横浜〜甲府間3泊4日旅行(1998年9月)
そもそも僕が自転車に興味を持ち始めたのは、この年の夏である。友人の「自転車で旅してみようぜ」の言葉に刺激され、気付いたらMTBのカタログを買っていた。だが、いいだしっぺの友人は冗談で言ってたため、いざ旅の計画を建てようという段階で、彼はリタイヤしてしまった。何ー!あの野郎...。バイト先で友人の無責任さを罵しってたら、バイト仲間のまっすーは、「じゃ、僕と行こうか」と何気に答えた。もしかしたら彼も本気ではなかったのかもしれなかったが、「え、じゃあ行きましょうよ!」とせがむ僕の押しに「冗談だよ」と撤回できなかったのかも。とにかくまっすーはこの旅のために東急ハンズで4、5万円するMTBを調達した。イヤホーイ!バイトの休憩時間や仕事後に計画を練り、「関東圏内で3日、4日で往復でき、尚且つ最終目的地が設置できる所」という条件下、山梨県の甲府市が我らのDESTINATIONとなった。最終目的地は昇仙峡!
1日目(横浜→山中湖→みさきキャンプ場)

和田町駅前でマックのお姉さんに撮ってもらった写真
出発の日、朝8時に相鉄線の和田町駅前のマクドナルド前で待ち合わせた。少し遅刻する。マックで朝食を取り、和田町駅の前でマックの従業員のお姉さんに記念撮影をしてもらった。仕事中?そんなもん無視じゃ。
さて、出発しようかという段階で我々は荷物のリュックがやたらと重いことに気づいた。僕は寝袋をキャリアに紐でくくりつけ、ボトルホルダーにボトルを入れたからまだよかったものの、まっすーは登山用の巨大なバッグに、1リットルもの水と一眼レフカメラなど、全てを入れなければならなかった。その重さは凄まじかった。当然その時は自転車の横に付けるサイドバッグを買うなんていう発想はなかったから、肩凝りに懸念を持ちつつ、出発するのであった...。
国道246号を西へ。さすがに関東平野というだけあって、出だしはほとんど坂はない状態だった。追い抜きあったり、肩ごしに叫びあったりと、余裕をかましていた前半戦。1時間おきにコンビニで休憩する。コンビニは飲み物を補給できるうえ、トイレも貸してくれるので重宝する。途中、相模川沿いで休憩し、写真を撮ったりした。が、その余裕も秦野市辺りに入るまでだった。急激に登り坂が増え、さっきまでの余裕はどこにいったのやら、自然に二人とも口数が少なくなっていった。ヒーコラ、ヒーコラ坂を登っていると、通り過ぎたライダーがクラクションを鳴らしてこっちにガッツポーズをしてくれた。おお、イカスぜ兄ちゃん。昼食のために入ったファミレス、和食の「さと」で、咽がカラカラの我々にもありがたいことに水ではなく、暑いお茶が出された。さて、どれ位走ったかな、とふとスピードメーターを見ると、綺麗に「0」が揃ってるではありませんか!ああ、自転車から取り外す時に誤ってリセットしてしまったぁ!と、旅の全走行距離は一日目の昼前にして永久に謎となった。
静岡県との県境に入る手前5、6キロは最悪。歩道がない上、東名高速の高速代を渋る大型トラックが横を稲妻のごとく通り過ぎる。おまけにクラクションを鳴らされると、心臓が止まるのではないかという大音響。ヒー、ヒー言いながら静岡県に逃げ込む。
相模川沿いで休憩する。
国道246号。悲惨。
静岡に入り、246号から離れると今度はゴルフコースの集中する、アップダウンの激しい田舎道となった。まっすーの方もかなりバテ気味で、二人揃って自転車を押しはじめた。この時までは「自転車を押さずに旅路を走破」という願望が密かにあったのだが、これもまたここで露と消えた。
県道の平坦な道では自転車をこぎ、上り坂では押すの繰り返しだが、必然的に押す時間の方が長くなっていった。それもそのはず、山梨県に入るためには、標高が1,000メートル程もある明神峠を超えねばならないのだ。気がつけば上り一辺倒。ズタズタにされてゆく。自転車を押しているのに疲労を感じ、休み休み登る。小山町、上野の分岐点からは本格的な山上りになっていった。おまけに日も暮れ始め、はたして夕方の6時までにキャンプ場に着けるのか不安になってくる。下を見るとふもとには霧がかかり、今になって無茶な計画に気が付き始めた二人。「若気の至りか...。」と言いながらも、これが大学生の醍醐味よと思う物好きな二人であった。しかし、さすがに数時間も自転車を押して登るのは、つらかった。「あそこが峠だ」と思ってそこまで行けば、遥か先には依然、上り道が見える。その繰り返しが精神までも参らせた。日も沈み、辺りが暗くなるとライトを付けて上りつづける。「ここらで野宿しようか」案まで出てくる始末。時々車が通り過ぎるが、おそらくどのドライバーもびっくりしたことでしょう。目を凝らせば自転車を押す二人組。幽霊と思った人もいるかもしれない。夜の8時になってもまだ山中にいた。「キャンプ場まだやってるかね。」嫌な予感がする。星が綺麗だったのがせめてもの救いだった。そして空腹を押さえられない二人は非常食のカロリーメイトまでも食い尽くし、野宿するならば翌朝下山して町に着くまで食べ物にはありつけないという背水の陣をしくはめに...。
夜中の山中、非常食も尽きる...。
上りはまだ続くのだが、心が完全に無になっていた頃、我々はその日、最も美しい光景を目にした。「山梨県 山中湖村」の看板。イヤアアアアアー!!!!我々は狂喜した!看板の前で記念撮影をして、後はひたすら下り。夜の山中湖、湖畔に浮かぶ宿の光が湖の輪郭を映し出し、それはそれは美しいの一言につきた。「やったぁー」ガッツポーズ、絶叫しながら下る二人。途中、オートキャンプをしていた中年男性らに「自転車か?大学生みたいだな。」とびっくりされたが、笑って「大学生ですよ」と答え、みさきキャンプ場を目指した。だが、気分が絶頂からlowにシフトダウンしたのは、町に着いてからだった。
今回山中湖は初めてだったのだが、想像以上にリゾート化されまくっていた。それもコンビニ周辺はテニスラケットを持った大学テニスサークルの集団でごった返していた。この夏屈指の冒険をしてやっとこさ着いた場所がそんなもんだから我々のテンションが低下したのは言うまでもない。皮肉にも自分もテニスサークル...。とりあえずキャンプ場に着き、遅めのチェックインをすませ、テントを借りた。3人用だが、荷物を入れれば2人が限界。荷物を下ろし、夕食を焼肉定食屋ですませた。疲れて放心する二人。どんな感じで食べていたかは脳に供給されるエネルギーが底を尽きていたせいか、あんまり覚えていない。一日中自転車に乗っていたため、体勢によっては痛む尻と凝る肩を案じながら眠りにつく二人であった...。
1日目終了。走行距離:およそ100キロ