中国民俗学と情報
【学習の目的】現代の学問が、情報化の中でどのような位置にあるかを考えることは重要なことである。民俗学もその例外ではない。現在学問は、個別化分析的な方向から総合化学際的な方向に向かいつつある。この状況からどのような情報も、学問的対象になる可能性があると思われる。また今まで書物という形で伝承された情報は、新しい情報操作によって再認識されることも多い。中国の民俗学を学ぶとき、より慎重な情報操作と大胆な推論が必要である。また野外調査こそが、より正しい情報に近づく手段である。情報は、どのように判断するかによって大きく見方が異なる。学習によって獲得した認識の方法「みたて」と言う視点を提言して、新たな中国民俗学の展望を模索する。
情報の扱い方
中国民俗史の定義
知識の伝達
日本における中国民俗学・学び方
現れ出た文化事象と事相
情報と民俗学
民俗学にどうして情報学が必要なのかを考える
「猪飼按」民俗学と情報というとすこし疑問に思われるかもしれないが、今日の学問はすべて情報という言葉を抜きにしては語れない。現代の学問が、情報という視点によって成り立っていることを理解する必要がある。これまでの学問も情報ということと無関係ではなかった。ただ、このような視点が提出されて、あらたな学問の概念が形成され、発展が望まれるのではないかと思われる。大学での学問は、ただ単に教える者がいて与えられるものを学習するということではない。自分で学習する目的を見いだし、自律的に対象を見いだすことにある。その方法を自ら見いだすこともそこに含まれる。民俗学は、人間社会のあり方を発見し学習する学問である。そこには多くの情報が複雑な織物のようにあやなしている。この講座では、アジアにおける民俗の諸相をどのようにして把握するかという課題に沿って、情報を扱う。
情報はどのようにして存在するか
「猪飼按」情報はどこにでも存在する。情報はそれ自体なんの意味も持たない。有る意志を持ってみる人のみに意義がある。意志を持って見るというより、人間によって判断されることによって意味を持つといった方がよいかもしれない。民俗学の扱う情報は非常に多い。この世に存在するすべての情報が民俗学の対象になるといってもいいかもしれない。これらの情報は、民俗学という概念によって系統だてられ意義有るものとなる。
情報の形
「猪飼按」有形・無形のものがある。そのどれもが情報である。受け取るものの受け取る形によって個人的なものと外から来るメディア的なものがある。
日常と情報
個人的経験による情報(A)と外から来るメディア的な情報(B)
日常手に入る情報には二つの側面がある・・目にみえる形
個人的経験による情報(A)と外から来るメディア的な情報(B)・・二重性
☆個人的経験による情報(A)
個人的経験の範囲・・身体を移動させ五感によって直接経験できる情報は狭い
個人的経験・・日常生活・・固定的・・選択に定型がある
個人的経験の固定性・・一日の行動が決まっている・・移動の場所・作業が固定・周期がある・・一日・一週間・一年
個人的経験の時間的固定性・・学校・結婚・出産・死亡など経験にある種の固定性がある・・そこでは情報に共通性が見られる。この共通性が文化を形作る。(民俗)
「猪飼按」個人の経験による情報が、共通性を持つのはなぜか。その共通性が、ある空間で区切られた文化である。共通性が民俗学の対象となるものである。この共通性が危うくなっている。私だけが知っていることの情報が、テレビやインターネット、携帯電話のwebで手に入れた情報が多くなっているからである。
個人的情報が公開され、メディア的な情報と境目が無くなりつつある。また個人的に経験したと思っている情報が、他者から与えられたものと混同したり、五感によって経験する情報にメディア的な情報が混在するようになったと思われる。特にテレビやインターネット、携帯電話などによってである。
☆メディア的な情報(B)
メディアの情報・・新聞雑誌・本・テレビラジオ・映画・電話FAX・PC通信・伝聞
情報伝達の早さ・・時代によって進んできた・・現在リアルタイム
例・・伝令、鳩、はたふり、手紙、E−MAIL
初期は個人間・・現代は不特定多数の伝達へ
最初の電信線・・長崎上海(1871明治4)東京ロンドン(1873)すでに情報のリアルタイム化
