本の森通信 11月号

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11月30日(金)
トップページでお気づきになった方も多いと思いますが、新刊の『ドキュメント 医療過誤事件 −弁護士の医療裁判レポート−』のページをアップしました。同時に、サイト上の注文受付もスタートです。装丁はやや地味かも知れませんが、かえってそれが個性的かもしれません。近所の書店で平積みされているのをみると、ちょっと目立っているように見えるのは贔屓目でしょうか。自信を持って皆さんにお届けする一冊です。どうぞご覧下さい。

トップページの背景はもみの木に。小社HP管理をお願いしている「Tea Garden」主宰者のhitoshikさんのセンスです。いかにもクリスマスという雰囲気でもなく、宮城と山形にまたがる名山・蔵王連峰の「樹氷」を思わせるデザインです。冬の気分もだんだん盛り上がってきますね。

一方仙台の街では、好例の「仙台 光のページェント」の電球の取り付けが始まりました。定禅寺通りのケヤキ並木には、まだ落ちきらない葉を止めている木もたくさん。晩秋と初冬が重なる仙台の風景です。今年は長引く不況の影響からか企業の協賛金が集まらず、去年よりも規模縮小での開催のようですが、あの輝きは決して見飽きることがありません。昨日書いた“忘年会”ではありませんが、あの光の下を歩くだけで、一年間の嫌なことはすべて忘れることができます。

11月も今日で最後。週明けには、身の回りも一気に慌しい空気になるはずです。寒さも厳しくなりますので、皆様くれぐれも体調管理にご留意されて、今年最後の一ヶ月をお過ごしください。(小)

※ジョージ・ハリスン死去の報が届きました。ただただ、今は冥福を。合掌
11月29日(木)
昨日の晩は、仙台市宮城野区を中心としたコミュニティFM局「FMじょんぱ」の忘年会に出席してきました。“忘年会”というものに出席したのは何年ぶりかのことです。お酒を飲まなくなって久しく、さらに小社は社長以下全員がお酒を飲まないという環境にあるためでしょう。仲間たちとも、わざわざお酒を飲むためだけに集まったりはしません。それ故、昨日は久しぶりに飲み屋さんの雰囲気を味わい、楽しい時間を過ごしました。

参加者は30人前後。番組の出演者やスポンサーの方が多いのですが、職業も年齢層もバラバラです。区役所の方、県会議員、ライヴハウスの方、学生さんなど様々な方とお話ができ、また小社のことを知ってもらういい機会になりました。「その年一年間の嫌なことを忘れる」ことが目的の忘年会ですが、昨日いただいたご縁は、決して忘れずに大切にしたいと考えています。

楽しかった昨日の晩を思い出しながら、隣りの席で風邪と戦っているO氏に、「今年から本の森も忘年会をしましょうか?」と提案すると、「メンバーはどんな顔ぶれ?」と。「ええ、とりあえずOさんと僕と・・・う〜ん・・・」「二人でどこ行くの?」「・・・、とりあえず美味い珈琲でも・・・」。今年も小社は忘年会ナシのようです。

皆さんも、これからいお酒を飲む機会が多くなるでしょう。飲み過ぎは体に悪いので、くれぐれもお気をつけて(いまどき、必要以上に酔っ払う人も少ないでしょうが)。また「オレの酒が飲めないのか?」「一人でウーロン茶を飲んで、場をしらけさせるな!」「グラス一杯、一気に飲め!」などと、お酒の飲めない人に強制的に飲酒させるような言動を取る「アルハラ(アルコール・ハラスメント)」にも注意。法律の専門分野でも調査研究が進んでおり、立派な犯罪行為として罰せられることもあります(詳しくはこちらこちらなど)。楽しく安全に、会をお楽しみください。(小)
11月28日(水)
昨日、仙台は初雪を観測しました。数日前のこの欄で書いたユキムシの知らせは、本当だったようです。気づけば街にも、クリスマスの飾りが目立ち始めました。今年のクリスマスは、世界的に緊張する一日になりそうです。私に出来ることは、ただただ何も起こらないことを祈ることだけです・・・「何に祈るのか」というのも、議論の分かれるところですが。

