| 1月31日 『マークスの山』(文庫版 上・下) 村 薫 (再読) |
棒状の鈍器を使った連続殺人事件が起こった。
被害者は、元ヤクザと法務省の検事。
合田主任をはじめ、警視庁捜査1課7係の面々の
必死の捜査にもかかわらず
犯人はおろか、凶器の特定さえ難しかった。
殺人者は、「マークス」。
精神に「暗い山」を抱えるこの若者は、
16年前に南アルプスで起こった事件について、
ある秘密を握っていた。
僅かな手がかりから「マークス」に辿り着いた合田。
追い詰められて、犯行を重ねる「マークス」。
「マークス」が手にする“秘密”とは?
そして、合田は「マークス」を捕えることが出来るのか・・・?
村さんの作品を初めて読んだのが、
この「マークスの山」(ハードカバー版)でした。
そして、男の子が生まれたら“雄一郎”と名づけたいと思うほど、
すっかり惚れてしまった合田刑事に出逢ったのが、
やはりこの作品でした。
何年ぶりかで読む「マークスの山」。
仲間さえも敵視して手の内を明かさず、
執念深い捜査と駆け引きと、一瞬のひらめきと、
先を争うように犯人を追う刑事たち。
犯罪を犯すのは、自分なのか、自分の中にいる誰かなのか。
朦朧とした狂気の中にいて、
何かに導かれるように犯行を重ねる裕之(マークス)。
硬質で、丁寧に描かれた文章に、
胸苦しさを覚えるほど引き付けられ、一気に読み終えました。
けれども、読み終えて違和感が残ったのも確かでした。
この後「照柿」「レディジョーカー」と、
年を重ねた合田さんを読んでしまったので、
彼に関しては仕方ないかなぁと言う気もしますが、
裕之は、こんなにも哀れだったでしょうか?
大筋は変わっていないとは思うのですが、
かなりの部分改稿されているようなので、
これはやはり、元の「マークス」ももう一度読みたい、
そんな気がしています。
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| 1月24日 『緋色の囁き』 綾辻 行人 (再読) |
ある日突然、両親が実の親ではないと知らされた冴子は、
叔母に引き取られ、
叔母が校長を務める全寮制の聖真女学園に転校した。
厳しい校則、“お嬢様ごっこ”をしているようなクラスメイトたち。
間もなく、同室の恵が焼死体で発見される。
「私は魔女だから」という謎の言葉を残して。
果たして彼女は自殺なのか、殺されたのか?
そして“魔女”が意味するものは・・・?
続いてルームメイトになった千秋が刺殺される。
生理のたびに血の悪夢に悩む冴子は、
自分が殺人者なのでは・・・という不安を持つのだが・・・
苦手な囁きシリーズとはいえ、この“緋色”は4度目くらいでしょうか。
今回は『最後の記憶』を読んで間もないからか、
綾辻ワールドにすんなり入り込め、
それほど苦手感も感じることなく読み終えることが出来ました。
そればかりか、この作品が持つ、
“優雅さ”がとても好印象で・・・
もしかしたら、思ったほど苦手ではないのかもしれないです(苦笑)
さすがに大体の筋書きは覚えているのですが、
それでも叙述トリック部分も、冴子の心理描写も、
ついつい引き込まれてしまう、危うさと美しさを持っています。
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| 1月22日 『綾辻行人 ミステリ作家徹底解剖』 スニーカー・ミステリ倶楽部編 |
綾辻行人さんのデビュー15周年を記念して作られた、
本人監修の、“解剖本”。
普段、ほとんどこういう本には興味がないんですが、
さすがにこれは面白かったです。
内容としては、全仕事リスト
V6岡田くん、飯田譲治さんとの対談、
各方面21人の方々からの寄稿文や、
関わった編集の方々のアンケート、
綾辻さんの歴史(苦笑)などなど。
特に綾辻さんと小野さんの出会った頃の話には、
感動して泣いてしまったり。
また宮部さんと同年同月同日の生まれだという話には、
ものすごく驚きました。
運命とか、○○の星の下に生まれた・・・とか、
そういうのを信じたくなりますよね。
読んでいるうちに、なぜか、
どちらかというと苦手だった“囁き”シリーズが非常に読みたくなり、
早速『緋色』から読み始めているところです。
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| 1月18日 『ロミオとロミオは永遠に』 恩田 陸 |
近未来。
日本人だけが地球に残り,世界中で垂れ流された
有害物質や産業廃棄物,核廃棄物を処理している。
しかし,作業は遅々として進まず,
人々は厳しく制限された生活を送っている。
そんな世界で,指導的立場のエリートになるには,
「大東京学園」の卒業総代になるのが近道なのだ。
全国から膨大な人数がエントリーする厳しい入試を突破し,
「大東京学園」に入学したアキラとシゲルが目にしたのは,
想像を絶する世界だった。
隅々まで監視され,制限された生活,
卒業総代目指しての命がけの実力テスト,そして,
地下に広がる,怪しげな世界。
次第に彼等は,この学園に疑問を抱き始めるのだが・・・
と,こう書くと,いかにも暗い話のような印象ですが,
ハヤカワSFシリーズのJコレクション(ジュニア向けってこと?)の本書,
全体的にまず非常にテンションが高く,
また20世紀サブカルチャーのパロディが,
あちこちにちりばめられていて,非常に楽しめます。
設定としては「バトルロワイアル」的なのですが,
もっと雑多で,もっと弾けて,もっと明るい感じ。
時々,パロディの渦の中に,
ドキッとする指摘が隠れていたりもするんですけどね。
恩田さんの描く少年が非常に好きな私ですが,
今回もアキラとシゲルの魅力に,すっかりやれらました。
到底無理だとは思うけれど,もしも実写で映像化するならば,
2,3年前のタッキーと翼くん・・・?