電話網(1890)ラジオ放送開始(1925)テレビ放送(1953)個人のラジオ(1960)(深夜放送)個人のテレビ(1980)電話の個人家庭へ(1960-1970)個人の通信(1990)(ポケベル携帯電話)
一般のインターネットの利用(1995-)、個人の情報発信(2000-)、シャメールの登場(2001-)、
「猪飼按」古代の人は情報伝達が遅く、現代人は情報伝達の同時性を強調しがちであるが必ずしもそうではない。ただ不特定多数を対象としたメディア情報においても、選択の仕方に個性があり、その選択の仕方の個性が文化の特徴を示す。個人の嗜好がある文化的特徴を示すとも言える。その特徴を考えることも、民俗学の対象となるものである。
新たな情報提供の時代、個人情報のメディア的公開、イラク戦争の戦場の実況中継、また情報合戦による世論操作など公開される情報にも問題は多い。今日の中国での反日運動なども、情報操作された意見形成であるとともに、メディア的な情報の変化も示している。
☆人間の中の情報・・目にみえない形
「猪飼按」人体の中には目には見えない情報がある。その情報はどうして獲得されてきたかを考える。基本的には生物の進化の中で獲得してきたものである。その情報は、遺伝子の中に蓄えられている。生物の分類は人の便宜的な区分によるものを知るべきである。
遺伝子と情報(染色体の情報)分子構成・・AとT。GとC(アデニン・チミン)(グァニン・シトシン)・・一ねじれが1オングストローム
地球発生から現在までの生物の時間年表・・図イ、木村光『バイオテクノロジーへの招待』P17
(ヒトから微生物まで祖先は同じ)46億年を一年に置き換えると、ヒトは12月31日の夜11時過ぎからはじまる。・・進化の中でほんの短い部分
生物は基本的にはみな同じ・・動物の身体の節構造を決めている遺伝子
共通性の高い部分配列・・ホメオボックスとよばれる
高等植物まで同じ者が見出された・・菜食主義者の矛盾・・図イ、木村光『バイオテクノロジーへの招待』P17
生物進化の中で保存されていた。
[参考]「分子生物学によってすべての生物が、共通の祖先から由来することが明らかになった。・・欧米のキリスト教世界では人間だけが特別であると思われていきたが、他の動物も同じ生存原理を持っていることが明らかになった。日本およびアジアの仏教社会では動物と植物の間に一線を引いて、菜食を奨励してきたが、菜食主義者も殺生しているのにかわりないことがわかった。動植物の生命を大切にしなければならない一方、人間は動物や植物を食べなくては生きていけないところに最大のジレンマがある。」
引用文献>木村光『バイオテクノロジーへの招待』P140
「猪飼按」人間は少し不遜になっているのではないだろうか。生物の中で人間だけが一番偉いと考えるのは間違いかもしれない。仏教での菜食主義を考えるとき、生物が持つDNAの基本構造の共通性(ホメオボックス)からその思想的意義は否定される。人間は生物を殺さないことには生きていけないと言うことをはっきりと認識する必要がありそうである。
☆生命を考えるときの立場
生命の本質・・2つ・・生命は特別なもの(生気論)、生物は機械
「猪飼按」生命が特別な意味を持つのは、人間だけであろうか。その他の動物はどうなのか。また植物はどうなのか。生物が形成されるとき、特別な意味を付加するのは人間だけであろう。死はどうか。
今回のイラクの戦争の論理を考えてみよう。殺すものと殺されるもの、生命に違いはないし、さらに死の現実にも差はない。このことは、アジアの民俗の中で生命はどのように考えられてきたかを考え直すきっかけになる。
☆遺伝子における知識の伝達
「猪飼按」知識は学習によって伝達されると考えられている。しかし学習しないでも伝達される知識はたいへん多い。今までは、生後学習することが知識のすべてであると考えられてきたが、実際は生物として生きていくための知識の総体に比べれば、本当に少ない。すなわち、遺伝子の中に貯えられた知識こそ、人間の主体である。この知識の伝達は、遺伝子による情報の伝達である。最近のヒトゲノム計画によって明らかにされた人の遺伝子情報は考えられていたほど多くない。そこには人間の可塑性が含まれているようである。
しかし最近のニュースによれば、人のクローンが誕生したという話である。これが許されるかどうか、許されないかを議論するより、なぜ人はクローンを作り出すに至ったかを考える必要があるように思う。
