本の森通信2008年5月号
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5月16日(金)
今日もブックフェアの話題を。来週の23日(金)から、市内青葉区八幡の「ヤマト屋書店仙台八幡店」さんで、「杜の都のブックフェア」が開催される。これは地元の出版社・団体等で作る「宮城出版人の会」のイベントとして、現在のところ6社・団体が参加して各自の刊行物を出品する。バラエティに富んだ品揃えが特徴で、手前味噌ながら好評を博していると言える企画だ。
「杜の都のブックフェア」は今回で8回目になる。振り返ってみると、意外と歴史のあるフェアになってきた。第一回は泉区の八文字屋書店さんで、在仙出版社5社共同の形式で行なった。それぞれの商品ごとにウリコミPOPをつけるなどの工夫をし、その様子は地元テレビ局のドキュメント番組でも取り上げてもらった。それ以来、場所(書店さん)を変えながら、なんとか今回まで途切れることなく続けることが出来ている。これも地元版元同士の懇意な関係と、貴重なスペースを割いて協力していただける書店さんのおかげだ。
ブックフェアに付きものなのが、前日か当日の品出し作業。これを手伝うために、出品版元も書店に集まり作業をする。大手出版社の大型フェア(夏の文庫フェアなど)となると、並べる本の点数も部数も半端じゃないのでかなりの重労働になると思うが、こちらのフェアは小規模なのでさほど手間はかからない。ワイワイ言いながら互い刊行物のことを話題にし、ちょっとした情報交換もする。これがなかなか楽しいのだ。ヤマト屋書店仙台八幡店さんには隣接するコーヒーショップがあり、昨年は作業後にみんなで楽しくお茶を飲んだ(たしか、仙台八幡店の店長さんにご馳走になってしまった)。フェア棚の良い位置を確保するための攻防もないことはない(笑)が、合同フェアなのでお互いに譲り合いながら、和やかにスペースを共有している。これで売上が上がれば、言うことなしだ。
「杜の都のブックフェア」は、来月30日まで開催している。フェア棚の片面スペースのみだが、魅力ある品揃えになることは間違いない。小社でも、仙台をテーマにした人気商品をセレクトした。期間中、ぜひ足をお運びあれ。(小)
5月15日(木)
「『仙台っこ』バックナンバーフェア」が、仙台駅ビル「エスパル」内の「ブックスみやぎ」で始まる。正式な期日は明日からなのだが、昨日納品に行ったらS店長に「明日の午後、フェアの準備しちゃうから手伝ってよ」と言われ、今日の夕方にはフライング的にフェア開催となる。
毎回思うが、ブックフェアはちょっとしたお祭りのような雰囲気がある。数日間の準備のバタバタと、品出し作業のワクワク感、そして期間中に棚に並ぶ見慣れた本たち。しかも地元版元複数で合同で開くケースがほとんどなので、他社の方々との共同作業というのも面白い。もちろん、これは書店さんの協力があってのことなので、大いに感謝しなければならないところだ。
今回のフェアの出品アイテムは、「苗字本」(鈴木常夫著)と「昔話本」(佐々木徳夫著)というフェアに強い二本柱を中心としている。しかも、それぞれ著者のサイン本だ。フェアで置くサイン本には、かなりのパワーを発揮する。たとえば佐々木徳夫先生の『みやぎ昔ばなし百選』。この本を「いつか買おう」「いつか読もう」と考えていたお客さんが、今回のフェアでサイン本を見つけたとしたら「いつか買うつもりだったけど、せっかくサイン本があるなら今買おう」ということになる。「一冊持っておきたいな」「時間があったら読みたいな」というような“やや積極的な購買意欲”を刺激するのに、サイン本は有効なのである。実際、鈴木常夫さんと佐々木徳夫さんのサイン本など、ご本人と直接会う機会でもなければ手に入らない代物だ。販売価格は同じでも、その稀少価値は高い。
このような“おまけ”的な魅力づくりは、他社でも工夫しているようだ。ミドルエイジ向けの地元雑誌「りらく」は、バックナンバーに絵葉書のおまけを一枚つけている。今回のメインである「仙台っこ」のバックナンバーも、オリジナルのしおりがつく。このようなきめ細かな読者サービスができるというのも、地元版元による地元書店でのブックフェアの強みだと言えよう。少しでもお客さんに喜んでもらえ、書店さんにも売上で恩返しが出来れば、フェアをやった甲斐があるというものだ。
