本の森通信 7月号

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7月31日(火)
7月も今日で終わりです。仙台は二日続けて激しい夕立があり、いかにも夏らしい陽気。個人的に熱狂していた自転車レース「ツール・ド・フランス」も、ランス・アームストロング(米)の3連勝で幕を閉じました。末期ガンを克服して選手として復帰し、その後ツールを3連覇してしまうのですから凄い。米メディアから「アメリカの誇り」と評価される彼ですが、それは大きな間違いです。彼は「人類の誇り」です。

さて、二日前のこの欄でO氏が触れていますが、来月よりスイミングクラブへ通うことにしました。宮城野区・清水沼にある「仙台スイミングスクール」は、30年以上の歴史を持つ東北最古のスイミングクラブ。高校卒業まで13年間通い続けたクラブに、10年ぶりに復帰するのです。
きっかけはほんの小さなことです。先日仕事帰りに立ち寄ってみたところ、13年間お世話になっていたコーチや事務員さんがまるで我が子のように私を迎えてくれたのです。通った13年間を甦らせるように、そして空いた10年間を埋めるようにいろいろな話をし、最後にコーチが一言「また一緒に泳ごうよ!」。このわずか一言に心をとられ、復帰を決意したのです。また、クラブの歴史とともに施設が老朽化し、今年秋の取り壊し・全面新築が決まっていることも復帰理由の一つでした。「自分を育ててくれた、あのプールでもう一度泳ぎたい。また練習をしたい」という強い思いが、胸の奥から沸き上がったのです。

実は先週、「体験練習」の制度を利用して練習に参加してきました。私が入るのは「一般成人コース」。プールサイドに下りて懐かしい塩素の香りを吸い、昔と変わらないシャワールームで熱いシャワーを浴び、いよいよプールに入ります。中学・高校時代と同じように「お願いします」と口に出して挨拶し、ゆっくりと水の中へ。泳ぎ慣れたプールなのに、気持ちが昂ぶって足が震えます。それでもすぐに水が身体に馴染んできます。10年空いたとはいえ13年の付き合い、プールとの相性が悪いわけがありません。スタート時に蹴る壁の感触、背泳ぎの時に見える天上のつなぎめ、少しエコーが効いて響くコーチの声、すべてが懐かしい。すべてが心に触れてくる。

周りはみんな私よりも年齢層の高い人たちです。それでも、泳力も体力も十分にあります。聞いてみれば、どなたもマスターズ大会の常連だとか。つまり、競技者なのです。健康やダイエット目的で泳ぐなら、市民プールで十分です。泳力があればなおさらで、私も東京時代ははそうでした。しかし、今回の復帰の目的は「もう一度、競技者として練習すること」です。練習メニューをしっかりこなし、コーチにアドバイスをもらいながら技術を磨く。そして、タイムと戦う。これがしたかった。

私も、マスターズ大会出場を実現させようと思っています。少なくとも、一年以上の練習は必要でしょう。最終目標は、高校時代に記録したパーソナル・ベストの更新です。そこそこのタイムで威張っていた高校時代の自分の鼻をへし折ってやるのは、意外に面白いかも知れません。

とりあえずは全面改装までの数ヶ月間、週に一回通います。来春のリニューアルオープンまではお休みになるので、自転車の練習もしながら体力アップに努めるつもりです。そして、出来上がった新しいプールに失礼のない程度の身体を作って、また練習へ。「自転車と水泳ができるなら、ランニングもはじめて・・・」と皆さんに言われるのですが、まだまだ自転車も水泳も素人です。まずは基礎固めと練習。もちろん「究極のレース」が、ずっと先に見えていないわけではないんですけどね。(小)