☆生理的早産のわけ・・生物学的完成より1年も早く生まれる
脳の作用・・脳の限界・・情報を外に置く・・縄、石ころなどから・・文字の発明へ
「猪飼按」生物発生から遺伝子の中に情報が貯えられ、伝達されてきた。あるとき細胞内の核にだけに情報を貯えておくことは不可能となり、腦が形成された。腦の発展は、今日の高等動物と呼ばれる生物に至るのである。その過程で、類人猿になると脳の発達は限界となり生理的早産ということがおこる。人間に至っては、生物学的完成より一年も早く生まれることとなった。人間の脳もまた生物学的限界に来て、情報が腦の外に置かれることになり、それが文字である。文字が書写から印刷となりコンピュータとなっている。今日のコンピュータは人間の脳の一部であり、腦情報の外部装置である。
☆人の心は脳によって動かされている・・脳は自然淘汰による別個の、しかし相互に作用しあった三種の進化過程が作り出したもの・参1、「心の画像診断」P276,『「心」とは?』人体科学会編
1、遺伝子による種の進化=自然淘汰によるネオ・ダーウィニズム的進化
2、神経様式の進化=学習と訓練の仮定による個体内の活動様式の進化
3、ミーム(文化的伝達因子)の進化=個体内に文化的に伝達され植え付けられる進化
☆現実世界の三段階モデル>ライアルワトソン『生命潮流』P118
「哲学者のカール・ホッパーは、心とその影響圏を含む現実世界の三段階モデルを考えた。ベットとか肉体とかの目に見える物体からなる物理的宇宙を、第一次世界と呼ぶ。第二次世界は意識、無意識のあらゆる状態の、心を包括する。そして第三次世界には神話、伝説、理論など、その真偽を問わないあらゆる思考の内容や心の産物が含まれる。第三次世界に存在するものは、もちろん書物や絵画として第一次世界にも存在するのだが、同時にそれらは独立した現実であるとホッパーは示した。」
>言語>記号化された文字・第一次世界>腦のなかの電気的な存在・第二次世界>独立した抽象概念・第三次世界・・人の名前の無限存続
☆ミーム(文化的伝達因子)・・民俗の主体と思われる
ミーム>ライアル・ワトソン『生命潮流』P119、工作舎
「リチャード・ドーキンズはこういった第三次世界の対象物、すなわち文化的伝達の単位を「ミームmeme」と命名した。言葉、キャッチ・フレーズ、ファッション、科学理論、そして改良ネズミ獲り理論も、これらは全部ミームである。ドーキンズによると、ミームとは非物質的遺伝子、また抽象DNAのようなものである。赤ん坊から赤ん坊へと飛び移るのではなく、腦から腦へと伝わり、模倣によって増殖する。イデアがいったん植えつけられると、第一次世界や第二次世界の助けをほとんど借りずに、自己増殖をしはじめるのである。ミームは生きている。」
「「ミームは、隠喩としてのみならず、物理的にも生きている構造として考えるべきである」とニック・ハンフリーは言う。「私の脳裡に自己繁殖能のあるミームを植えれば、それは寄生虫のように、ちょうどウィルスが宿主細胞の遺伝機序に寄生するように、細胞をミームの繁殖のための器に変えてしまう。これは単なるたとえ話ではない。例を挙げれば、<死後の世界>というミームは世界中の人びとの神経系統に一つの物理的構造として、何百万回も繰り返し、再現されているではないか」」
「神の存在がたとえ高い生存的価値をもつ、あるいは優れた自己増殖能をもつ「イデア」にすぎないものであっても、神はわれわれが文化的要件やその他の必要に応じて作ってきた環境のなかにたしかに存在する。」
「猪飼按」ミームの概念は重要である。文化の伝達の単位を遺伝子的に考えるという発想に非常な興味を覚える。私たちの佛陀もまた同じ存在である。私たちの中にある阿彌陀佛と親鸞が念じた阿彌陀佛の間にどのような連続性があるかを考えたとき、ミームの概念がわかると思う。阿彌陀佛自体が、すでに高次なミームとして日本文化のなかに存在している。
☆人体とDNA>わがまま遺伝子>進化を選ぶのはだれか>「心の画像診断」P277,『「心」とは?』人体科学会編
「第二次大戦後、脳神経外科医は頭部外傷の外科治療に悩殺され、どの国も多くの青年を交通戦争で失った。それはDNAの陰謀なのだとフランスの脳外科医が言い出した。その陰謀とは無謀な短絡的な衝動的な性格を抹殺しようとする遺伝子の野望かもしれないと彼は笑いながら言った。遺伝子を人格化して、複雑な行動や心理を説明し、風俗風習を説明する生物社会学を持ち出したのだ。」