今日の編集部は実に慌しい中にありました。一日通して作業し続けたのが、『仙臺・東一番丁物語 〜柴田量平選集』の注文受注と発送。電話・FAX・メールでの注文が殺到しているのです。お客は関東・関西と多岐にわたっており、何を見てこの本を知ったかも見当がつかない地域。電話でご注文いただいたお客に「失礼ですが、何を見てこの本のことを知りましたか?」と訊ねてみると・・・。
今日の注文のほとんどは、本の編者である稲垣潤一さんのファンの方たちのようです。何でも、稲垣さんがラジオでこの本の告知をされ、そのことがファンの集まるメーリングリストで話題となり、ファンの中のお一人が小社HPを紹介してくれたとのこと。いまの時代、情報はホントにあっという間に広がるんですね。実は先程別件で稲垣さんが電話があり、今日のことをお話すると、「そうですか。ファンの方に読んでいただけるのは僕も嬉しいです」と喜んでいらっしゃいました。
稲垣さんのファンの方が、おじいさんにあたる柴田量平さんのことを知り、著書から仙台のことに興味を持っていただくのは我々も嬉しいことです。いろいろなきっかけから何かを知り、それについての知識を広げる時の一助になるのは、やはり本だと思います。小社刊行の本がそんな役割を果たせれば、編集者としても大きな喜びです。今日の大量注文(それ故、さらに在庫僅少となりましたが・・・)が、そんな「はじまり」になれば・・・。

この発送作業中に、お客さんが二人に届きものが3件。自分のデスクに座っている時間がほとんどない状態でした。こうしている間にも『仙臺・東一番丁物語 〜』の注文FAXが・・・。この嬉しい悲鳴がいつまで続くやら。受注即日発送を心がけ、在庫切れまで頑張ります。(小)
11月27日(火)
連休中の23、24両日、仙台市青葉区の市民広場と勾当台公園、県庁前広場を会場に「みやぎまるごとフェスティバル2001」が開かれ、家族と行ってきました。会場には、県内各市町村の特産品などを販売する200の出店がずらりと並び、天候に恵まれたこともあって初日から大変な混雑でした。
農産品や加工品などの出店は、試食があるので特に人気があります。すいとんの入ったはっと汁、県外からの出店だった鹿児島のお茶などの試食・試飲には行列ができていました。もちろん、我々も行列に加わってしっかり味見させていただきました。
私が気に入っているのは、果物や野菜、水産物の直売です。生産者の方が直接売ってくれるので、会話を楽しみながら新鮮なものを買うことができます。今回はリンゴを買おうと思って試食して回り、一番おいしかった出店(角田の農家の方でした)でフジを購入。その際、「試食してみて、ここのが一番味が良かったです」と言ったら、テントの後ろの方で食事中だった家族らしい女性2人も、はらこめしのお弁当を持ちながら「ありがとうございます」と頭を下げてくれました。ほのぼのとしていいですよね、こうした雰囲気。
このほか見るからに美味しそうだったサツマイモも購入。家に帰ってから焼き芋にして食べると、期待通り上品な自然の甘さにびっくり。2本入りの袋には、生産者の方の名前が貼ってありましたが、丁寧に育てていらっしゃる様子が伝わってきて「おいしかったですよ」と言いたくなりました。
このフェスティバルの狙いは、豊富な食材に恵まれた宮城県内の産物を紹介することに加え、生産者と消費者を結びつけることにあると思います。○○さんのネギ、□□さんのサツマイモ。買って、食べてみて美味しかったら、直接連絡して買うこともできるでしょう。我が家でも、リンゴの袋に書いてあった電話番号を早速メモしました。気持ちいいくらい、すっぱりと主宰者の術中にはまるのも、こんなことならいいですね。(大)

11月26日(月)
みなさん3連休はいかがお過ごしでしたか? 全国的に天候にも恵まれたらしく、行楽地は賑わったようですね。私は金・土と出社し、昨日は一日中本を読んで過ごしました。新刊『ドキュメント 医療過誤事件  −弁護士の医療裁判レポート−』の著者・千田實先生から、以前お書きになった法律入門書をいただき、それに没頭したという具合。法律に関しては、身近なものでも知らないことがホントに多いですね。最近は法律をテーマにしたバラエティ番組もあるようですが、それが人気なのもわかるような気がします。

