木村佳子さんのマネーエッセイ
                                  
(2004年7月19日UP

日本人劣化の検証
サル化が進む日本人の現状レポート

最近、行儀の悪い人が非常に多くなったように思います。これはオジサンも女の子も年齢に関係なくです。私は大学教授が書かれた「ケータイを持ったサル」という本のタイトルを知った時、思わず「うまいっ!」と感服しました。ここでは私が日々、遭遇するサル化が進む人間の生態をレポートします。どうして日本人はこうなったのか、どうして自分はそういう事態を嘆かわしく思うのか、こうした事態は日本経済にどういう影響を及ぼすのかなどのテーマにアプローチしていく手かがりになればと思います。

@ 電車の出入り口に平気で突っ立っている人。いい年をした大人がボサーッと漫画を読んでドア中央に突っ立っているとホントに困ります。乗り降りする人が迷惑だと誰かに教わったことはないのでしょうか? 乳母車を押している人、足の不自由な人などは特に出入り口を大きく開けてもらいたいと思うはずです。

A 電車の中での携帯。いい年をしたおじさん、おばさんがマナーモードにもせず平気で受信して、なかなが喋っているのですから若い人に注意できませんよね。特に地方から東京にお出ましになっているおじさん族。京急羽田線の車内などで「いま品川に向かってるでよぉ」とか大きな声で、仲間うちと思われる方と喋っておられます。「注意しよっかなー」と思うけど、「せっかく東京に出てきて注意されたら、気の毒かなー」と思ってつい遠慮しちゃいます。他の乗客も「るっせーなぁ。いい加減にしろよ」なんて思いながら私と同じように黙ってる。

B 電車の中で平気でモノ食う人々。おばあさん、お爺さん、オジサン、若い女性、男性…。何人も見ましたねえ。おばあさんはカステラをごそごそ手元のナイロン袋からちぎって食らってた。お爺さんはピーナツ菓子だったかなあ。割と身なりのいい人だったけど。会社勤め風の若い女性はから揚げの惣菜みたいなのを夜の小田急線で。別の日には地下鉄車内でキレイなおねえさん風がゴディバのチョコを連続ワザで。別の日には袋片手持ちで「止められない、とまらない」状態で若い化粧濃い女性がスナック菓子を。若い男性は缶ジュース片手に柿ピー。ネクタイ姿の若者はファーストフード。外国人男性はハンバーガ―。ここ迄、目撃すると「別に車内で何食ってもいいじゃん」と思えてきますが、実感としてそういうことをしている人ってサルに見えてきちゃうんだなあ。匂いやガサゴソ音、咀嚼音が他人にはノイズであることがわからない点や「食べたい」欲望がTPOに見合った行動より優先してしまうという点で。「公的な場所ではこうあろう」という考えすらない点でも。

C 車内で化粧している女。人の化粧している時の顔って他人からはバカにしか見えないんだけど。それを本人は全く意識しない。誰もがサルと一緒に電車に乗っているのを好むわけじゃない。後ろ向いてやってくれればまだしもバカ面をもろにさらされてもなぁ。ところで「男が公的な場所で髭剃りしている姿はまだ目撃したことはないな」と思っていましたが先日、霞ヶ関でヒゲを剃りながら歩いているお役人風の中高年男性を見かけました。オー!ついに霞ヶ関にも!

D 咳をする時、ハンカチ等で口を抑えない。これも多いです。きれいなおねえさんも若い男もオジサン、オバサンも。その咳で周辺にばい菌が飛び散っているんだってば。口を押さえて欲しいよなあ。きっとハンカチなんか、持ってないんでしょう。そういえば品のよさそうなご婦人も若い学生風の女の子も、トイレで手を洗ったあと、濡れた手をふって誤魔化したり、髪の毛をかきあげたりして水気を切ってた。濡れたハンカチをバックやポケットにしまいたくないという気持ちは分かるけど、ねえ?

E 鼻くそをほじる人。これはさすがに圧倒的に男。漫画や本を読みながら癖なんでしょうか。ずーっとほじりっぱなし。「その手をおい、座席なんかに置くなよ。御願いだから」「鼻が獅子鼻になっちゃうよ。もうそろそろ止めといたら?」 ほとんど放し飼いのサル状態でお宅って社会性ゼロじゃん? 鼻ほじりが気持ち良すぎるのか時に放心していたりして。その姿も野性のサルだよな。「気持ち悪いよ。あんたみたいなのが背広着て電車乗っていること自体。早くそういうあんたを育てたママザルのところへ帰りなよ」なんて思いながら電車を降りたら、たまたま向かいに座っていた外国人男性も降り立つところで、ホームにて「これが言わずにおられようか」という勢いで「あいつ、絶対頭おかしいよなぁ」とお互いに大いに意見が一致したことがありました。

F 頭をしきりと掻いた手でコンビニの食品のバーコードを読み取りをするために商品をつかむレジ担当の青年。フケを掻いた手で触られたカップのアイスクリームなんて食べたくないよ。

こうした数々の行為が他者にとって嫌なことだと分からない人間はバカではないだろうか?バカって金持ちになれるのかな? バカの多い国って経済的に発展するのかな? そんなことを考えます。少なくともフケ掻き青年がレジにいるコンビには客が減る。経済効果は上がりませんよね。

昔は日本にちょっとしかいなかったはずの行儀悪い人やだらしない系、不潔、非衛生的な人たちの数が今や100匹のサル(100匹を超えると一気に増えるというような例え)状態で増加しています。しかし、「あんた、何やってんの?」とお腹立ちモードでこういう人に対するのは考えモノ。数が多いだけに疲れます。サルと道で遭遇したとき、私たちはどうするか? 「あ、サルだ」と 認知し、ある人はピーナツでもくれてやり、ある人は遠巻きにして近寄らず…と、そんなふうに対処するのではないでしょうか。ちゃんとした服装をしているから、あるいは落ち着いた年齢層だから、良識も備わっているはずと思い込むのは危険で、日本人サル化は油断していると「みんな行儀悪くしているから、ま、いっか」という具合に自分にまで及んできそうです。
「こういうことって行儀が悪いこと=他の人の迷惑になっている行為」と知っている人は自らサル化防止に努め、周辺のサル予備軍にも「あんたはどっちがいいの?」とよい手本を示しましょう。それがきっとワクチン効果をもたらし、多少ともストップ・ザ・サル化に寄与するものと思います。

(書き下ろし 2004年・7月 木村佳子)

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