※たったいま、作家の山田風太郎さんが逝去されたことを夕刊で知りました。『戦中派不戦日記』は愛読書の一つでした。心からご冥福をお祈りいたします。合掌。
7月30日(月)
ハンガリーからのお客さんが来るので、夕食を一緒に、と思って適当な和食のレストランを探したら、意外と思いつかないんですね。お客さんが宿泊するホテルから近い場所がいいので、一番町一、二丁目界隈を考えたのですが、私が思いつく場所はと言えば、平日にランチを出しているような店ばかり。K曰く、「ランチを出している居酒屋風の店は、夜はお酒が中心ですよ」。
つまり、食事がメーンの客には、ちょっと向かないということらしい。そう言えば、以前、開店したばかりの串揚げの店に家族で食事に入ったら(ちなみに夜)、食事のメニューがまったくなかったことがあった。私が単に串揚げの店のシステムを知らなかっただけかも知れないが、おにぎりやお茶漬けさえもなかったのには、ちょっとびっくりした。
我が家の場合、選択肢が大幅に少なくなる理由がある。息子がまだ5歳で、しかもたまの外食だと嬉しくて大騒ぎをしてしまうのである。ちょっと高級な店だと、他の客に気兼ねしてしまうし、無理におとなしくさせようとしても、逆にかわいそうな気がしてくる。子連れで、しかも外国からのお客さんが喜びそうな食事ができる場所は、どんなところにしたらいいのでしょうね。(大)

7月28日(土)
昨日、今日と仙台は大分涼しいです。ただ小社編集部があるビルは、この涼しさでも内部が蒸し暑く、相変わらずエアコンが欠かせません。冷房病なのか、体の節々が痛くなって、近所の整骨院に通ってはマッサージを受けています。
多分、運動不足もあるのでしょう。半年ほど休んでいる水泳を再開するしかなさそうです。Kは、高校まで通っていた市内のスイミングクラブにまた通うことにしたようで、張り切っています。宮城野区内の室内プールで、妙に元気な新顔がいたら、きっと彼です。

小社の編集長のホームページ「教育改革情報・編集長コラム」で、三好京三さんの「分校ものがたり」を取り上げています。
タイトルは「山のフレイレ・三好京三」。フレイレというのは、ブラジルの東北地方とも言えるノストエルデ地方で、文盲の農民の識字活動を行なった教育活動家パウロ・フレイレ氏のことだそうです。コラムでは、フレイレの活動と三好さんの教育実践に共通性があるとし、新聞の書評などとは一味違った角度から「山の子どもたちと教師の物語」を分析しています。
是非、読んでみてください。(大)

7月27日(金)
昨日・今日と、全国的に暑さが落ち着いているようですね。仙台もちょっと涼しいくらいの一日でした。さすがに長袖のシャツを着ている人はいませんが、たまにこんな日があるとホッとしますよね。

暑中見舞いのハガキが、編集部にもいくつか届きました。ハガキというのは不思議な力があり、いつもらっても嬉しいものですよね。例えば仙台在住の著者の方で、頻繁に電話で話していても、ある日ハガキが届いて「お暑いですけど、身体に気をつけて」などとあると、気分がよくなるものです。

よく耳にする言い回しに「便りがないのは良い便り」というものがあります。これは便りを待つ側が、不安な気持ちをを抑えるためにある言い回しでしょう。いじらしさや奥ゆかしさがあり、どこか悲しさもある言葉です。いつ頃生まれた言葉なのでしょうか? 「便り」をどう解釈するかにもよりますが、遡れば江戸期の“丁稚奉公”や“子守り娘”、新しければ高度成長期の“集団就職”なんていうキーワードが浮かびます。もちろん、いまでもこの言葉を心の支えにすらして便りを待つ人は、大勢いるはずです。そう考えると、軽くは遣えない言葉になりますね。便りを送るべき側が遣うのは、言語道断なのでしょう。

自分の便りを待っている人がどれだけいるかは分かりませんが、筆不精をごまかすのに「便りがないのは・・・」と言うのはやはりいけませんね。もっと早く書くつもりだった暑中見舞い用のハガキも、半分以上残っています。暑さの落ち着く週末に、しっかり書こうと思っています。(小)
7月26日(木)
昨日のこの欄で少し触れた「うなぎ屋の楽しみ方」について、読者の方から問い合わせをいただきました。曰く「うなぎ屋の正しい楽しみ方とは?」とのご質問です。いやはや難しい質問ですね。“正しい”となると私もまるで自信がないのですが、知っている範囲内で少しご紹介してみようと思います。