「猪飼按」死をも、遺伝子で説明しようとする。
☆遺伝子DNA>生物の進化とはなにか>木村光『バイオテクノロジーへの招待』p44
「普通私たちは人間が主体として遺伝子DNAを持っていることになっているが、DNAを主体に考えると、我々は「人間の皮を被ったDNAに過ぎない」ともいえる。三五億年前に地球のどこかで発生したDNAは、始めは単細胞の中で生存していたが、自分のコピーを次の世代に残すという利己的な目的のために、長い歳月をかけて徐々にその情報量を増やし、種々の生物体を造って、その中に潜り込み、それらの宿主としての可能性を試行錯誤で選択し、今日まで生き延びてきたともいえる。絶滅した生物体を選んだDNAは生き延びる手段の選択を誤ったと考えられる」
「猪飼按」遺伝子が肉体を選んでゆくとすれば、親子の間には非常に重要な契機が存在する。遺伝子が自らの生存のためにこの対象をなぜ選んだかを考える必要がありそうである。親子の間には、非常に多くの共通の情報が存在する。それは出生後に得た情報の何倍にもなるものである。
☆人間の自我はDNAの自己表現>立花隆『知の現在』p15
「利根川進さんは、・・人間の自我はDNAのマニフェステーション(自己表現)にすぎないとまで言いました。」
「猪飼按」自我がDNAとすると、自分は誰なのであろう。
☆人口爆発が引き出す変化と情報
「猪飼按」人間のわがままか、はたまた遺伝子の自己存在のために、この種は爆発的に数量を増やしつつある。人口爆発がもたらす情報の変化を考えないことには、現在の民俗学はわからない。
人口爆発と食料・・文化の維持・・民俗の変化・・図ロ
江戸時代人口3500万から4000万人・・当時の世界の人口、5億人まで
産業革命から人口爆発・・化石燃料の利用・・エネルギーを消費する社会
ルネサンスころからの芋の利用・・西洋ジャガイモ、中国サツマイモ
2000年には61億人・・2100年には123億人へ
「猪飼按」地球上で養える人口は80億から150億。現在60億で毎年1億人弱が増加。最近では人口増加率が伸び悩み、最大人口は80億前後という計算もある。
自我の認識>科学の発展>人口問題と自然
「人間一人の生命の重さは地球の重さにも匹敵するといわれています。これは人間の生命は無上に尊いと言うことを表現した言葉です。人間の生命の尊厳は現代の倫理の基本ですらあります。」>清水博『生命を捉えなおすー生きている状態とは何か』中公新書p19
「人間の生命の尊厳は疑いえないところですが、この地上で人間の生命だけが無上に尊いのでしょうか。今日のヒューマニズムの背景には歴史的に見ても、<思惟する自我ー自然>という主従の関係を基にした近代思想があることは確かです。」>清水博『生命を捉えなおすー生きている状態とは何か』中公新書p20
☆幼児死亡率の軽減>疾病の治療>公衆衛生>人口の増加>全体的な飢餓>スリランカ・エチオピア
「世界全体でみると、現状でも飢餓人口は増加しており、それほど遠くない将来、世界全体がおちいる食糧不足の悲惨さは、非常に苦痛に満ちたものとなるでしょう。この悲惨な状態をさける有効な方法の一つが受胎調節であることは誰もが認めるところです。」
「受胎調節によって人口の増加を有効に抑えることのできた国は世界に存在していないのではないかといわれています。日本は人口の増加が理想的に進んでいるきわめてまれな国とされていますが、この状態は受胎調節より堕胎によって、得られたものです。」「堕胎は生物学的には「殺人」に違いありません。堕胎天国といわれる日本の繁栄と日本人の享楽とは堕胎によって奪われた無数の生命の犠牲がなければ存在していないかもしれません」>清水博『生命を捉えなおすー生きている状態とは何か』中公新書p21
「猪飼按」19世紀的ヒューマニズムが一つの限界に来ているのではないかと思われる。戦後における優生保護法がもつ社会的効果について冷徹に判断するときが来ている。このことは、中国での一人っ子政策中の人工流産の日常化にも及ぶ。古くは日本での農村の間引きや、中国での溺女の風習にの根元が求められるべきであると思われる。
☆自然との調和>自然淘汰>人口の削減
