本の森通信 2006年1月号

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1月25日
一週間ぶりの更新だ。この通信を書くのはたいてい午後16時過ぎで、その日の仕事を大枠を終えてから取りかかることにしている。一日の良いリズムになるし、まぁ文書を書くことも好きなのでしばらく続いているが、さすがに忙しい時には真っ先に省略するところでもある。それでも、しばらく更新しない日が続くと自分で寂しくなる。うーん、なんとも不思議な関係になってしまった。

一昨日と昨日の午前中は、入稿作業に集中。原稿を画面上で確認し、プリントアウトしたものをさらにチェックして、印刷会社に送る。原稿が自分の手から離れるこの瞬間は、いつもちょっとした解放感を感じることが出来る。もっとも、手が離れるといっても一時のことで、もうすぐ初稿が上がってくる。そうなれば今度は、一番神経をすり減らす校正の日々が待っている。

昨日の午後は出版希望者のご自宅へ伺い、二時間ほど打ち合わせ。たいへん丁寧な方で、こちらへの質問内容を紙に書いて用意しておいてくれた。それらの質問に一つ一つ答えながら、互いに新しいアイデアを出し合う。内容だけでなく、出版までのスケジュールや出版後の活動についても積極的にご意見をいただいた。出版は初めての方は、とかく内容や体裁を重視するあまり、スケジュールや出版後のことについては意外と無頓着なケースが多い。逆に言えば、そんなスケジュールや出版後のことについてこそ、こちらでしっかりと提案・説明が必要である。昨日の方は、出版に関するあらゆることに興味を持たれていたので、こちらでも色々なな面白い話を披露することが出来た。いくつかの懸案事項をクリアすれば、本格的に出版に着手することになる。

今日は朝から新しい原稿に取りかかる。これがなかなか難しい。イメージとは裏腹に、なかなかチェックが進まない。決して悪い原稿ではなく、手間がかかるわけでもないのだが、どうしても一文一文に時間がかかってしまう。この手の原稿はコツコツと取り組むしかない。午後はデザイナーさんが納品にいらしたり、お世話になっている記者さんが遊びにいらしたりと、良いタイミングで気分転換になる訪問を受ける。
気づいてみれば今週も半分を過ぎてしまった。こんな調子でやっていると、あっという間に春になってしまう。悠々と急ごう。(小)
1月18日
朝から原稿直しに追われる。通勤途中のイメージではドンドン進むはずだったのだが、意外と梃子摺る。理由の一つは背中の筋肉痛。昨日のスイミングの影響だ。仕事にそんな言い訳を持ち込んではいけないのだが、やっぱりちょっと背中が気になる。目安にしていた12時には、なんとか目標の三分の二を終えることが出来た。

午後は別な原稿の直し作業に取り掛かる。このように一日の中でも変化をつけ、どれも毎日進行している様にすることが今は必要だ。途中、昨年秋に下読み原稿を返した著者から、「書き直しの一部が出来上がったので、郵送します」との電話が入る。そうそう、あの原稿も素晴らしい内容のものだった。今後の書き直しのスピードによっては年内刊行も無理ではない。そんなことを考えていたら地元紙の記者から、昨日お願いしていた打合せの場所指定の電話。資料をまとめて編集部近くの喫茶店に行き、一時間ほど情報交換。話の中で、参考になりそうな本の紹介を受ける。編集部に戻り検索してみると、市民図書館の在庫を確認。すぐに自転車の飛び乗り、雪混じりの冷風の中「せんだいメディアテーク」へ。目的本と関連本の二冊を借りる。これでまた週末の読書予定が変更せねば。

遅ればせながら直木賞ネタ。ついに、やっと、東野圭吾氏が受賞した。東野氏の作品は、昨年秋に『時生』を読んだ。ミステリー的な仕掛けや謎解きがあるわけではないので、東野作品の中ではちょっと亜流なのかもしれない。でも、胸がヒクヒクするような、誤解を怖れずに言えば重松清氏の作品にありそうな心に響くものがあった。時空を超えた(ちょっとSFっぽい表現だが、ネタバレを防ぐためにもこの言い方でご勘弁)父と息子の会話や行動に、ちょっと涙するところもあった。いま読めば、また別な感慨が浮かぶかもしれないと思える作品だ。

市内書店の昨日の反応は、「売るもの(受賞作だけでなく他の著作)がたくさんあるので、棚が作りやすい」「文庫化されているものも多いので、大きく売上につながるかは微妙」「固定ファンがすでにいる作家さんなので、受賞景気は期待できないかも」といったところだった。なるほど、どれもわかる。本好きにしてみれば東野氏の名前を知らない人は少ないだろうし、固定ファンではなくとも一、二作は読んだことがあるという人も多いだろう。無名に近く、しかも著作も少ない作家さんが受賞したとなれば、「いったいどんな作家なんだ」「○○や△△をおさえて受賞したのだから、これは読んでみなくては」と、誇り高き本好きが書店に殺到し、受賞景気につながるということは期待できる。でも、あまりにビッグネームでベストセラー作家だと、書店が受ける恩恵は意外と少ないのかもしれない。
と、書店目線で書いてしまったが、賞は作品と作家のためのものである(創設目的がどうであれ)。東野圭吾さん、おめでとうございます。これを機会に、かつて週刊文春連載時に途中で挫折してしまった『片想い』を読み直します。(小)
1月17日
昨日・今日と入稿作業に追われ、、やっと今日の午後に印刷会社さんに送ることが出来た。とは言っても、今日入稿したのは全体の50%ほどで、追って残りを入れなくてはならない。来週半ばには別な本の原稿が上がってくる予定なので、それまでにはなんとか区切りをつけておきたいところだ。

明日は石巻へプチ出張の予定。とても興味深い原稿を送ってきてくれた方に会う。JR石巻駅で降り、その後バスで移動する予定。時間を尋ねにバス会社に電話で問い合わせたところ、所要時間は10分程度だが運行が一時間に一本とのことだ。循環バスなので反対路線もあり、実際は30分に一本なのだが、それだと時間もお金も余計にかかるという。まぁ、どちらにしても駅前の書店に挨拶などしていれば30分時間をつぶすのは簡単だ。電車移動は久しぶりである。行きは原稿の下読みをもう一度行ない、帰りは好きな本を読もう。

先週あるライヴハウスで行なわれたイベントで、面白いアマチュアバンドを見つけた。二人組のアコースティック・デュオで、なかなか良い楽曲を歌う。名前は前から目にしていたが、聞くのは初めて。それでもグイグイと魅力に引き込まれ、結局CDまで買ってしまった。みると、周りの客も次々とCDを買っている。当日集まった客は地元音楽業界のや、放送・イベント関連業のバリバリのプロばかり。そんな客の雑談を止めさせ、ステージに集中させ、さらにCDを買わせるのだからやはりすごい。ストリート出身らしく、ギター二本で演奏するスタイルは「いかにも」だが、他の多くにあるような土臭さや説教臭さはなく、むしろ洗練された雰囲気がある。あらためてCDで聞いてみても、声の芯がしっかりしているしギターソロも凝っている。この二人、今後が実に楽しみだ。

昨夜から今日にかけて、ニュースネタがやたらと多かったようだ。帰ってじっくりチェックしよう。その前にこれだけは。震災被害に遭われた皆さまへ。亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。今も被害に苦しんでいる方、どうぞ御心と御身体を大切に。(小)


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