まず、店に入って最初の注文は「酒・漬物・白焼き」の三つ。白焼きが焼きあがるまでの間を、酒でつなぐといった具合です。アテは漬物ですが、「酒」と注文しただけで漬物を出す店もあるようです。うなぎ屋の漬物は、うなぎ以上の看板商品と言われる場合もあるほど重要な商品。自家製であることはもちろん、漬ける野菜の種類や塩漬け・糠漬けの違いで個性を出します。酒は、基本的には辛口の日本酒を常温でと言われます。甘口の酒は喉が渇きやすく、後で蒲焼を食べるのことを考えると“甘味”が重なるので避けます。冷や燗も、のんびりと白焼きを待つとき飲むには適さない。もちろん、漬物だけをアテに常温で楽しめる酒なのだから、それなりに美味くないといけない。

しばらく(割に長時間になりますが)待つと、白焼きが出てくる。これには山葵が付いてくるはず。この白焼きは、皮から身をほぐして少しずつ食べます。うなぎそのものの味や香りを楽しむ食べ方です。脂で舌が重くなったら、ほぐした身に山葵を乗せて食べる。皮は食べずに残します。これは、後に出てくる蒲焼で皮を楽しむため。お店も嫌な顔はしないはずです。

白焼きが運ばれてきた段階で、蒲焼を注文します。食事目的なら重にして、肝吸いなども一緒に注文します。ご飯はいらないというなら、蒲焼だけを注文しても可です。また、白焼き同様焼き上がりまで長く待たされますので、酒を追加で注文するのもこのタイミングがよいとされます。肝串などを注文するのもこのタイミングです。間違いなく蒲焼よりも早く出してくれますので、酒のアテとして楽しめます。

蒲焼(重)が出てくる時、また漬物が供されます。最初の漬物と種類・味を変えて出す店がほとんどだと思います。この丁寧な仕事も楽しみどころの一つです。山椒の使い方に関してはいろいろあるようで、「白飯にかけるのはよくない」「そもそも必要ではない」など本当に様々です。もともと山椒は好き嫌いのある香辛料ですから、扱いも千差万別でいいでしょう。一つ確実なのは、はじめから蒲焼に振られてもいなく、盆にも卓上にも山椒がない場合は、「うちの蒲焼は山椒なしで食べてください」という店からのサインです。言えば出してくれるでしょうが、それに従ってみるのもよい判断です。また、何口かに一回、箸先に少しだけ振って食べるという粋な食し方もあると聞きますが、振る舞いに自信のある方はお試しください。

食後には、必ず緑茶が出ます。口の中の脂を切るために熱いお茶を少々出す店と、温めのお茶を大きな湯飲みで出し、ごくごく飲んでもらってのどの渇きを治めてもらうという店があるようです。できれば漬物を一、二切れ残しておき、漬物で始まり漬物で終わるようにするのもいいでしょう。

私が知っている「うなぎ屋での楽しみ方」はこんな具合です。間違っている箇所もあるかも分かりませんので、お気づきの方は御指摘いただければ幸いです。おってこの欄で紹介します。
うなぎ屋同様、蕎麦屋やすし屋、天ぷら屋の楽しみ方というものもあるでしょう。ただ、要は粋な振る舞いができて野暮なことはしないという“スタイル”の問題で、美味しく食べることが目的なら必ずしも正しいとはならないと思います。そもそも、食べ方でうんぬん言うことが野暮でしょうし。それでも時々気づくのは、美味しく食べる工夫と粋な振る舞いを見事に両立している例がいくつもあること。これはさすがですね。前に例を挙げたものはいずれも江戸に由来を持つ食ですが、江戸の食文化はかくも進んでいたのかと思います。
ちょっと異色の内容になってしまったので、最後は本の紹介を。江戸の食文化全体を語った『江戸のファーストフード』という本が、たしか講談社選書で出ていたはずです。実に面白い本なので、興味のある方は是非ご覧下さい。この本を幹に、多方面に興味の枝が広がっていくような内容の本です。(小)
7月25日(水)
今日は土用の丑の日。皆さんうなぎは食べましたか? 日本全国炎暑の今年は、タイミングのよいスタミナ補給になりますね。学生時代の思い出ですが、土用の丑の日にうなぎが食べたくて、恩師に「どこかに美味しいうなぎを食べに行きましょう」とねだったところ、「本当に上手いうなぎを出す店は、やたらに客が来る土用の丑の日には店を閉めるもんだ。頃合いをはかって今度連れて行ってやる。ついでにうなぎ屋の楽しみ方もその時教えてやろう」との返事。うまく逃げられたなと思っていました。しかし、後に料理関係の雑誌編集者となって、恩師の言ったことが本当であることを知ってびっくり。もちろん、「名店中の名店」と言える店の場合の話ですけどね。そう言えば、あの恩師の言葉からもう何年も経ちます。頃合いは、一体どうはかられているのやら。