寒い休日には家で読書を。数ヶ月前には、休日といえば朝から晩まで自転車に乗っていたのですが、これからの時期はそんな標語でも言いたくなる季節です。それはそうと、寒くなる時期でもスポーツには接していたいもの。自転車のシーズがオフの間は、私はランニングをすることにしてます。帰宅して食事をとり、少々休んでから夜間ランニングに出るのです。体温を逃がさない「サーモ・ウェア」などいう洒落たものは持っていないので、高校時代のジャージ上下にウィンドブレーカー。シューズだけはお金をかけて専用のランニングシューズです。頭にタオルを巻き、リフレクター(反射素材)のついたタスキをかけて出発。頭上に輝く「冬の大三角」や「オリオン座」を見上げながら、冷えた空気の中を走るのです。高台の住宅街なので車は少なく、空気もきれいな感じがして快適です。時間にして約1時間の練習は、慣れれば翌日に疲れが残るほどのものではありません。

走っていて気づくのは、同じように走ったり散歩したりしている人が意外に多いということ。「ウォーキング」の効能が知られて以来、歩く人はずいぶん増えたように思います。初老のご夫妻がお揃いのサーモ・ウェアを着て仲良く歩いているのを見ると、生涯スポーツの理念の浸透すら感じます。自分と同じようにはしている人とは、すれ違う際に軽く手を挙げて挨拶。ちょっとした仲間意識を楽しめる瞬間です。こんなことも、夜間ランニングの面白さの一つです。

時間的余裕や環境のことなど、すぐ実行できる方は少ないかも知れませんが、ぜひ試してみてはいかがでしょうか? 私の敬愛する哲学者(故人)は、著作の中で「“思索の時間”を作るため、私は朝のランニングを自分に課し、各駅停車の電車を移動に使う。私の論文は、ランニング中の風景と車窓の風景が書いてくれる」と言っていました。確かに、ランニングの時間はモノを考える時間にもあてられます。思い立ったが吉日、オススメします。(小)

※日本近代史学者の井上清氏が、23日に肺炎で他界されました。史学生だった私にとっては、本を通して何度となくお会いした方です。左翼文化人としても名をはせた方でしたが、大学卒業時の卒論があまりに秀逸で書籍刊行されたという逸話や、「通史を一人で書ける最後の日本史学者」と称された幅広い視野は、実績は単なる進歩的論客の範疇をはるかに超えたものだったしょう。また一つ、歴史を照らす光が消えてしまったように思います。名著も多数。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
11月22日(木)
今朝家を出ると、目の前をユキムシが舞っていました。正式名称は確かワタムシ、伊豆地方での呼び名はシロバンバ・・・そうです、あの井上靖の名作「しろばんば」です。このユキムシが舞い始めるとまもなく雪が降るという話は、日本各地にあるみたいですね。「あっ、雪・・・」と思ってよく見ると、小さな小さなユキムシだったなんていうことは、これまでも何回も繰り返した晩秋・初冬の決まりごと。ベガルタ仙台のJ1昇格で「終戦以来の盛り上がり(FMいずみの某氏談)」をみせた仙台の街にも、いよいよ雪が降るようです。

数日前、嬉しいメールが届きました。9月7日に「職場訪問」で小社にやってきた福島県の飯野中学校の生徒から、「職場訪問」の研究発表が無事終わったとの報告です。わざわざ報告してくれただけでなく丁寧なお礼まであり、もらう側がとても嬉しくなる文面でした。本人の了解の上、以下にご紹介します。

先日、「本の森」出版社を見学させて頂いた飯野中学校のものです。
あの時は本当にありがとうございました。
代表として、私、高橋沙与がお礼のメールを差し上げます。

今日、11月14日に総合的な学習の発表が行われました。
飯野中学校の体育館に、県内のいろんな先生方が集まり
飯野中生徒の発表を、よく見ていかれました。
そして私たち4人(関真由美・高荒あかり・藤野可奈子・高橋沙与)は
堂々と、「本の森」出版社で学んだ事などを
発表しました。

今回、調べたテーマはそれぞれ違いましたが
出版社で学んだたくさんの事を綺麗にまとめ、
とても内容の深いものにできあがったと、思います。(自分でいうのも変ですが・・・・)

