本の森通信 5月号

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5月10日(水)
本当は青葉通や定禅寺通の新緑の美しさについてでも書きたいところなのだが、ちょっとそんな気分になれないほど忙しい。抱えている原稿が二本あり、一つは来週中に印刷所に入稿する予定だ。今週中に最終的な原稿チェックをして来週はじめに著者に確認を取り、挿入予定のイラストとともに入稿となる。もう一方は今週末に大枠の編集を終え、著者を含めた複数の関係者にチェックをお願いすることになる。ほぼ同時進行になった二つのおかげで、先月企画した三つめに全然手を付けられず、こちらは“抱えかけ原稿”となってしまっている。

編集作業が佳境に入りつつあるということは、完成後の販売戦略にもそろそろ本腰を入れなければならなくなる。各書店の担当者から知恵を拝借し、どのようなウリコミが効果的かを調べ廻っている状況だ。そんな書店廻りの中で、ひときわ面白いブックフェアを発見した。

太白区長町にある紀伊国屋書店仙台店で、「東北学から地域学へ」と銘打ったブックフェアが開催されている。山形の東北芸術工科大学内の東北文化研究センターで行なわれていた「東北学」が、「仙台学」「盛岡学」などの地域学に発展したのが昨年のこと。同フェアは『東北学』のバックナンバーをはじめ、研究方針・研究分野でつながりの深い宮本常一や網野善彦の関連書籍など、新刊書店では普段あまり見られないような専門書などが約二千冊用意されている。客の一人としての印象を言えば、とにかく興味深い品揃えだ。一点を数冊置く通常のスタイルもあれば、お宝的価値がありそうな本を一店ずつズラリと並べているところもあり、棚を見ているだけで面白い。同店の企画担当者は「一冊ずつ並べて、“東北ネタの古本屋”という棚作りをねらった」と言っていたが、まさにその通りだ。同フェアのチラシにある「1冊のみの在庫のものも多く、早めのご来場をお待ちしております」の一文がにくい。この分野に関心のある人なら、このフェアでは二冊、三冊と買ってしまうだろう。

同時開催のブックフェア「東北をより身近に感じるための一冊」では、東北六県ごとに「宮城にゆかりのある作家」「福島にゆかりのある作家」などPОPをつけて棚を作っている。「宮城」では土井晩翠から宮藤官九郎や伊坂幸太郎まで並んでおり、ワクワクする顔ぶれだ。これはかなり楽しめる。

同フェアは昨日から今月31日まで。夜10時まで店をやっているので仕事帰りでも十分間に合うだろう。25日には近隣のホールで、赤坂憲雄氏の講演会もある(こちらは事前申込が必要)。この講演会には早々に申し込んでおいた。仕事が忙しい中で・・・とも我ながら少々不安もあるのだが、こういう息抜きなら刺激にもなって良いだろうと、勝手に前向きに解釈している。(小)
5月1日(月)
大型連休の谷間の平日、いかがお過ごしだろうか。ここしばらくの更新の滞りから言って、今日この欄をご覧いただいている方は相当の「通信通」であるかと思われる。しっかり働いています。久々の更新もしました。

なんでも、今日の東京は最高気温が30℃を超えたとか。この冬の雪の多さにもびっくりしたが、五月初旬に30℃超えというのもすごい。仙台も比較的暖かく、花をつけている桜もまだまだある。場所によっては梅の方が元気に咲いており、完全に順番が逆になってしまっているようだ。冬と夏の距離が近くなり、間に挟まれた春が混乱しているように思えるのは自分だけだろうか。

昨日、自宅近くの森に出かけてみた。歩道などは簡単に整備されているのだが、森と言うより山と言ったほうが正しいような急勾配があり、ランニング途中のトレーニングに組み込んでいる。周りの木々の枝ぶりや葉の形などを見ながら歩いていると、前方に白い花の固まりが見えてきた。歩道の脇に、まるでツツジの植え込みののうように丸く固まっている。遠めで見ると桜の花のように見えるのだが、足元の位置で桜が咲くわけがない。一体なんだろうと近付いていくと・・・やっぱり桜だった。台風か何かに煽られたのか、根元に大きな穴を開けて横倒しにされ、いくつかの枝は隣の木によって折り裂けられていた。根元の土の乾き具合や草の生え方を見ると、ここ数ヶ月ということはなさそうだ。それでも、見事に白い花を咲かせていた。幹からは青々とした新芽が生えている。

幹をなで、枝をつまみ、言葉も出ないまましばらくそこに座って時間を過ごした。自宅から徒歩で30分程度。今年のゴールデンウィークは、これで十分である。(小)


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