本の森通信 6月号

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6月25日(月)

少し古いニュースになるが、國學院大學名誉教授で口承文芸学がご専門の野村純一先生が20日に他界した。佐々木徳夫先生著の『狼の眉毛』『みやぎ昔ばなし百選』に序文をいただいた関係があり、佐々木先生を通してのお付き合いながらお慕い申し上げていた。

『みやぎ昔ばなし百選』の序文で野村先生は、わが国の昔話研究の系譜を「生活者の昔話研究」と「研究者の昔話研究」の二つの大きな流れがあるとし、この二つに大きな隔たりがあり、この点についてまったく論議がなされてこなかったという。そして「生活者の昔話研究」が時とともに袋小路に行き着いた後、それを克服し、さらに活性化させるべく果敢に挑戦したのが佐々木徳夫氏だと紹介している。「それこそが今日に至るまでに営々として築いていらした氏の仕事だった筈である」という一文は、いま読んでも身が震えるほどの興奮を覚える。もうこのような序文をいただけないかと思うと、重ね重ね残念でならない。

逝去の一報は先週木曜日の夜に知人からあり、すぐに佐々木先生にお電話をした。その日の朝には連絡があったそうで、電話口の様子はかなり憔悴されていたようだった。翌日、同じく佐々木先生の仕事を追っている別の知人とともに、お宅におじゃました。野村先生とは一緒に調査旅行をするだけでなく、互いの家を行き来し、佐々木先生の亡き奥様のご実家にまでご招待したことがあるそうだ。「よき理解者であり、ライバルのような存在でもあった」と語る佐々木先生の様子が本当に寂しそうで、見ているこちらまで目頭が熱くなった。平日の午前中ではあるが、三人で野村先生を偲んで献杯した。現在進行中の『ふるさと艶笑譚 第二集』の進行を少し止めて、佐々木先生による野村先生の追悼文をどこかに入れることにした。

「生活者の昔話研究」の道を歩む佐々木先生は、弔問からすぐに帰郷し、今日からは福島県・会津地方の山中に語り手を訪ねている。理解者でありライバルは、その佐々木先生の姿を空の上からどのように見ていらっしゃるのだろうか。そんな眼差しに守られながら、佐々木先生が素晴らしい語り手に遭遇し、珍しい一話を採集されるのではないかと、少し思っている。野村純一先生、享年72歳。心よりご冥福をお祈り申し上げます。(小)
6月19日(火)

大好評をいただいた『ふるさと艶笑譚選集 第一集 とっておきの秘話』の続編、『ふるさと艶笑譚選集 第二集』の本文入稿を終えた。装丁デザインや本トビラ絵も間もなく決定の見通しで、ちょうど仙台七夕あたりの完成が見えてきた。今回のサブタイトルは「抱腹絶倒 大人の昔話」となる予定。“大人の昔話”というフレーズは、第一集のブレイクのきっかけとなった毎日新聞記事の見出しになったもので、記事を書いてくれた記者さんへの感謝とゲン担ぎから選んだ。あの記事掲載からもう一ヶ月以上経つのだが、「五月の半ば頃の毎日新聞で見た・・・」という注文電話が今日も二件あった。第二集もこれに続いて売れて欲しい。

第一集の注文をくれたお客には、第二集の刊行をお知らせする葉書を出すつもりである。これまでも、一度佐々木先生の著作を買ってくれたお客には新作が出るたびに葉書を出しており、「顧客リスト」とも言えるものがPCの中にある。しかし、第一集のブレイクのおかげで既存のリストに大幅な書き足しが必要になった。とても二日・三日では終わらない量なので、昨日から少しずつ作業をはじめた。住所・氏名をコピー&ペーストし、郵便番号を調べて添える。単純な作業といえばその通りなのだが、この場所にあの本が届き、この人があの本を読んでくれたんだと思うと、なんだか感慨深くなる。第二集も、また多くの方に手にとってもらえれば・・・。

昼前に「ブックスみやぎ」へ行き、昨日の河北新報について報告。知り合いの記者さんが、同店で開催中の「本の森全点フェア」を記事で取り上げてくれたのだ。その後「ジュンク堂仙台ロフト店」へ行き、地元出版社が関係しているブックフェアを見学。久々に店長さんともゆっくり話ができ、出版のヒントをたくさんもらった。午後は、ここしばらく離れていた原稿を査読。やはり良い作品である。早く方針を立てて、著者の方に連絡しなくては。さらにメールで、以前お世話になった著者から出版相談が一件、電話でも新たな相談が一件あった。こうなってくると優先の順位があやふやになってきてしまうので、明日にでも一度整理しなくてはならない。

最近、読みたい本が多くて買ってはいるが、読む時間が少ないという悪循環に陥っている。ふと思い浮かぶだけで、部屋の机の上に読みかけの本が5冊積んである。こういうときの極意は、「これは読みたい」と思って買った本よりも先に「これは読んでおいた方がよい」と思って買った本を読み、それよりも先に「仕事上読まなくてはならない」と思って買った本を読むことだと、読書の恩師が言っていた。そうして恩師は日に三冊の本を読んでいたという。他界してもうすぐ三年になる。(小)

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