹、小魚3匹。
まずまずであるにも関わらず、心から喜べない。

キャスティングが、メチャクチャだからである。

よくキャストの練習をしている仕事場の駐車場では、流れや風がないため、
フォームやループの形を知ることしか出来ない。
とりあえず魚は釣れたことだし、新調したロッドに慣れるためにも
今日はひたすらキャスト練習をしながら釣り上がる事にした。


ドラグが掛れば、ドラグフリーで投げれるまで、フライがハゲ鷹になろうが、
リーダーがボロボロになろうが、同じポイントに何回でも投げる。
そのかいあって、だいぶロッドにも慣れ、ショートレンジでは正確にポイントへ
送り込めるようになってきた。
だが、ミドルレンジになると以前のロッドのように正確性がない。
納得出来るまで、投げまくった。

よく渓景によってロッドを使い分ける人がいるが、
不器用な自分には到底無理であり、それに伴う技術もない。

確に以前のロッドは、8年も使っていて、そう簡単に癖は取れない。
慣れるまで、時間がかかるだろう。
理屈ではない、体で覚えるものだと思う。

3時間程、休まず振っていただろうか。
だいぶ腕がパンパンになってきたこともあり、
川の中の大岩をよじ登り、ここで昼飯をとる。
何気無く川の中を覗いていると、流芯の中でうごめく、
間違いなく尺はあろうかという、大きな魚影を確認。
ワンキャストで仕留める為、慎重にポジションを取り、いざキャスト!

出た!!

が、フッキングしない。
毛ばりに触れたらしく、二度と大きな魚影は姿を現さなかった。

きっとお盆の間、何人もの釣人に、いじめられたに違いない。
深追いせずに、その場を後にし、さらに大滝沢を進む。

途中、大岩を高巻きするのに山道へ入り、大滝まで15分と書れてある、
手書きの看板を発見した。
トレッキングや滝人なら、これを見て、勇気付けられるのだろうが、
今回もまた、滝を見に行くことなしなかった。
すでに膝や足は限界だったし、
まだまだやらなければならないことがある。
幻の大滝を見れる日は来るのだろうか・・・

あと一匹釣れたら納竿しようと、今日4本目となるリーダーを交換し、
もう一度、毛ばりに息吹を込める。
しばらく釣り上がると、一級ポイントの巻き返しを発見し、
毛ばりを慎重に送りワンキャスト目。
ドボッ!!と、待ってましたと言わんばかりに、元気よく飛びだしてきた。

デカイ!!

上流に走ると思いきや、なんと早い流芯に乗り下流へ!
しまった、不意をつかれた!

足場を確認せずにキャストをしていた結果、足は上流に上半身と左腕は下流に向いている。
なんとも無様なポーズである・・。
それでも、なんとか持ち堪えて、体勢を整えて緩やかな流れに導き、
見事ランディングに成功!!

ファイティングの主は、なんと32センチの尺イワナ!!
目付きの悪い、野生化した日光イワナである。


ここで気持よく竿納、帰りは山道で下山する。
今日は練習に没頭しすぎて、あまり釣る時間がなかったにもかかわらず、
イワナ4、ヤマメ1、小魚3匹という釣果であり大満足である。

話しはそれるが、この写真の蝶、イチモンジチョウと言うらしい。
表と裏の模様がちがう綺麗な蝶である。
尺イワナが釣れる前に何回はらっても、何故か左手にまとわりついてくる。
大物が釣れる事を教えてくれていたのか、
それとも俺があまりにも自然に同化していて、しし神様にでも見えたのか、
はたまた、俺の汗が甘いというのなら、それはそれで問題である。

下山途中の丸太橋付近で、前方から歩いてくる、40前後の夫婦らしき二人が、
にこやかに話しかけてきた。
15時を過ぎるというのに、これから大滝を見に行くらしい。
その二人は、ペットボトルを片手に持ち、短パンにタンクトップというスタイル。
それも女性の方はなんと、これから海に行くじゃないかというサンダルを履き、
とても滝人には見えず、恐ろしい程の無防備なスタイルである。
ヒルやマムシが気にならないのだろうか・・?
その夫婦と別れてから、妙に心配になってきた。

そんなこんなで、無事に車止に到着。

今回の釣行は、長野の悪夢を忘れさせる程の、とても充実した一日であった。
魚が釣れたからというだけでなく、毎回のことだが、時を忘れるくらい、
美しい渓谷を堪能できたからである。
この美しさを伝えようといくら写真に収めようが、
綺麗な言葉を巧みに並べても、どうしても伝えきれない、
自分の中にしか映らない美しい景色があると思う。

帰り道、眠い目をこすりながら、なぜ、長野で釣れなかったのか考えてみた。
答えは見つかるはずがない。

だからフライフィッシングはやめられない。

釣行者:仙人

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