「土用の丑の日にうなぎを」という慣習が、平賀源内のアイデアによるうなぎ屋の“販売促進”作戦であったことはよく語られます。事の真偽は別として、飲食店にとって夏場に客足が減るのは今も昔も同じだったようです。最近は焼肉やアジアの各国料理などが“夏の食”としての地位を固めつつあります。ファミリーレストランの「カレーフェア」も、いまや夏の風物詩と言えるでしょう。どれもイメージ勝負の戦略ですが、その基本は夏バテ防止のスタミナ食ということと、「夏こそ熱くて辛いもの」をという逆説のアピール。この発想は、平賀源内の発想と全く同じです。これに代わるアピールが台頭しないところを見ると、普遍的な強さがあるものなのかもしれません。

飲食店の夏の話で面白いものを一つ。ある居酒屋の店長が夏の雰囲気を演出しようと、普段はポップスにしているBGMをレゲエにしたそうです。なかなか評判もよく客も集まるようになったのですが、なぜか売上が減っている。何かがおかしいと思って店の様子を見ていると、従業員の動きがどうもよくない。店を閉めたあとに「みんな疲れてるのか?」と聞いてみると「いえ、どうも働く気がしなくて・・・」。どうやらBGMのレゲエが、従業員の働く気をなくしてしまったそうなのです。それが調理や配膳のスピードをダウンさせ、客の注文数を減らし、売上減を招いたとか。
あまりに出来過ぎた話なので信じてもらえないかも知れませんが、これはホントの話なのです。「レゲエ=働く気がなくなる」というのは、イメージだけの話ではないようですね。ま、その店の取材で私がだまされていなければの話ですが。

給料日前後ということで、冷たいビールでパーッと暑気払いという人も多いでしょう。ビアガーデンや居酒屋に行ったら、その店のBGMに耳を傾けてみてください。もしレゲエだったら、調理の手抜きやお会計の計算間違いにどうぞご用心を。(小)
7月24日(火)
「ねぇ、今度仙台に井上ひさしさんが来るらしいよ。文章講座をやるみたい」
「ええ、新聞に載ってましたね」
「行ってみようか? 少しだけお会いできればそれでいいから」
「そうですね。挨拶ぐらいしたほうがいいですよね」

今日の始業まもなく、そんな会話をO氏と交わしました。井上ひさし氏といえば、小社のロングセラー『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』でお世話になっています。私もO氏も直接お会いしたことはありませんが、著者の来仙を知って黙っているわけにはいきません。早速関係者に問い合わせの電話をしました。回りまわって、今日から三日間井上氏が中学生向けに文章講座を開く仙台文学館 (井上氏が館長です)に連絡してみると、係りの方から「スケジュールが立て込んでいるのですが、本日のお昼前後なら時間が作れると思います」との返事。まさか即日とは思っておらず、私はジーパンにTシャツ、O氏はタンクトップに半ズボンというラフな出で立ちです。二人で急いで某店に走って身支度を整え(?)、菓子折りを買って文学館に急行しました。

受付で係りの方に挨拶し、会えることを確認してもらって、ベンチで待つこと約30分。再び係りの方がいらして、「レストランで食事を取るのにこの前を通りますので、その時に捕まえてください。立ち話程度しか時間がないと思いますが・・・」。名刺と菓子折りだけでも渡せればと緊張して待っていると、廊下の奥から、やや背を丸めた独特の歩き方で井上氏が現れました。我々の前で立ち止まり、笑顔で挨拶をしてくれます。我々も「はじめまして」と挨拶をすると、意外にも「レストランでゆっくり話しましょう」との嬉しいお誘い。思いもがけず昼食の席を同じくする幸運に恵まれたのです。

はじめは『作文教室』の売れ行き状況や最近の刊行物の話をしたのですが、次第に出版業界全体の話、地方出版の現状の話など、現実的な話題に移行していきました。井上氏からは「本の森さんは、少人数でどんな形で仕事を進めてるんですか?」「実働二人で、営業や経理はどうしてるんですか?」などの具体的な質問まであり、続いてありがたい激励の言葉、ジンと心に響く台詞をいただきました。トレードマークの丸メガネを指で押し上げながら、カレーソースとライスをゆっくりと交ぜて食べるその姿は、 東北人特有の温かみを感じさせます。私の中学時代の恩師が井上氏と高校の同級で、よく自慢話を聞かされたことを話すと、「ああ、S君か。メガネをかけてただろ。すぐに思い出したよ」と、とても嬉しそうでした。