「自然との調和という言葉は私たちに美しく響き、郷愁をゆさぶります。しかし、これを自分たちの上に当てはめて考えてみると、自然淘汰によって多くの人間の生命が何らかの形で失われることを意味しており、この点、きわめて非情な面を持っています。」>>清水博『生命を捉えなおすー生きている状態とは何か』中公新書p21
「猪飼按」一年に一億人が増加するとその食料はどれほどいるか。人間一日の必要なカロリーは約一五〇〇から二〇〇〇カロリーぐらいである。これをすべて米もしくはパンで取ると炭水化物は一グラム、約四カロリーであるから穀物で五〇〇グラムがいる。これを年間にすると約一八〇キログラム強と推定でき、一億人だとすると一八〇〇萬トンの穀物の増収が必要となる。これは大変な量である。近い将来、世界中で飢餓がおとずれることは非常に高い確率で計算できることである。愛・地球博は本当に世界の調和を目指しているのだろうか。
☆情報のレベル
意識できる情報と出来ない情報
情報を選ぶのは意識か無意識か・・無意識の方が多いのではないか
情報が無意識にあるとき・・あるパターンで選ぶ・・習慣、法律、制度など
情報の無意識化・・形式化した情報伝達の形態・遺伝子情報神経・PCのDOSやWINDOWS
故意的にする無意識化・・暗号
「猪飼按」もう一度個人のレベルにもどって情報を考える。
☆意識のレベルと物質の大きさ・・図A、「精神の世界の探究」,『「心」とは?』人体科学会編、p172
個人・・意識
人類・・潜在意識、無意識
動物・・無意識(本能と呼ばれたもの)
植物・・意識があるか
分子・・意識があるか
原子・・意識があるか
クォーク・・意識があるか
宇宙的意識に近づくという
「猪飼按」]生物には、いつから意識があるのか。分子や原子に意識があるのだろうか。DNAには意識があるのだろうか。
☆進化のモデルと心・・図C「ロボットから見た心」,『「心」とは?』人体科学会編,p208
原核生物(35億年前)代謝・自己増殖
真核生物(14億年前)有性生殖
多細胞生物(5億年前)細胞の機能文化
脊索動物(3億年前)脳の登場
脊髄動物脳の分化
(2.5億年前)脳幹、脊髄・・自律神経・体性神経
(1.7億年前)大脳辺縁系・・精神作用のはじまり
(5000万年前)新皮質
☆心と情報・・反応の形・・図B「心の認識の仕方」,『「心」とは?』人体科学会編、p185
心は情報にどのように反応するか
入力と出力
言語教示 言語報告
イメージ教示 イメージ報告
動作 ・・ 直接経験 ・・ 動作
刺激 間接経験 生理反応
薬物 物理反応
心の入力と出力を研究する立場・・客観的経験を集める
個々の心を集合して捉える・・普遍化・・客観的な心を想定する
「猪飼按」客観的な心は存在しない。心とは何か。
☆存在の情報
「猪飼按」自己の存在を認識することによって、社会を認識する作業。自己存在がどのような情報によって成り立っているか。国家や人種によってその情報は異なるのかを考える。
人間は毎日に毎分呼吸を止めることなく続けている。栄養分も朝昼晩と三食取りこの身体を維持している。昨日の自分が同じなら五年前の自分も十年前の自分も同じ人間だと認識している。どうして人は同じ人間として一生をおくれるのでしょうか。
一個のDNAは短命でほんの2・3ヶ月しか存在しない。一ヶ月の間にあらゆる遺伝子の構造が新しくなる。
放射性同位元素を利用する技術を使えば身体に出入りする科学物質を追跡できる。エーベルソルドによれば、身体の10の28乗個の原子の内、年間で98%が入れ替わる。骨などの細胞組織は、特にダイナミックに交換が行われる。身体各部の構造はそれぞれの固有の交換率を持っている。例えば胃の内壁組織は1週間で新しくなる。表皮全体は1ヶ月で新旧交代し、肝臓は6週間で再生する。・・5年経つと、身体全体は最後の原子の1粒に至るまで、まったく更新してしまう。<時間・空間・医療>ラリー・ドッシーp156
めくるまーる社
我々は生きている間にもひっきりなしに大地に戻っている。p161
「死」と言うものには恣意的なもので、物理的には何ら確かなものではない。
「猪飼按」意志という事を除けば五年前の自分はまったく無関係の物質存在という事になる。しかし意志が人体に内在することは疑うべき余地がないと信じられているので、五年前の自分と現在の自分がまったく別人であるとは信じてもらえない。