〜〜〜★それぞれのテーマ★〜〜〜
関 真由美 →本が発行されるまで
高荒 あかり→外国の本が入ってくるまで
高橋 沙与 →世界の児童文学の歴史
藤野 可奈子→雑誌はどのようにして作られているのか
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

今、思うと「本の森」出版社を選んで、本当に良かったと思います。
わざわざ、丁寧な資料もつくって頂き
更に、ケーキやおみやげまで用意して頂き・・・・
ほんっっっっっとうにありがとうございました。(*^_^*)
帰りのバスの中では、自慢になりました。
「とってもいい人ばっかりで、すっごく楽しかったんだ〜。勉強になったし。
もう一回行きたいよね。」 と。
先生までもが、「そんなにいいなら、私も行けばよかったわー。」
と、おっしゃっていました。

頂いた本ですが、とても楽しんで読ませてもらいました。
1ページ、1ページに出版社の方々や著者さんの
汗と涙の努力が込められていて、
いろいろな思いが込められていると思うと
本が倍に楽しくなるものなんですね。
出版社見学で身にもって学んだ事のひとつです。

   ありがとうございました!!!

何度読んでも嬉しくなる文面で、胸が熱くなります。四人とも出版の世界に関心を持ち、自分でいろいろ調べ、それを実りあるかたちにまとめたようです。自分で「内容の深いもの」と言えるのは、それだけ一生懸命やった証拠でしょうから、胸を張って欲しいと思います。さらに後半の一段落、本に対する興味をより深めてくれたみたいで、我々としてはこの上ない喜びです。将来、こんな後輩が業界にやってきてくれるかと思うと、本当に楽しくなってきます。もちろん、それまでにさらに魅力ある業界になるために、いま働く我々が頑張らなくてはいけないですね。

関さん、高荒さん、高橋さん、藤野さん、これからも勉強やスポーツに元気に取り組みながら、たくさんの素晴らしい本に出会ってください。我々とも、本を通していつか再会出来るかもしれませんね。その時に「この本、読んでよかった」と思ってもらえるように、毎日一生懸命に本を作ります。(小)
11月21日(水)
一昨日は久しぶりに(仕事で)東京へ行ってきました。前日の天気予報を見ると、東日本の太平洋側はすべて晴れマーク。いつもよりも早い時間の二階建て新幹線に乗り、進行方向右に見事な富士山を見物。早朝出発の出張の大きな楽しみです。

トーハン・日販をまわり、『ドキュメント 医療過誤事件  −弁護士の医療裁判レポート−』の配本を依頼。どちらの窓口でも「面白そうですねぇ〜」と好感触をいただき、まずはひと安心です。今日確定した配本数も、こちらの希望どおりの数字になりました。減らされるケースが多い中でのこの結果は、さらに期待が高まります。
その後神田神保町の「書肆アクセス」へ挨拶に。多忙なようでゆっくりとお話する時間はありませんでしたが、新刊に加えて既刊本の注文もいただきました。小社と同じように地方で頑張る版元さんの本が並ぶ同店。新刊書店さんとは全く違う棚作りが魅力です。ここに自社の本が並ぶのは、一般の書店さんとはまた一味違う喜びがあります。うまく言い表せないのですが、「ともにガンバロウ!」という気概を感じるような感覚があるのです。

昼食は「WEB HIROKUMA!!」を主宰するヒロクマさんと、中華料理店「漢陽楼」へ。ここは、世界的大物とも関係のある店(詳しくは「WEB HIROKUMA!!」内の「神保町日記 11月19日」をご参照)で、たぶんその大物も食したであろう「特製チャーハン」を食べてきました。これがまた美味しいのなんのって・・・。脂っこさがまるでなく、口に運ぶたびに独特の複雑な風味が広がります。あっという間に食べ終え、そのまま珈琲店「蔵」へ。ここも絶品の珈琲が飲める店です。神保町の珈琲店のなかでは後発の部類になりますが、いまや味と雰囲気で確固たる地位を築いています。「中華のあとの珈琲は、格別に美味しい」という私の持論どおり(笑)、実に美味しい一杯でした。
同業のヒロクマさんとは、やはり出版と本の話を。週刊コミック誌に携わるヒロクマさんからは、マンガ喫茶とコミック版元・著者の関係(マンガ喫茶が増えてコミックが売れなくなり、コミックの増刷がまわらないと、著者印税や版元収入に直接影響する)や、コミック誌における巻頭グラビアアイドルの人気(一例を紹介しましょう。この人の全盛期は、グラビアに登場するだけで雑誌売上が5〜10万部も上乗せになったそうです。その次に人気となったこの人は、もう人気が下降気味で、グラビアとしての商品価値は終わっているとか。最近の一番人気はこの人だそうです。)など、興味深い話をたくさん聞きました。いつもお昼をご馳走になり、さらに面白い話まで聞かせていただき、感謝・感謝です。

