
いんさいど世界(28)
ここ掘れ、チューチュー 地雷マウス、デビュー間近
母なる大地を、無残な大地に変えてしまう、地中のミニ爆弾。全世界にまだ、1億発も埋められているのだそうです。すべて、「戦争の世紀」だった20世紀の遺産ですね。わたしたち人類は、愚かな遺産を抱えて、21世紀を迎えたわけです。
内戦の嵐が吹き荒れたアフリカは、そんな地雷の“宝庫” です。まるで“天然資源”のように、あちこちに「埋蔵」されている。内戦が終わって、平和な農耕の日々が戻ったといっても、どこに地雷が埋まっているかわからないから、畑にも出ることができない。無理して出て、地雷を踏んだら、脚を吹き飛ばされてしまうからです。金属探知機や、地雷探知犬を使った除去作業も続いていますが、遅々として進んでいないのが現状だそうです。金属探知機による地雷探しは、地雷と釘を混同したり、効率的ではなく、地雷犬としてシェパードを使うにも、金がかかりすぎて大変。
そんな手詰まりに終止符を打つ、救世主が現れました。今のところ、救世主・候補生といった段階ですが、将来性十分な期待の星が登場しました。地球の上からすべての地雷を取り除いてくれる救世主。
それがなんと、ネズミなんです。そう、地雷マウス……。
これまでは地雷探知動物といえば、犬のシャパードがスターだったんですが、これからは地雷犬に代わって地雷マウスが大活躍する時代になりそうです。犬よりもネズミが使える……マウスをスカウトしたのは、ベルギーのアントワープ大学のチームです。なぜシャパードよりもマウスかというと、ネズミの方が過酷な気候条件に耐えて仕事をしてくれる、ということがまず一つ。二つ目は、シェパードだと体重があるので、地雷を踏んで爆死してしまう可能性が高い。けれど、マウスは体重が軽いですから、地雷を爆発させる危険が少ない。三つ目は・・・これがいちばんのポイントらしいんですが、シェパードだと、すぐ飽きて来るんだそうです。いくら訓練していても、なんどか地雷を嗅ぎ分けると、「オイラ、もぅいいよ。もうたくさんだ」って顔をするんだそうですね。で、いやいや、捜索するものだから、地雷を踏んだりしちゃう。この点、マウスは違うんです。TNT火薬の臭い=バナナ(あるいはピーナッツ)ということさえ覚えさせれば、それこそ、元気いっぱい、一生懸命、働いてくれる。イヌのように、飼い主をコ馬鹿にしたりしないっていいうんです。
アントワープ大学のチームが現在、ベルギー政府の援助で地雷マウスを訓練しているのは、アフリカ南部のモザンビークです。訓練を受けているのは、ガンビア・ジャイアント・ポーチ・ラットという、アフリカ原産の大型のネズミ。体長は50センチ以上、大きなものだと90センチにもなるんだそうです。でも体重は1〜3キロ。写真でみると、まるでリスのような、かわいいネズミです。その地雷ネズミが地雷を見つけると、「ここ掘れ、チューチュー」とばかりに、地面を前足で引っかいて合図する。合図を受け取った人間が場所を確認したら、バナナのご褒美にありつけるわけです。いまのところ、信管を抜いた地雷で訓練していますが、年内には実際の現場に出て、地雷探知をするそうです。うまくいくといいですね。なにしろ、ネズミはネズミ算で増えますから、全世界1億個の地雷完全撤去も夢ではなくなるわけです。そうなると、どうなるかよくわかりませんが、いずれ日本のドブネズミたちにも出番が回ってくるかも……。
アントワープ大学チームを支援しているベルギー政府のように、日本政府もこんなところで国際貢献すればいいのに、と言いたくもなります。 (2004・7・15)