このような状況はどうして起こるのであろうか。全ての存在がそれぞれのレベルで存在自らの意志を持っているものと考えられる。この意志とは自己の相似と自己の複製を図ろうとする情報である。そしてこの意識の主体こそが心にほかならないのではないかと思われる。
☆仏教における心
人間の生命の営みは「壽」「火爰なん」「識」との3者の結合の上に成り立っていると仏教では考える。このうち「火爰なん」とは身体的な暖かさを、「識」とは心をそれぞれ意味し、最初の「寿」がこの一生の間、「火爰なん」と識とを維持し生命的営みを支えつづける命であると考え、それを命根と名付けた。そして部派仏教の説一切有部はそのような命が実体として有ると主張した。これにたいして一切を「識」、すなわちここに還元する唯識派はそのようないのち、すなわち命根は仮にあるにすぎなく、命を支える根源的なものは、各人のなかにある根源的な心であると反論した。唯識派は命とは何かという問いをより鋭く追求し、最後に発見した命の根源に対して「阿頼耶識」と命名した。
<心の構造>横山紘一p223《インド仏教3・東洋思想》岩波
☆マーチーの説
人間の平均的な呼吸にはなんと10の22乗の数の原子が含まれている。・・約40億の人々によって、1日に2万回繰り返されるこの交換は驚くべき結果を生む。つまり、呼吸をするたびに、あなたの息の中には過去2.3週間のうちに他の人によって呼吸された10の15乗個の原子と、これまで地上にいたあらゆる人々によって呼吸された100万個以上の原子が含まれているのだ。<時間・空間・医療>ラリー・ドッシー、めくるまーる社p162
「猪飼按」この講座に居るすべての人が、もうすでに、どれほど多くの原子をやり取りしているかわからないほど原子の交換をしてしている。ここではすでに人と人との隙間はなくなり、自らの意志だけが私達を存在させているのだと言うことがわかる。約2600年前に釈尊が吸われた息に含まれた原子が、今ここに私達の体の中にまで伝わりまた吐き出されて未来に続いていく可能性がある。釈尊や達磨や親鸞など多くの仏教の祖師たちの吐かれた原子が自らの中にあるのだと、教えだけでなく体の一部として悟ることができれば幸せである。
☆知識の形・・情報である
「猪飼按」知識とはなにか。知識を獲得するということはどのような意味があるのか。知識はなにの役に立つのか。情報だとするとその情報をどのように判断しているのか。
☆情報の種類と性質
1、伝言・ラジオ・電話(口頭情報)
2、手書き・日記・手紙(書写情報)
3、書物・雑誌(活字情報)
4、写真・映像・TV(映像情報)
5、パソコン・ワープロ・テレックス・CD・DVD(電子情報)、携帯電話、デジカメ、インターネット、
「猪飼按」すべてがコンビネーションしてでてくる。どんなに発展しても古いスタイルが無くなるということはない。一つの大まかな分類法である。
☆情報の来源
個人ーー→記号化ーー→書写ーー→活字ー→印刷ー→出版
(頭の中) (頭) (論説手紙) (本)
↓ ↓ ↓
歴史文献 消えてない 少ない 手に入る
の場合 (記憶語録) (手紙抄本) (本)
印刷した本は情報の標準化の結果である。このスタイルが千年以上続く。
「猪飼按」すべての情報の中で一番重要な情報は、頭の中の情報である。何を考えているか。他人にも自分にも言えることである。すでに述べたように、本やコンピュータは人間の腦の外部装置であり、腦の一部である。ただこの記憶装置は、生物としての人間の死を過ぎても存在することである。過去の本を読むことは、過去の人の脳にアクセスすることである。すなわち過去の記憶が現代の情報と混じり合い、新たな情報を形成する事になる。
民俗の中で過去に行われていた行事を復活するときに、過去の記録が尊重される。このことに疑問を抱かれていないが、過去の情報がどのような意味を持つかを考えなければならない。付け足しておくと、人々の間に伝承されてきた口頭伝承の情報もまた重要である。この情報を日本民俗学は研究対象の主体としていたときがあった。本は情報の標準化であり、口承伝承などではある時点で固定化する情報である。口承伝承が本を読むことによって先祖帰りをしたり、バージョンアップされたりストーリーの変化が起こったりする。