年内に東京へ行く用事は、今のところありません。今年は5回の出張があったので、三ヶ月に一回以上は東京に行っていたことになります。また来年も、たくさんの思い出のある街にたくさん行けることを、たまの楽しみにしようと思っています。(小)
11月20日(火)
一日・二日ほど遅れた話題になってしまいましたが、ベガルタ仙台のJ1昇格、本当にうれしいです。あまりの喜びに、トップページにリンクまで貼ってしまいました(笑)。おまけに、先程まで一時間ほど職場放棄し、市内で行なわれた昇格祝賀パレードを見物してきました。

パレードといっても、一番町商店街をフロント・監督・選手が歩いてのもの。某球団のように銀座の街をオープンカーに乗って・・・なんていう派手なものではありません。しかしその分見物にきた市民との距離が近く、まさに目の前を憧れの選手が通るかたちになりました。市民が「お疲れ!」と声をかけると、選手が「ありがとう!」と応える。私もほとんどの選手に声をかけましたが、どの選手も1対1での会話のように受け答えしてくれます。J2得点王のマルコス選手に「マルコス、オブリガード!」と言うと、「また応援してくださいね!」と。最終戦に財前選手のゴールを導いたクロスをあげた岩本選手に「テル、仙台に来てくれてありがとう!」というと、「本当に仙台に来てよかったよ、ありがとう!」と・・・。声をかけたこっちが驚いてしまう距離感。祝う側と祝ってもらう側がこんなに近いパレードは初めてでした。

選手が通り過ぎ、さて帰ろうかと人波の外に出ようとすると、まるで身動きが取れません。パレードを見送った市民が、今度はパレードの最後尾について歩いているのです。まさに「ブレーメンの音楽隊」状態。ベガルタ仙台の旗を先頭に、大市民パレードになってしまったのです。こんな一番町商店街は、私が知る30年近くの歴史(うち8年の空白アリ)の中で初めてではないかと思います。市民と街とクラブの理想的な関係。市民パレードの最後尾を歩きながら、うれし涙が出そうになりました。

前身のブランメル仙台時代から応援してきた人も、最近になって応援を始めた人も、うれしいことにはかわりないはず。市民に愛されるプロチームとして、今後の活躍にも期待が高まります。来期の厳しい戦いは勿論承知。負けが込んで客が離れるなんていう事態は見たくありませんが、今日の市民の盛り上がりを見れば心配なさそう。市民の応援は熱烈、街のバックアップも強力、そしてチームの実力も十分となれば、さらに成熟したトライアングルが出来上がります。自分の子どもや孫も応援するであろうチームが、来期はJ1に殴りこみをかけます。(小)
11月19日(月)
「交通事故の目撃者を探しています」と書かれたチラシが、先日の新聞折込に続いて今日は郵便受けに投げ込まれていた。2年前の1999年11月、当時東北大学の学生だった兵庫県出身の男性が、バイクに乗っていて市営バスと衝突して死亡する事故が仙台市内であった。チラシを配っているのは、その学生の母親らしく、兵庫県内の住所と電話番号が記入してあった。事故の日付を見ると、11月17日になっていた。おとといが命日だったのだろう。
事故の状況やその後の経緯は、当時の新聞等で報道された記憶がある。しかし、結果がどうなったのかは、私も知らない。自分自身、新聞はよく読む方だと思っているが、実はこの事故について解決したのかどうかかさえ、記憶になかったのである。チラシの文面を見る限りでは、ご遺族が今なお、苦しんでおられる状況を察するに余りあるものがある。
チラシによると、事故当時、バイクの横を走っていた車があり、その運転手に事故当時のことを聞きたいということらしい。ただ、もう2年前のことである。事故を起こしたバスに乗っていたであろう乗客、仮にその運転手が見つかったとしても、どれだけ記憶に残っているだろうか。事故現場は、市街地から青葉山の大学キャンパスに向かう二車線道路で、普段は人通りがほとんどない場所だ。
以前、テレビの番組で瀬戸内寂聴さんが、「日にち薬」という言葉を紹介していた。家族など親しい人の死も、時間がたてば癒えるという意味だそうだ。しかし、その死が遺族にとって納得できるものでなければ、それも難しいだろう。自分の無力を感じながら、たった1人の運転者に向けたこの母親のメッセージが、一日でも早く届くことを願うばかりだ。(大)