エピローグには,ちょっと“え?”という気もしましたが,
久しぶりにぜひ一度読んでみて!と人に薦めたくなる作品でした。
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| 1月15日 『ゲームの名は誘拐』 東野 圭吾 |
広告代理店に勤める佐久間が
自信を持って立てたイベントのプランが,
依頼主の副社長・葛城のひと言で,白紙に戻った。
結局,ひとりプロジェクトから外された佐久間は,
直談判に向った葛城の自宅前で,
偶然にも葛城の娘を見かける。
家出してきた,という娘を匿うことになった佐久間は,
彼女と共謀して,“誘拐ゲーム”を仕掛けたのだが・・・
恋愛もスポーツも勉強も,全てをゲームに見立て,
それを克服することに喜びを感じてきた,という佐久間。
ゲームに負けたことがない,という彼は確かに,
頭もよく,女性にももて,それを自覚している,
なんともヤなやつなのです。
この誘拐は,綿密に組立てられた計画があるわけではなく,
思いつきから始まって,佐久間のひらめきによって,
シナリオが段々に形作られていくので,
読んでいるこちらも,一緒になって考えてみたり,
佐久間の作戦に感心してみたり。
で,気づくとすんなり物語に入り込んでいる。
そうして,佐久間も,お人好しな面もあり,
またなかなかかわいげのあるヤツだと,
思えるようになってくるから不思議です。
同じ自信家でも,葛城は最後までヤなヤツでしたけど。
非常に軽いタッチで描かれた誘拐モノ。
すいすい,面白く読み進められます。
けれどもちらほらと??と思う部分があったのも確かで,
東野さんはもっと,きっちりとしたミステリを書ける人なのに,
なんで?と思ったり。
終盤の展開も,途中で予想できちゃいますものね。
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| 1月14日 『奥様はネットワーカ』 森 博嗣 |
内野智佳(HN:スージィ)は,某国立大学工学部化学工学科で,
秘書のアルバイトをしている。
キャンパス内ではこのところ,
不良の集団が学生を襲う事件が続いていたが,
ついにスージィの身近でも事件が起こった。
友人のルナが,襲われたのだ。
そしてついには,殺人事件が・・・
『ダ・ヴィンチ』に約2年間に渡って連載された作品に,
書下ろしを加えたもの。
スージィ,ルナほか,6名の主要登場人物,
それぞれの視点で描かれた短い文章が,
ぐるぐると配置され,
加えて犯人Xの視点のもの,
そして詩のようなものが挟み込まれている。
(実はこれは,ちょっと苦手だったりするのですが)
コジマケンさんのイラストがたっぷり楽しめ,
すらすら読める,“軽い読み物”といった感じですが,
最後に「うわ。そうだったのか〜」と思わせてくれるあたりは,
さすが,森作品,といえるのでしょうね。
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| 1月8日 『飛行少女』(上・下) 伊島 りすと |
広島・長崎に続き、原爆が投下された過去を持つ静岡県桜市。
救命救急医・麗火のもとに運び込まれた16歳の少女は、
腐った緑色の血液を大量に胃から排出しているにもかかわらず、
かろうじて命を取り留めた。
麗火は少女の首にある鳥の形の青い痣を、
以前どこかで見た気がして、調べ始める。
16歳前後の少年少女に突然起きる、パニック発作。
全くの他人なのに、似すぎている顔。
鳥の形の青い痣、突然血液が腐る症状。
彼らの身体に、何が起こっているのか。
そして麗火は彼らを救うことができるのか。
前作『ジュリエット』でもそうでしたが、
今回も、ところどころに多少場違いな感じがするくらい、
詳しすぎる医学的な描写があります。
医学サスペンスなのか・・・と思いきや、
物語はまったく違う方向へ進んでゆく。
(ファンタジー・ホラーということですが)
その微妙な取り合わせが
この作家さんの特徴、と言えるのかもしれませんが。。。
この物語、前半は謎が次から次へ現れて、
非常に面白く、期待が膨らむのですが、
正直、下巻は少々退屈で、結末も中途半端でした。
描きたいことはわかる気がしますが、とにかく長すぎたかな。
余談ですが、前作を読んで、伊島りすとというペンネームから、
17、18の女性作家なのだろうと思い込んでいたのですが、
プロフィールを見ると、私より年上の男性でした・・・
今回の作品の戦時下の描き方などを見ると、
なるほど・・・と思ったりするんですが。
とにかく、不思議な雰囲気を持つ作品。
作品としての完成度はともかく、
何かひきつけられるものを感じるのは確かです。
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