食事を終えるのを見計らって『分校ものがたり』『「革命」にかける7人の男たち』を渡すと、なんと本の代金を支払おうとされます。「とんでもないです!!」と断ると、「こういうことをやっていてはダメだよ。お菓子は喜んでいただくから、さ、いいから持って行って!」とO氏の胸ポケットにお金を差し込みます。結局、いただいた金額以上の本をお送りすることを約束し、30分少々の昼食はあっという間に終わりに。「また会いましょうね」と、会った時と同じ笑顔で我々を送ってくれました。

突然の出来事でしたが、実に楽しい時間でした。その後の文章講座にもお誘いいただいたのですが、O氏と二人で執務を止めていったので、泣く泣くバスに乗って帰社。中学生がホントにうらやましく思えました。3日間の講座に参加する中学生は、きっと思い出深い夏休みになることでしょう。ここで得たものが、後々になって本・出版業界を仕事として選ぶきっかけになることだってあるはずです。実際に出版業に携わっている人間ですら、大きく心を揺り動かす台詞をいただけるのですから。(小)
7月23日(月)
暑中お見舞い申し上げます。仙台もやっと先週金曜日に梅雨明けし、今日の最高気温が35℃と夏到来です。昨日までの、夏の始めの3連休はいかがでしたでしょうか? 海に山にイベントに楽しい時間を過ごした方も多いと思います。その一方で、明石市の花火大会では傷ましい事件が起きてしまいましたし、3連休での水難事故での死者は38人だそうです。心からご冥福をお祈りいたします。読者の皆さんも、夏の事故にはどうぞお気つけ下さい。

『分校ものがたり』の健闘(市内書店の売上ベスト5)に続いて、またまた嬉しいニュースがありました。『「革命」にかける7人の男たち』が、オンラインブックショップのbk1内の「ブックス安藤」【きょうのウリコミ】に登場しました。本の発売当初から売込みを開始し、ついにアップに至ったのです。「ブックス安藤」の安藤哲也氏といえば、書店・出版業界では超がつくほどの有名人で、「棚を編集する」のキーワードに代表される魅力ある書店づくりで注目を集める人です。都内の小規模書店の店長としてその店を繁盛店にし、現在はバーチャル書店に活躍の場を移されています。何度かメールのやり取りをさせていただいたのですが、とても気さくで丁寧なお人柄を感じました。同サイトの来客数は、一日2000人以上。少しでも多くの方が同書に興味を持っていただければ、本当に嬉しいです。
早速同サイトを見たからは「これで本の森も全国区ですね」との激励メールを頂戴しましたが、まだまだこれからです。今回のようなことを“ご褒美”としてやる気を増幅し、よい本を一冊一冊創っていきます。

次回刊行作については、私もO氏も悪戦苦闘中です。暑さで額に汗するだけでなく、アイデアをひねり出すのに、脳みそに汗するような感覚。せめて夏バテだけはしないよう、O氏推薦の「水出しマテ茶」を飲みながら、パソコンの熱が逆流するデスクで頑張っています。明日も明後日も厳しい暑さのようですが、次の“ご褒美”を楽しみに編集作業に打ち込むのみです。(小)
7月19日(金)
今日・明日は編集部近くの神社「大日如来」のお祭です。こうして仕事をしていても、祭囃子や花火の音が聞こえてきて、賑やかな雰囲気を感じることができます。昼過ぎには子ども神輿が出たようで、調子を取る笛の音と「ワッショイ! ワッショイ!」という元気な掛け声が聞こえました。今日が終業式で明日から夏休み。この夏一番ワクワクしている日かもしれません。