「ブックスみやぎ」さんでの「『仙台っこ』バックナンバーフェア」は、来月30日までの予定。他にも上で触れた「りらく」や河北新報出版サービス、東北大学出版会の商品が並ぶ。是非期間中に足をお運びいただきたい。特に、小社のサイン本が売切れてしまう前に。(小)
5月13日(火)
昨日打診を受けたブックフェアの準備で、朝から忙しく過ごす。今回は「宮城出版人の会」の行事として行うので、会員向けの告知文書を作る。その一方で、今週末からの別のブックフェア(「仙台っこ」バックナンバーフェア 5月16日〜6月30日 ブックスみやぎ)に出品する本をセレクト。「仙台っこ」フェアに間借りするような形なので、書店さんからの希望どおり民話と苗字本を中心に地元関連の本を揃えた。そうしているうちに近場の書店さんから注文が入り、仮伝票を切って納品に行く。編集部のコピー機が壊れて使えないので、ちょっと書店さんにご迷惑をかけてしまった。帰社すると印刷会社さんから本が届いたので、昼食後にはそれを持って仙台政府刊行物サービスセンターへ。その足で地元版元2社を廻りブックフェアの打ち合わせをし、ブックスみやぎへ行って今週の納品日を確認(美味しいレモンティーをご馳走になった)。編集部に戻り12社にFAXを送信し、やっといまひと息ついたところだ。
先日のこの欄でも紹介した大崎市立田尻中学校二年のKさんとHさんから、感謝状が届いた。“手紙の書き方”に従って、丁寧な字で一生懸命書いてくれている。「特に印象に残っているのは、大きな本屋さんに行ったことです」というのには参ってしまった(笑)が、お土産に渡した『マイフレンドという名のクモ』と『たんぽぽわらし』の二冊の絵本も何度も読んでくれたそうで、本当に嬉しいお手紙だった。「大きな本屋さん」の書店員Sさんにも、報告しなければならない。
某書店の店頭に積んであった「東京創元社解説目録 2008.1」を一部頂戴してくる。最近、ミステリーに少し興味を持っており、同社の刊行物にはその名作が多い。購入時の参考になればと持って来たのだが、開いてみるとこれが面白い。単なる「刊行物一覧」ではなく、作家別に作品がまとまっており、その冒頭には作家の顔写真と簡単な紹介文がある。この紹介文を読んでいるだけでワクワクするのだ。略歴と代表作を巧みに交ぜ、その作風の魅力を語っている。まさに初心者にはもってこいの目録だ。ちなみにその書店は、出版社が出している目録やチラシなどといったフリー印刷物(要するに、タダということ)を多くそろえている。そこに行けば、必ず一つや二つ何かを持ち帰ることが習慣になっている。読書好きであれば、そのようなものから本の情報を得るのは当たり前のことかもしれないが、意外と知らない人も多い。そんな「情報収集」を目的に書店へ行くのも、きっと面白いはずだ。(小)
5月7日(水)
午前中、県北の大崎市立田尻中学校二年のKさんとHさんが会社訪問に来てくれた。「総合的な学習」の仙台自主研修というもので、二人は訪問先に出版社を選び、小社にやって来たというわけだ。事前に手紙や電話をもらっていたので、質問事項等にはあらかじめ答えを準備しておいた。逆にこちらから「好きな本はある?」「どんなジャンルの本が好き?」「ライトノベルって、読んだりする?」と訊いてばかりで、もしかしたら少し戸惑わせてしまったかもしれない。
話を聞いてみると、二人とも編集者志望というより作家志望のようだ。すでに自分で創作作品を書き、それを人に読んでもらっているのだというからすごい。ちなみにそれを読んだ学校の先生の感想は、「ストーリーは良いが、構成に問題あり」だったそうだ。構成は書き慣れれば自然と身につくようになる。まずは物語の骨組みが書けていることに自信を持って、どんどん本を読み、どんどん作品を書き続けてほしい。一ヶ月に一冊程度という読書量も、普段の勉強や部活動の合間を縫って、少しずつ増やしてもらいたところだ。二人とも発想力はなかなかのものである(二人の著作権を守るためにここでは書けないが、設定・物語展開ともに本当に面白そうだと思った)。センスは十分にあると言えるだろう。
