本の森通信 7月号

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7月14日(金)
今日は暑かった。昨日から暑くなるとわかっていたので、朝から「暑い一日を過ごすぞ」と気合いを入れた。通勤ファッションは、ジョギングシューズ・サッカー用のハーフパンツ・ジョギング用の新素材ウェア・スポーツグラスを選び、頭にはタオルを巻いて家を出た。こういう格好をすると、歩き方も自然とウォーキングのようになる。どうせ汗をかくならサラリとした汗をかこうと「これは通勤であり、トレーニングでもある」と割り切って足を速めた。編集部に到着すると、新素材シャツが汗まみれになっていた。

シャツを着替えて、メールチェックや原稿の整理。すると間もなく印刷会社さんが本を納品しに来てくれた。編集部に入るなり、「あれ、冷房は・・・」。そうなのだ。小社編集部には冷房がない。三年前に壊れて以来、毎年夏は自然の風と扇風機に涼を頼っている状態にある。地球にも身体にもやさしいと言えるが、来客にやさしいかと言うと疑問だ。シャツを替えて納品された商品を自転車につけ、炎天下の中を取次店へ納品に行く。「こんな格好でごめんなさい」と言いながら、ハーフパンツで納品。「クールビズなんて言うなら、思い切ってそういう格好を奨励すればいいのにね」と、皮肉とも慰めともとれる言葉をもらいながら、ついでに文庫本を三冊買って帰社する。ここで三回目のシャツ交換。

午後に急な来客があることになり、代表と二人で部屋の掃除を始める。冷房がないぶん、せめて部屋の見た目くらいスッキリさせていなくては申し訳ない。気づいてみればまた二人とも汗だくで、掃除機の温風も感じないほど感覚が麻痺してきている。せっかくの来客なのに、ハーフパンツにTシャツはまずい。こういうこともあろうかと、カバンに薄手のズボンと一応襟のあるポロシャツを入れてきておいた。今日四枚目のシャツを急いで着る。今月末刊行の新刊について、いろいろなお話をする。本の内容はもちろん、著者の気持ちやこれまでの経緯にまで興味を持っていただき、様々な視点から一冊の新刊を語ることが出来た。帰り際には「長居してしまい・・・」と言われたが、暑い中で二時間ほどもお付き合いいただき、かえってこちらが恐縮してしまった。

この通信を書きながら、また汗が流れてきている。今日の帰宅用に持って来たランニング用のシャツに着替え、いまキーボードを打っている。あとしばらくすれば、五枚目のシャツを着てまた帰宅兼トレーニングだ。明日からの三連休は予定が少なく、数ヶ月ぶりにゆっくり時間が使えそうである。あいにくの雨だというが、取次店で買った文庫本三冊、全部読んでしまおう。(小)
7月13日(木)
新刊のお知らせで書店を廻っていると、いろいろな世間話をする機会に恵まれる。書店員さんとの会話には、意外な情報や驚きのネタが含まれていたりして本当に面白い。その中心は、話題にはなっていないが爆発的に売れている本、俗に言われるベストセラー本の本当の購買層など、現場ならではのお話だ。そういう話は楽しくて信憑性もあるので、この欄でも度々取り上げてきた。

一方、書店廻りをしていて書店員さんから一番訊かれることというと・・・。おそらく他店の客入りや繁盛ぶり、商品構成だろうと思う。「ウチの前に、どこを廻ってきたんですか?」などと始まり、「どうですか、お客さん入ってました?」「新刊の平積みは何でしたか?」などと訊ねられる。なるべく正直な印象を話しているのだが、「うーん、平日の午前中ですから、あんまり・・・」「こちらと同じ本でしたよ。やっぱり●●の人気はまだ続くんじゃないですか」などと話すと、相手はホッとした顔になるものである。書店員さんの日常は本当に忙しく、他の書店を見に外へ出る機会などほとんどないと思われる。かといって、書店に勤めているのに休日に他の書店の様子を見に行くというのも、熱心さは天晴れだがたいへんなことだろう。

店長クラスの方とお話しする際には、ストレートに数字が出てくることも多い。「先月は95を切っちゃったよ」「101をなんとかキープしたよ」といったものから、「来月はバーゲンがあるから前月は越えるけど、前年同月比にしたら厳しいかもな・・・」などなど。たまに「○○(店名)は先月だいぶ悪かったらしいけど、なんかテコ入れしてた?」などと訊かれることもある。店長クラスとなれば、さらに外に出て他の書店を廻る機会など限られる。店に来る出版社や取次店の担当者との会話で、あらゆる情報を仕入れようとするのだろう。

