いんさいど世界
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いんさいど世界(34)
イスラエル・コネクションを摘発 国防総省内のモール(もぐら)の存在、明るみに


ことしも「9・11」が近づいて来ました。同時多発テロが引き起こした「イラク戦争」は泥沼化し、21世紀は「テロと戦争の世紀」になってしまいそうな雲行きです。世界はこれからどうなって行くのでしょう? 「暴力のさらなるエスカレーション」はこのまま続いていくのか? それとも「より平和な世界」へと反転するのか?

超強硬路線を突っ走って来たブッシュ政権内の中枢で、どうやらいま、権力闘争が戦われているようです。イスラエルのタカ派、シャロン政権と共闘して「イラク戦争」を仕掛けたネオコンに対し、これ以上の「暴走」を懸念する側=穏健派が抑え込みにかかっている。そんな状況が生まれているらしい。ようやく出てきた「ネオコンつぶし」の動き……これは世界の平和にとって、曙光といってよい事態でしょう。希望の光が、かすかに見えて来た、というところです。
具体的にどういうことかというと、軍事の中枢である米国防総省(ペンタゴン)の中級幹部が、イランに関する機密をイスラエル政府に流した疑惑が発覚しました。FBI(連邦捜査局)が捜査に乗り出している。つまり、「イスラエル・コネクション」に捜査の手が及んだわけです。

FBIの取り調べを受けているのは、ペンタゴンの政策局に属する、ラリー・フランクリンという中級幹部です。イランに関する米政府の機密を、ユダヤ人の在米ロビー団体であるAIPACを通じ、イスラエル政府当局に流していた容疑で、FBIはワシントンのAIPAC本部からパソコンのデータなどを押収し、捜査を続けています。このラリー・フランクリンという人物、実はネオコンの一員で、彼は属するペンタゴン政策局というところは、ブッシュ政権内のネオコン指導者、ダグラス・ファイク国防次官の統括する部局です。このファイクという人、同じネオコンのボス、ウォロウィッツ国防副長官と組んで、イラクのWMD(大量破壊兵器)保有疑惑をフレームアップしたことで有名な人物。そういうネオコンの牙城、本丸に捜査のメスが入ったわけです。

しかし、「ネオコン」の牙城は、彼らとともに「イラク戦争」に突き進んだブッシュ大統領にとっても、権力の牙城であるわけです。そういう体制の中枢を、FBIとしていまどうして捜査し始めたか?

それはアメリカの権力中枢――とくに情報当局者のなかに、ネオコンの暴走を懸念する声が高まっているから、との見方が有力です。イスラエルのシャロン政権の戦略に呼応するかたちで、「9・11」とサダム・フセインを無理やり関連付けて、かんたんに片付くはずの「イラク戦争」にアメリカを引きずり込んだばかりか、こんどはイランの核施設を攻撃しようとしている。彼らを野放しにしていたら、世界はますます大混乱に陥ってしまう……そんな危機意識を持つブッシュ政権内の穏健派が、ネオコンの抑えこみにかかった、との観測です。大統領選前の10月に、イラン核施設への空爆を狙っていた、ネオコン=イスラエル強硬派に対する、先制パンチですね。このペンタゴン内イスラエル・コネクションの発覚で、当面、アメリカのイラン攻撃はなくなりました。イスラエルの単独攻撃ということはあるかも知れませんが、アメリカが踏みとどまってイラク戦争の「大中東戦争」へのエスカレーションが食い止められたことは、大きいですね。喜ばしいことです。

ところで、FBIによるイスラエル・コネクション捜査の行方ですが、ブッシュ大統領とその側近にすれば、政権の命取りになるかも知れないことなので、火消しに躍起になっているのが現状のようです。ブッシュ大統領の右腕のアッシュクロフト司法長官が捜査に圧力をかけ、AIPACメンバーの逮捕を見送ったんではないか、という報道さえ出ています。しかし、明るみに出てしまった以上、完全なもみ消しは無理でしょう。場合によっては、「ジョナサン・ポラード事件」を上回る大スキャンダルに発展しかねません。ポラード事件というのは1986年に発覚した、イスラエル・コネクションのスパイ事件で、アメリカの海軍将校のポラードが米軍の機密軍事・諜報活動情報を数万ページにもわたってイスラエル当局に手渡し、それが旧ソ連に渡って、多数の米国のエージェントが摘発、処刑されたというスキャンダルです。今回の事件では、ラリー・フランクリンがイラン関係の機密だけでなく、パレスチナ=イスラエル問題に関する機密も流れたのではないか、という疑惑が出ています。さらにはあの、「イラン・コントラ事件」の黒幕とされるイラン人武器ブローカー、ゴルバニファール(在パリ)の暗躍もささやかれている。

事件の今後の展開が注目されます。 (2004・9・7)

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