私も昼休みの時間に、メインストリートになっている「柳町通り」を歩いてきました。100メートルほどの道の両脇に出店が出て、会社員やOLであふれていました。昼食代わりか、たこ焼きやお好み焼きを頬張っている人も多くいます。型ヌキやくじ引き、金魚すくいなど、祭屋台の定番の店を眺めながら歩き、大日如来に向かいます。明日開催されるカラオケ大会用の舞台(数日前より大工さんが出て、土台から本格的に組むのです)を過ぎ、賽銭箱の前まで行ってお参りです。ついでにおみくじを引いてみると、当然のごとく大吉。私はいままでの人生で、大吉以外のおみくじを引いたのはほんの2〜3回ほどです。なぜか9割台以上の驚異的な確率で大吉を引くのです。もう慣れてしまっているのですが、やはり大吉は嬉しいもの、じっくりと内容を読んでしまいます。ところがそのおみくじには、「旅立ちよし」「子宝縁あり」「人の上に立つよし」などと、まるで予定のないことばかりです。これでは嬉しさも半減といったところです。

ただ一つ嬉しいのは、「願いかなう」の一文。さて、自分の願いは何だろう? 「かなう」と言われると、ついつい大きな願いを持ってしまいます。「在庫完売」「ベストセラー連発」「自社ビル着工」・・・。これらは神様にお願いして実現するものじゃないですよね。真面目に働いたずっとずーっと先に、あるのかないのか。

実は私、この大日如来に毎朝出社前にお参りしているのです。お願いする文句も、いつもほぼ同じ。もしこの願いがかなうのであれば、これはもう最高です。大日さんがわざわざ私を選んで引かせたおみくじですから、おそらくそうなのでは!? 突然ある日訪れる願いではないのですが、毎日の瞬間瞬間に「願いかなう」の一文を実感できれば、本当に素晴らしい日々になります。(小)
7月18日(水)
今朝の仙台は雨。東北地方はまだ梅雨が明けてませんから当然なのですけど、久しぶりの涼しい朝にホッとしました。3連休の始まる金曜日からはまた晴れ間が広がるそうで、そのあたりでの梅雨明け宣言が予想されています。東北の夏は遅く始まり、早い秋に急かされながら、あっという間にに終わるのです。

明後日からの3連休を利用して書き上げようと、暑中見舞い用の葉書を準備しました。「かもめーる」を利用したものですが、なかなか上手に出来上がったと思っています。かもめーるにしても年賀状にしても、地区ごとに違う絵柄が入ったものがありますよね。東京時代にはいつも「東京版」を使っていましたし、仙台に帰ってきてからは常に「東北版」を使っています。今年のかもめーるの東北版は、清流とカワセミを描いた、それはそれは涼しげな絵柄です。記憶にある沢の音が、耳に甦ってくる錯覚さえするほど。「ウチに届くかな?」なんて期待してくれる方は、どうぞお楽しみにお待ちください。

短い夏は、暑中見舞いを出すタイミングも難しくします。残暑見舞いはなおさらで、気づくとトンボが飛び始めたりするのですから。逆に考えれば、暑中見舞いの習慣が季節を感じさせてくれているとも言えそうです。タマゴとニワトリの話になりそうですが、どちらにしても短い夏には変わりありません。。自転車で走る蝉時雨の田舎道、、空が遠く見えるプールサイド、夕立の後の蒸気が香る路地裏、一夜限り楽しい祭、そして花火が飾る夜空。もうすぐ始まりすぐに終わる、東北の夏が目の前です。(小)
7月17日(火)
うれしいニュースが飛び込んできました。新刊の『分校ものがたり』が、市内中心部の老舗書店で売上第5位だそうです。何百万部、何十万部と売れるベストセラー書籍を向こうに回しての第5位ですから、もう大健闘です。レジ正面の目立つ場所に置いてくれた同書店さんに感謝、そして何より買っていただいたお客様に大感謝です。外を回ってきたO氏からの話なので、帰りがけに私もこの目で確かめようと思っています。いまからワクワク・ドキドキです。

この『分校ものがたり』は、直木賞作品「子育てごっこ」のモデルとなった岩手県胆沢郡の衣川小学校大森分校が舞台の作品です。著者の三好京三氏が教師として過ごした分校での14年間を振り返っているのですが、その14年間のうちに同校を巣立っていった生徒は全70名。私が学んだ小学校は、一クラス約40人で5クラスありましたから、大森分校から見ればとんでもないマンモス校ということになるのでしょう。
今日はその70人の方に、名簿を頼りに出版のお知らせの葉書を書きました。久々にペンだこがへこむほど、長い時間ペンを握っていました。