仙台の書店を廻るようになって6年余り。楽しくお話しできる書店員さんがずいぶんいる。年齢が近いことや読書傾向が似ていると、さらに世間話は盛り上がる。店長クラスの方たちにも、様々な面で助けてもらったり、貴重なアドバイスをもらったりしている。こちらからの情報提供がそのお返しになっているとは思えないが、少しでもお店に役立てられる話を持っていければなと、最近はそんなことも考えるようになってきている。(小)
7月11日(火)
昨日予告した「出来立ての新刊」については近々トップページで紹介するとして、ちょっと世間話を。いや、世間話と言うほど軽々しいことではなく、大事な仕事の一部でもあるのだが。

“メーカー”としての出版社を考える場合、その一連の仕事の最後は「納品」ということになる。この「納品」というのが意外と曲者である。大概の場合、出来上がった本の納品先(配達先)は、小社・取次店・著者の三つになる。取次店が複数あり、著者も自宅と仕事場などに分ければ、一度に5〜6ヶ所に本が届くことになる。これが一番理想的な形、あるべき納品の姿だ。ところが、そうならないことも多い。複雑な納品形態は日常茶飯事で、決してルーティンな仕事ではないのだ。
そういう際には、まず「いつどこに何冊必要なのか」を念頭に、納品を細かく刻むことになる。例えば本が出来上がる時期に著者の講演会があり、それに絶対に間に合うように・・・というリクエストがある場合は、ホテルの「催し物ご担当者様」が最も早い配達先になり、担当編集者も著者も手にする前にホテルマンが見るということもある。また、印刷スケジュールの都合によっては出来上がり予定の半分しか仕上がらず、各所それぞれに半数ずつの納品になることもある。まぁ、後者はかなり珍しいケースなので特別な例と言えるが。

前に一度経験しているのは、その日の午前中に著者の事務所(他県)に届いているべきなのに、その日のお昼近くに運送会社の仙台支店から「まだ目の前にある状態なんですが」との電話が来たという恐ろしい事態だ。青い顔をしてその運送会社の集配所まで自転車で行き、一包み抱えて慌てて高速バスに飛び乗って届けに行ったことがあった。あの時のことは忘れられない。これを機会に、必要に応じて予防線や保険をかけた納品スタイルを確立し、トラブルを未然に防ぐように努力している。

本が出来上がって一番喜ぶのは、何といっても著者である。それゆえ、一日でも、一時間でも早く届けたいと思うものだ。昔はまず出版社に早刷りが届き、それを編集者が著者に届けるなんていうことが普通だったのかもしれないが、印刷技術や配送システムの進歩で、ほぼ同時に複数ヶ所に納品するのが当たり前になっている。担当編集者としては、著者の喜ぶ顔が見たい、著者と一緒に喜びたいとの気持ちもあるのだが、「早く届けたい」を優先することにより、結局電話で「届きましたか? 出来はいかがですか」と話をして終わりというケースが多い。

でも、たまにはその醍醐味を味わってみたくもなる。今度の本の仕上がり時は、それをやろうと画策している。著者の前で包みの紙を破り、初めての一冊を取り出す。著者と一緒に、その一冊を見る。その感激を久しぶりに味わいたいのだ。(小)
7月10日(月)
かなり早めの夏休みの如く、更新を滞らせていた。今日からしっかり書いていくつもりなので、またお付き合いいただきたい。

実は先月半ば辺りから怒涛の入稿ラッシュが続いており、とにかく時間が足りなかった。おまけに先月一ヶ月間はブックフェアもやっており、外に出る回数も比較的多かった。これではこの欄の更新に充てる時間も労力もなかっただろうと、読者の皆様に思っていただけることを願うほかない。今日のタイミングで再開されたことで、「ああ、あれが終わったからか・・・」などとは思わないでほしい。

まぁ、この欄を軽視しているわけではない。ここで書くことは日々の最新のことが多いので、情報の鮮度は良い。特に小社の出版情報については、意外にも楽しみにされている方が多い。これは重要視しなければいけないことだ。

明日からはここしばらくの小社の出版状況について書いていこうと思っている。出来立ての新刊や期待に沿える近刊など、取り上げてみたい。そして時々、サッカーの話も書く。(小)

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