本の森通信 2008年3月号

Back Number] [Home

3月6日

四月中旬刊行予定の本の想定デザイン案があがってきた。著者が撮影した写真を大きく扱い、タイトルは奇をてらわずに分かり易い書体でシンプルに。5パターンとも、どれも良い出来だと思う。今回はデザイナーさんにお願いしたのではなく、入稿先の印刷会社さんに作っていただいた。著者との打ち合わせは来週になってしまうが、早く見ていただいてご意見を頂戴したい。いまさら言うまでもないが、装丁デザインはその本の顔や服装のようなもので、第一印象を決めてしまう重要な役割を持っている。中身については自信を持っているが、パッと見の印象がが汚らしかったりみすぼらしかったりしては、中身の良さを邪魔してしまうこともある。中身同様、装丁も少しでも良いものを作っていきたい。

午後は『ふるさと艶笑譚選集 第三集 内緒で読みたい愉快な色話』のDMを作成。これまで佐々木先生の本を直接ご注文いただいた“顧客”の皆さんに、新刊ぼ刊行をハガキでお知らせする。振り返れば、このDM作成の作業もずいぶんになる。佐々木先生の第一作『狼の眉毛 陸前・陸中の昔ばなし』の反応が良く、「他に昔話の本はないか」「次に同じような本を出す時は知らせて欲しい」等々のご要望を受け、第二作『馬方と山姥 陸前・岩代の昔ばなし』の刊行時から製作・発送を始めた。それ以来、今回で6回目となる。何度か更新はしているものの、二度続けて注文してくれたお客の名前は、リストから消えずに残る。プリントアウトしたハガキを眺めていると、“常連”のお客の名前で手が止まる。「今回も注文してもらえるかな?」「新刊を待っていてくれればいいな」と、ワクワクしながらポストに投函する。

しばらくは注文の電話やメールが続き、本の発送作業に追われるようになる。しかし、それもなかなか楽しい。新聞広告のように、広い対象に向けてドンと告知するのも有効だし、新規開拓には欠かせない宣伝活動だしかし、このDMの場合は絞り込んだ対象への「お知らせ」なので、費用対効果はずっとずっと良い。それに加え、著者と読者をつなぐ、橋渡し役をできているようで嬉しい。今回も一冊でもも多くの本が、橋の上を渡って読者の手元に届くことを願っている。(小)
3月5日

午前中は原稿の訂正作業に追われる。この原稿は来月半ばに刊行予定のもの。時間はまだあるが、納品日の縛りがあるのでスケジュール調整でも気が抜けない。訂正作業中の1〜2日の違いはさほど大きく感じないのだが、納品日直前の1〜2日の違いは大きい。それを想定して、今のうちに1〜2日のゆとりを作っておきたい。なんとかお昼前に終わらせることができ、全体の予定より2日ほど早い進行となった。しかし、夕方になって著者より「念のためもう一度確認したい」という旨のメールが届く。すぐにデータ添付でメール送信。午前中に訂正が済んでいて、そして2日の余裕から「お返事は金曜日の昼頃までお願いします」と少々ゆとりのある締め切りを設定できてよかった。スケジュールは、結果的にはプラマイゼロ。またどこかで頑張ってゆとりを持たなければ。

午後は別の原稿の査読。著者に初めてお会いして「本を書きたい」との話を聞いてからだいぶ時間がたつが、じっくりと時間をかけて書き上げられたようだ。下書きも何度か拝読させてもらっていたので、内容は頭に入っている。でも、完成原稿を前にするといつも同じ緊張感を感じる。ボリュームを問わず、一本の原稿を書き上げるには相当のパワーが必要である。これはビギナーにだけにあてはまることではなく、ベテランでも一定のレベルを保つために同様の努力が求められる。そんな努力の結晶の初見は、こちらもついつい肩に力が入るものだ。

今日の原稿は本を書くのが初めての方。でも文章の所々に上手さがあり、本を書くことには慣れていなくても、本を読むことはずっと続けてきているとの印象を受ける。タイトルのセンスも素晴らしい。もちろん、内容も独自性があるし出版の価値は十分にある。あとは直接お会いして具体的な話を詰め、双方合意となれば早速編集作業に着手する。そうなれば、こちらからのアイデアも積極的に提案していきたいと思っている。

今週は新刊書が納品される予定もある。本を作る喜びと、本を売る楽しさ。今年の冬から春にかけては、その二つを満喫できそうである。(小)
3月3日

二月はやはり「逃げ」、「去る」三月が始まった。『ふるさと艶笑譚選集 第三集 内緒で読みたい愉快な色話』がやっと完成し、先週末から関係先への献本に追われている。早くもハガキや電話で感想をくれた方もおり、その反応は概ね好評である。読者に喜んでもらえるということは、本当に嬉しいことだ。一人でも多くの方に、この一冊を手に取っていただきたい。

ところで、この「第三集」は今回の艶笑譚三部作シリーズの完結版で、著者の佐々木先生もいつも以上に力を入れて執筆されていた。打ち合わせ中も「これが最後ですから、がんばりましょうね・・・」と何度か話した記憶がある。しかし、頂戴する反応には次回作を期待するものが多い。そして先生ご本人も「あとがき」にて次回作をほのめかしている。先生がどんなお気持ちなのか、担当編集者としてもわからないが(もったいぶっている訳ではなく)、もしかしたら「第四集」または別なかたちでの艶笑譚本を刊行することになるかもしれない。その時はまた、この欄で。

現在編集担当をしている作品が一本。これは来月中旬には絶対に納品しなくてはいけないもので、ムダなくムラなく進めなくてはならない(ムリは必要っぽい)。ありがたいことに、これ以外にもいくつか出版の話がある。それらを全部進めるとなると、今年の春もフル回転することになりそうだ。もちろん、嬉しい悲鳴である。目的は何であれ、周りに「本を出したい」と考える人が多いということは、それだけ新たな本が誕生する可能性が増えるということだ。その一冊の本が様々なつながりを生むものだし、それこそ本の持つ力と言える。そのプロセスにたずさわっている幸せを感じる。

冬から春へ、三月から四月への移り変わりは何かと区切りを感じるものだが、良い本を出すという気持ちには区切りを付けず、継続させて仕事に取り組んでいきたい。(小)

ページトップ