2月26日 『猫は聖夜に推理する−猫探偵正太郎の冒険2−』 柴田 よしき

猫探偵正太郎くんが大活躍の短編集、第2弾です。
今回は、恋愛小説あり、SFあり、
しんみりしたり、ほろりとさせられたり、
盛り沢山で、一段と楽しい内容です。
もちろん、正太郎くんの名推理も堪能できます!

2月19日 『マレー鉄道の謎』 有栖川 有栖

マレーシアのリゾート地、キャメロン・ハイランドを訪れた火村とアリス。
目張りされたトレーラーハウスの中で、
彼等はキャビネットの中から男性の遺体を発見する。
果たして、自殺なのか、殺人か。
いずれにしても、その方法は・・・?
帰国までの限られた時間の中で、彼等は事件を解決できるのか。。。

“国名シリーズ”の第6弾です。
非常にオーソドックスな印象の作品。
“本格”とはいっても、ここまで直球勝負のミステリには、
最近はなかなか出会えなかったりするので、
それだけで非常に嬉しく、かつ、楽しめました。

2月12日 『演じられた白い夜』 近藤 史恵

演出家・神内匠が企画した舞台、
本格推理劇の稽古のために、
山奥のペンションに8人の男女が集まった。

その日の練習分しか台本を渡さないことにより、
各々が役のクオリティを高める、という稽古法。
しかし、台本に初めて殺人事件が載った翌日、
被害者役の女優が、首をつって亡くなった。
彼女の死は自殺と思われたが、
数日後、またしても、
二番目の被害者役の女優が死体となって発見された。

芝居の台本をなぞるように起きる殺人事件。
果たしてその結末は・・・?

作中作(というか芝居の台本)と、実際の事件と、
この物語には二つの“吹雪の山荘”的な、
閉ざされた世界で起きる殺人事件が描かれています。
オフで集まったメンバー、という設定は多少今風ですが、
全体に特に目新しいストーリーというわけでもなく、
サクサク読めるミステリです。

ただ、それで、退屈な感じがしないのは、
登場人物たちが胸に秘めた複雑な思いが、
とても丁寧に描かれているから、でしょうか。

人を殺す、ということに関して多少安易な感じを受けますが、
読後は、じんわりと余韻の残る作品でした。

2月10日 『マークスの山』 高村 薫 (ハードカバー・再読)

文庫版を読み終えて、
いったいどれだけ改稿されたのかと気になって
再読してみた。

正直、こんなに変わっているとは・・・と、驚いたし、
なぜここまで変える必要があるのかと、
少々、腹立たしくさえあった。

核になる事件そのものを除いて、
枝葉の事件はかなり、違いがあるし、
裕之や合田、その他登場人物の人物設定というか、
人柄が、とんでもなく変わっている。
文庫版を読んで気になった、
文章自体の冗長な感じ(くどい感じ)も、
気のせい、ではなかったようだ。

もちろん、必要があって改めたのだから、
文庫版のほうが無理がなく、筋道が立っているのだが、
これはもう、いい、悪いの問題ではなく、
好き、嫌いということなので、理屈ではない。

青年らしい(こういう言い方をしてよければ、人間らしい)
部分を多く見せてくれた、哀しい殺人者、裕之。
若さゆえか、多少支離滅裂なところのある合田。
そして、合田と加納のある意味センチメンタルな関係も、
どうしてもしっくりくるのは、改稿前の本書のようだ。

2月3日 『手のひらの蝶』 小笠原 慧

血を抜く、という異様な方法による殺人事件が、
2件続けて発生した。
そんな中、新たに起きた事件現場で発見された
被害者の子ども、9歳の裕人は、
アイスピックを握り締め、
血まみれの状態で、突然痙攣発作を起こした。
少年には、母殺しの容疑がかけられていた。

裕人を担当することになった児童精神科医の伊織は、
少年の無実を信じ、真相を突き止めようとするのだったが、
徐々に明らかになってきたのは、信じられない悲劇だった・・・

どこか『天使の囀り』(貴志祐介)を髣髴とさせる、
気味の悪い物語です。
専門的な話が多少難解すぎ、わかりにくかったですが、
それにしても、とんでもないことが起こっているという、
それだけは、ひしひしと伝わってきました。
果たして、現実にこういうことが起こりうるのかどうか、
それはわかりませんが、
題材としては、非常に興味深いです。

しかし、ストーリー的には、
積み残し、読後に気になる点が非常に多く、
不完全燃焼、という感じがしますし、
救いのないエンディングは、なんとも後味が悪いです。