このことは現在では本だけではない。テレビやパソコン、インターネットなどでもおこる。例としてテレビ番組の『日本昔話』をとりあげれば、そのことがよくわかるとおもう。現在ではこの状況が世界的に起こっている。日本で制作されたテレビアニメが世界に輸出されている。『アルプスの少女ハイジ』は、日本人に誰でもわかるストーリーとなり、あのメロディーは誰でも口ずさめるほどになっている。また外国に輸出されることによってこの物語は世界共通の物語となり、絵柄もどこか日本風のものでありながらそれが標準として受け入れられている。世界共通のメディア的な情報が成立しつつある。
そこでは個人情報とメディア的な情報の混在が起こってきた。
☆情報を無機質なものに置き換える保存する作業
知識を置き換える作業・・甲骨文字・金文竹簡・石刻・紙本・テープ・CD・DVD
知識を貯える形・・書写材料(骨・石・木竹・金属・プラスチック)
知識を貯えるところ・・図書館など・現代では家のパソコン
「図書館は情報学の応用分野の一つ」と言われている
図書館の限界・・紙による情報蓄積の限界
知識の整理・・分類
DVDの可能性・・10万冊の本
「猪飼按」情報の保存性からいうと石に彫るのが一番保存性が高い。DVDなどでは、劣化の限界は、30年ほどと言われている。
☆事実と知識情報・・駅や旅行社で切符を買う作業(とくにPC通信インターネット、携帯電話・)
パソコン通信と情報・・情報の双方向通信の問題
情報判断の基準・・獲得した文化に関係がある・・どこで育ったか
子供の言語発達・・文化の獲得・・図D,P229
例・・言語発達・・視覚運動方面と聴覚音声方面・・6歳で完成に近づく
「猪飼按」知識情報が、現実とどのように関わるかを考える。
情報の認識のしかた・・単純なものは簡単。複雑なものは単純化もしくは別の方法論。
フラクタルな状況ではありのままに情報量を把握する。図E、P136
龍大図書館で本を調べる<A
HREF="http://tau15.fks.ryukoku.ac.jp/opac-j.html"><EM>book</EM></A>
<HR>
情報の値段
「猪飼按」情報にはお金がいる。大學教育も情報の値段である。無料の情報はないと考えるべきである。
紙と情報・・本の値段・新聞の持つ意味
テレビラジオの情報・・形の無いものをなぜ金を出して買うのか・NHK
『電子達磨』の価値・・近年読んだ本の中で最高のもの・・情報の形未来像
禪宗に関係ある經典80点以上>「猪飼按」すでに過去のものになりつつある
『天台宗典籍集』・天台宗関係の経典が詰まっている。大藏經のあたらし形。
大正大藏經の全巻が二枚のcdに入った。>台湾の佛典編纂委員会
「猪飼按」ある学生がcdのお経はありがたくないと言ったがその意味は大きい。経典が手書きで書写され、それをうやうやしく読むのと、テープから流れる阿弥陀経との間にどのような違いがあるのか議論するのとおなじ疑問である。ここでも文化の遺伝子(ミーム)の考え方が視点となる。
☆情報の量・・バイト
1バイトの英数文字と2バイトの漢字
アルファベット26文字
仮名は50音
漢字・・『康煕字典』4万字・諸橋『大漢和辞典』4万9千余字
『論語』では1526字・杜甫の詩では4390字・・吉川『漢文の話』P28
竹簡の情報量・・30〜40字
老子五千文の情報量・・2バイト×5000=10000バイト=10KB
二十五史の文字量>39,311,460>中文全文検索系統による(http://www.sinica.edu.tw/ftms-bin/ftmsw3.htm)
十三經の文字量>5,856,530>中文検索系統
十三經の文字>阮葵生『茶餘客話』卷5−2、p1777『筆記小説大觀』1−3
「計年讀經」
>『毛詩』三萬九千一百二十四字>39,124
>『尚書』二萬五千七百字>25700
>『周禮』四萬五千八百六字>45806
>『禮記』九萬九千二十字>99020
>『周易』二萬四千百七字>24107
>『論語』一萬二千七百字>12700
>『孟子』三萬四千八十五字>34085
>『孝經』一千九百三字>1903
>『春秋左氏傳』>二十萬四千三百五十字>204350
『志異續編』卷2−6、p6426『筆記小説大觀』1−10
歐陽脩の説を引く>こちらが正しいか
>『詩』三萬九千二百三十四>309234>上と違う
>『尚書』二萬五千七百字>25700
>『周禮』四萬五千八百六字>45806
>『禮記』九萬九千一十字>99010>上と違う
>『周易』二萬四千百七字>24107
>『論語』一萬一千七百五字>11705>上と違う