11月16日(金)
完成が延び延びになっていた新刊の見本が、今日ようやく届きました。著者は、以前に『大型負債の責任者は誰か ―弁護士の農協裁判レポート―』『田舎弁護士 ―地方都市に生きるリーガルマインド―』を書かれた岩手県一関市の弁護士・千田實先生。今回の本のタイトルは、『ドキュメント 医療過誤事件 ―弁護士の医療裁判レポート―』。平成6年に山形県で起きた医療過誤事件をドキュメント形式で振り返った内容で、実際の裁判文書や法廷での尋問録も多く掲載しています。人命が失われた事件であり、裁判そのものも6年以上にわたる(一審勝訴・控訴審和解)というシリアスなテーマの作品でしたが、“ドキュメント”に徹した資料収録と著者の鋭い見解がバランスよく共存する本に仕上がったと思っています。装丁はこれまでの小社の本のなかで最もシンプルなもの。「既存の医療過誤本のような、サスペンス風の色合いは避けたい」という著者の意向を踏まえての選択です。あくまで冷静に、淡々と事実を振り返ることで、医療過誤事件・民事裁判そのものの本質を見てほしいという趣旨が、中身はもちろん外見にも現れたかたちになりました。

来週の月曜には東京に出張し、取次会社に新刊配本の手配をします。多くの人に読んでいただきたいのですが、バラ撒きの配本は避けたいところ。。法律関係の専門誌・紙で広告宣伝をする一方、医療過誤についての様々な団体やネットワークにも告知し、この本を本当に求めている人にきちんと届けられるようにしたいと考えています。もちろん、一般の方で興味のある方にも是非読んでいただきたい。民事裁判のケーススタディとして読んでいただくことも、当初から想定していた本です。HP上でもご注文できるように、なるべく早めに手配しますね。

この本の進行の中で、裁判においての原告つまり医療過誤事件で息子さんを亡くされた「Aさん」ともお会いすることが出来ました。本の中でもAさんのお人柄について述べられた部分がありますが、本当に丁寧で、温かみのある方でした。Aさんの「この事件をぜひ世間の皆さんに知ってもらって、これ以上我々のような不幸な人が生まれないようにして欲しい」という強い意向があり、それに千田先生が応えるかたちで執筆が進んだのがこの本です。無念さは当然薄れなく、打ち合わせの中でも目頭を押さえることが何度かありました。別れ際に頂いた「これで息子も報われます」のひと言は、編集者として一生忘れないひと言になりそうです。

今回の本の中に、実は一ヶ所“仕掛け”をしました。全512頁・ハードカバーの重厚な一冊、一気に読める人は少ないでしょう。そんな時に役立つのがスピン(本体に付いている、布製のしおり)です。今回の本のスピンはやや明るめの黄色、いわばヒマワリ色です。これは、Aさんから頂いた名刺にあったヒマワリ畑の写真からイメージしたものです。Aさんの住む町の「町の花」がヒマワリなのです。長く農業に従事してこられたというAさん、当地に長くお住まいであれば当然ヒマワリに親しみがあるでしょうし、亡くなられた息子さんと一緒にヒマワリ畑を歩いた思い出などもあるかもしれません。それならばもちろん、天国の息子さんにもヒマワリの記憶が残っていらっしゃることでしょう。
実はこのことを話すのは今日が初めてで、著者の千田先生にもまだ・・・。偶然ではなく、弁護士バッヂの「ヒマワリに天秤」にもかかっていることでお許しいただきたい(笑)。蛇足ですが、夏の暑い日にロードレーサーに乗りながら眺める大輪のヒマワリは、私も大好きなのです。(小)


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