
いんさいど世界(10)
LED 光革命の時代
東京地裁の裁判官がついにやってくれました。研究者たちを励ます、正義の味方的な判決を出してくれた。青色LED訴訟、勝訴判決。開発者の中村修二さんに、604億円もの「相当の対価」支払いを命じる、画期的な判決が出ました。
「創造技術立国」でしか、世界大競争の時代を生き残れない日本にとっては、朗報ですね。この判決が出なければ、優秀な「頭脳」の海外脱出に歯止めがかからないところでした。これで子どもたちの「理科離れ」にもブレーキがかかるのではないでしょうか。そこできょうは、中村修二さん(現・米カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授)の勝訴でいっきに有名になったLED、発光ダイオードの話題を紹介したいと思います。
LEDって英語のLight Emitting Diode、つまり光を発するダイオード、半導体ってことですが、このLEDを使った照明に、いま世界の注目が集まっています。照明というと、電球とか蛍光灯になりますが、LED照明というが普及し始めているんですね。
ニューヨーク・タイムズの記事によると、イギリスのロンドンで、室内照明を全部、LED化したマンションがデビューしたそうです。マルセル・ジャン・ボスっていうインテリア・デザイナーが設計したマンションなんですが、LED照明器具が360個、設置されているそうです。キッチンのLED照明には、調理などシチュエーションに応じて、光の色を変えることのできる仕掛けがついているそう。蝋燭型のLED照明や、寝室のスポットライト型照明など、シャワー室からなにから、家中の照明はすべてLED化されているんだそうです。この電気代が、100ワットの電球、4個分。どうしてこんなに安いかというと、LEDって電流を熱に逃がさず、ほぼ100%、光に変換してしまうからです。こういうLED照明がどんどん普及しはじめている。
たとえばアメリカのある通販サイトを売られているLEDバルブ(電球)をみると、1ワットのミニサイズから、60ワットの電球型まで、いろんな種類が用意されている。室内用に限らず、LEDを使った懐中電灯から、照明型のキーホルダー、ペンライトまで、売られています。アメリカでは室内照明に電力の2割が消費されており、今後LED化が進めば、電力危機が回避できると、そういうところからもLED照明に対する関心が高まっているそうです。問題はお値段。まだ高いんですね。さっきの60ワットLED電球でも、日本円で3万5千円もするんですから。ちなみに、ペンライトは2000円。これは安いかも・・・・・・。ただ、LEDは耐久性すぐれているので、電気代を考える、長い目ではチョーお買い得になるんだそうです。
宮城県でのLED照明の普及ぐあい、どうなんでしょうか? いずれにせよ、近い将来、LED照明を売り物にしたマンションなんか、売りに出されるかも知れませんね。ところで、このLED、中村修二さんにばかり世間の目は向いていますが、青・赤・黄色の三原色のうち、青は中村さんでしたが、赤と黄色は、われらがミスター半導体、東北大学元学長の西沢潤一先生の発明なんですね。西沢先生って、「光通信」を発明しただけじゃないんです。すごい人ですね。これって前にもこのコーナーでお話したことがあるんですが、中村修二さんが西沢潤一先生のもとへ、徳島から出向いて仁義を切ったことがあるんです。青色LEDの開発に成功したときのことです。仙台まで来て、中村さんが尊敬する西沢先生に開発成功を報告した。そのときのことなんですが、中村修二さん、西沢先生と面会する段になって、色紙を書いてもらいたくなった。何も用意してこなかったので、持参したカレンダーの裏側に、ひとこと書いてもらったんだそうです。それが中村修二さんの宝物になっているらしい。で、西沢先生はなんて書いたか? 西沢ファンならおわかりですね。そう、その通り、「愚直一徹」です。
「愚直一徹」がもたらした中村さん、西沢先生のLED開発。先日の東京地裁判決のいうとおり、日本も、そういう愚直さ、一徹さが報われる社会になってほしいものですね。(2004・2・5)