>『孟子』三萬四千六百八十五>34685>上と違う
>『孝經』一千九百三字>1903
>『春秋左氏傳』>十九萬六千八百四十>196840>上と全然違う
話すスピードと月刊誌>立花隆『知の現在』p23、NHK人間大学1996,7-9
「放送の場合は、一つのニュースは一分間三〇〇字で、数分ですから四〇〇字の原稿用紙で二、三枚です。それが月刊誌の一つの記事では四〇〇字の原稿用紙で最低二〇枚くらい、長いと一〇〇枚くらいです。単行本になれば三〇〇枚以上が必要になります。」
「猪飼按」ニュースで1200字とすると、2400バイトしかならない。もし九〇分の講義とすると27000字54000バイトしか話せない。54キロバイトである。
☆情報の値段
江戸時代の物価>『江戸物価事典』p400〜、展望社,S54・5
元禄十一年(『増益書籍目録』)
『大般若經』六〇〇卷銀三十五枚(金三十六両位)
『朱子文集』一〇〇卷金六両餘
『五經集註大全』一二七卷金六両餘
『本草綱目』三十八卷、銀百十匁(金二両位)
『天文本『論語』集解』銀三十五匁
『孝經大全』三両
>>一両は銀五十匁(元禄十三年まで)その後やく一両は六十三匁から六十四匁
>>江戸初期一両は4000文、天保一両は7000文、嘉永二年(1849)一両6400文ぐらい
>>大工の手間>一日>京都元始2匁から2.9匁>江戸は5匁(540文)
手習いの月謝>200文>五節句に200文から300文又は一朱(250文)
一両は4000文、一朱は銀16文
飯屋>惣菜一皿8文、酒20文から24文>貸本一冊20文
本居宣長の年収・・安永7年(1780)医業収入・・服部『江戸時代医学史の研究』P188
盆前36両〇分11匁1分1厘
盆後37両0分8匁5分5厘
「猪飼按」龍谷大学の受講料はいくらか。学生の平均ですれば、90分で4000円から5000円ぐらいか。江戸時代では普通の蕎麦が、24文ぐらいである。手習いの月謝は、年間で1000文から2000文となる。2000文とすると蕎麦の83杯あまりである。龍谷大学の学生は一つの講座に10万円から13万円払っている?。500円の蕎麦なら、200杯分である。蕎麦代は確実に勉強しよう。
☆歴史と情報
「歴史学がいつも直面する現代的「関心」と、その対応物の過去の社会構造内の一途過との関係」
「情報史は歴史の総体の読み替えかもしれない」(村主)
「長いあいだ歴史に興味を持ってきたが、本質において現代も過去もない」(猪飼)
意識の主体が生命、すなわち阿頼耶識である。(猪飼)
私たちの存在はその本質において情報そのものであるかもしれない
民俗学はその情報の形を調べる学問と言えるかもしれない。
電子化技術・デジタルアーカイブ・IT・GIS・画像・印刷http://www.museum-net.com/dijital.html
デジタルミュージアム推進協議会
http://www.digital-museum.gr.jp/
国会図書館、テーマ別調べ方
http://www.ndl.go.jp/jp/data/theme/civilization/link.html
http://www.ndl.go.jp/index.html
朝鮮学関連文献・情報収集に関する
http://www.hmt.toyama-u.ac.jp/chosen/geomsaek.html
東京国立博物館
http://www.tnm.go.jp/
中国研究のデータベース 東洋学文献類目検索
http://www.kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/db/CHINA3/
漢籍のデータベース
http://www.kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/kanseki/
東洋学古典電子文献検索
http://wagang.econ.hc.keio.ac.jp/~jaet/kanhoo/txt/home.html
中国語google
http://www.google.com/intl/zh-CN/
繁体字google
http://www.google.com/intl/zh-TW/
万物大辞典
http://www.prcity.co.jp/oichan/dic/index.html