小社の見学を終えたあと、せっかくなので、市内の大規模書店の見学にもご案内した。いつもお世話になっている書店員のSさんをご紹介し、今度もし一人で仙台に来てその書店に行けば、Sさんが本の相談にのってくれることを約束。名刺をお土産にもらった。地元の駅前にコミック中心の小さな本屋さんはあるそうだが、普段は二駅離れた繁華街に電車やクルマで行ったときしか大きな書店には行けないという。仙台の大きな書店に“知り合い”がいるということで、二人の本の世界が広がることを期待したい。もちろん、これはSさんに感謝しなくてはならないことだ。Sさん、ありがとうございます。
最後に、二人のオススメ本を一冊ずつ。Kさんは『心霊探偵 八雲』シリーズ。Hさんは『タラ・ダンカン』シリーズを挙げてくれた。恥ずかしながら、二つとも初めて知ったものだった。書店員のSさんは当然のようにご存知だったし、その書店でも面陳していたので、二つともヒットシリーズなのだろう。こういう縁が“書縁”というもの。部屋に積んである本を読み終えたら、思い切って読んでみようか。なんだか訪問を受けた側のほうが収穫の多い一日だったかもしれない。田尻中学校二年のKさんとSさん、今日は来てくれて本当にありがとう。またいつでも遊びに来てください。その時は、自信作を持参することも忘れずに。(小)
5月1日(木)
連休の中の三日間の平日の中の中日。繁華街を歩いていると、やはりいつもの平日よりも人が多いように感じる。周りには11連休という人は一人もいないが、実は意外と多いのかもしれない。もっとも、この天気の良さも人手に大きく影響しているだろう。本当に天気に恵まれたGWになっている。青葉通・定禅寺通のケヤキの若葉も、日を増すごとに青々と色を濃くしているように見える。
昨日、久々に佐々木徳夫先生宅へおじゃました。本の進行中は毎日のように通うのだが、現在進めているものはない。それが寂しいということもあり、次回作の企画を練りに伺った。屋敷の一室、先生曰く「書斎兼居間兼食堂」に入って驚いたのは、部屋の二ヶ所に掲げられた巨大写真パネル。一枚は先生の仕事の様子を写したもので、もう一枚は亡き奥様とのものだ。2月下旬まで仙台文学館で開催されていた企画展「みやぎの昔ばなし 佐々木徳夫の仕事から」で作成・展示されたものを譲り受け、飾っているのだという(あとから知ったのだが、設営したのは展示ご担当のS学芸員さんだった。Sさん、ホントにお疲れさまでした)。「こうして飾っておくと、お客が来た時の会話の取っ掛かりになるので」と佐々木先生。このパネルが二枚あるだけで、まるでその一室が「佐々木徳夫記念館」にでもなったような威風を持った。もっとも、佐々木先生のお仕事は東北各地の民家と、ご自宅のあの一室から生まれたものだ。居間がそのまま記念館になる仕事。あらためてその足跡の大きさを感じた。
ひと通りの話をした後に、「遠野物語研究第11号」(遠野物語研究所)を一部頂戴する。前述の文学館企画展開催中に、東京学芸大学教授で遠野市立博物館図書館長の石井正己先生が来館し、佐々木先生と対談をされた。その様子が「昔話を訪ねた半世紀 遠野昔話発掘の軌跡」と題されて掲載されていた。読んでみて感じるのは、実にスイングしている対談だったと言うことだ。石井先生のお力によるものだが、佐々木先生が乗って話されていることがよくわかる。おそらく、このような話題で会話を楽しむ機会は稀で、的を射た質問と相槌が石井先生から出ていたのではないかと思う。もちろん、編集のうまさも感じる。滞りのない構成なので、どんどん読み進めることができる。将来対談集を担当することになったら、ぜひお手本にしたいと心から思った。
かつて、佐々木先生とGWの話をしたことがあった。先生が現役(高校の教員)だったころは、今ほど長い連休ではなかったという。それでも、この時季は本当に楽しみにしていたらしい。それは、集中して昔話採集が出来たからだ。暑くなく寒くなく、農村を戸毎に歩いて廻るには最高の季節だったと振り返っていらした。今から三十年、四十年前、田植の準備を始めるころの東北の農村に、昔話を訪ね歩く佐々木先生の姿があった。そう考えると、明後日からの四連休に何らかのことを自分に課さねばと、妙に奮い立つ思いが体の奥から込み上げてきた。(小)
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