住所欄を書いていて気づくのは、いまだ地元に住み続けていらっしゃる人が多いということ。「衣川村〜下大森」などという番地をみると、分校に通っていた当時と同じ家なのかななんて思ってしまいます。大森分校は昨年閉校になったのですが、たまに跡地に行ったりするものなのでしょうか?
私も現在、小学校生当時と同じ家に住んでいますが、昨年冬に小学校時代の友人と散歩がてら行ったのが15年以上ぶり。登り棒や回旋塔などの遊具を間近で見ると、それで遊んでいた当時を昨日のことのように思い出しました。「昨日のことのように・・・」なんて手垢のついた表現ですが、文字通り「昨日も遊んだ」ように思い出すのですね。

名簿の住所欄には、仙台市内はもちろん東京・神奈川などの首都圏、遠くは九州までの番地が並んでいます。地元に住んでいる方々と違い、なかなか分校跡地に足を運ぶ機会などないでしょう。そんな方々が、楽しかった分校生活を「昨日のように」思い出す一助として、『分校ものがたり』が役立ってくれればこれ以上の喜びはありません。たとえ順位が、5位から1位に上がっても。(小)
7月16日(月)
週末に「宮城県サイクルスポーツセンター」へ練習に行きました。この施設、実はコース内から海に続く秘密の抜け道があるのです。朝早く、日差しが強くなる前だったので、自転車を脇に止めて浜辺に出てみました。松林を抜けた目の前に広がる海の、大きいこと広いこと。砂浜は流木や雑草であまりきれいではありませんが、左右の視野に足りない大海原の迫力はさすがです。堤防やテトラポットなど遮るものが何もなく、地平線と水平線がずーーーっと先で一緒になってしまうのですから。東京時代によく行った茅ヶ崎の浜(昨年野外ライヴで話題になった球場の真向かい)と比べても、スケールが違います。そして不思議なことに、なぜか涼しい気分になるのです。「でっかいなぁ!」と思わず言葉が口をつくには、あのくらい大きな海じゃないと。

家に帰ると、母が「前から欲しかったの」と扇風機を買ってきていました。我が家にも一応は冷房機があるのですが、台所仕事をしながら扇風機の風を浴びたいというのが母の希望でした。早速箱から出して組み立ててみると、実にシンプルでクラシカルな扇風機です。風を頬に浴びながら「柔らかい風邪だねぇ」と、母はご機嫌のようでした。確かに、関節の奥まで冷えてしまうような冷房機の風に比べ、扇風機の風はどこか優しい。多少気になるかと思った「ブーン・・・」というモーター音さえ、心地よく耳に残ります。

今から少し前、扇風機が出たての頃は、「団扇や扇子の風のほうがやさしい」「打ち水した庭からの風も、香りまで運んできて涼しかった」「いやいや、縁側の風鈴がチリンと鳴ればそれだけで・・・」などと言われていたのかもしれません。冷房機に慣れた私にとっては、団扇・扇子・打ち水・風鈴などは何世代も前の避暑道具と言えるのでしょう。それでも、可能な限りそれらを身近にしていたい。冷房機をかけて締め切った家では、風鈴が鳴る場所はないかもしれません。でも、朝起きてベッドを直す時くらい窓を開けて、風鈴の音とともに一日を始めるなんて、なかなか素敵な夏の朝ではないでしょうか。南部鉄器の風鈴は、とても涼しげな音を鳴らしてくれますし、ガラスがカリカリと擦れる江戸風鈴は、見ているだけで爽やかな気分にさせてくれます。

他のものでは楽しめないスイカの歯ごたえ、青い香りいっぱいのトウモロコシの皮、生命力あふれる枝豆の根。夏の食べ物も、味覚だけで楽しむのはもったいない。五感全てで楽しみたいものです。食べ物のそんな楽しみ方は、日本人が古来から得意にしてきたことのはずです。味覚を超えて、視覚でも楽しませる料理。いくらでも思いつきますよね。
私が海で感じた涼しさも、肌で感じる暑さを超えた「視覚の涼しさ」だったようにも思います。年を重ねることで、季節を楽しむ手法を少しずつ増やせているかも知れません。今年の夏、他にどんな楽しみ方に気づくことができるか。夏の終わりに思い出してみようと思います。(小)

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