4月29日 『水の中のふたつの月』 乃南 アサ

亜理子と恵美と梨紗。
小学校時代の三人組が十数年振りに集まることになった。
常にスケジュールを一杯にしていないと気がすまない亜理子。
何度も何度も手を洗わずにはいられない、梨紗。
明らかな虚言を繰り返す恵美。
小学生の頃のある出来事が、
大人になった彼女たちのありふれた日常に、
深く影を落としていた。
彼女たちが隠し続けてきた秘密とは・・・?

ちょうど、その年頃の子どもを持つ親としては、
今どきの女の子はもっと冷静で大人だと思うんだけど・・・
小学校時代の出来事については、
あまりにも現実味がない気がします。
なので、確かに怖い物語ではあるのですが、
あくまでもお話の中での怖さ、という感じでしょうか。

4月22日 『マジシャン』 松岡  圭祐

目の前で金が倍になるという、
奇妙な事件を捜査する舛城は、
沙希というマジシャン志望の少女と出会う。
事件の首謀者は?犯人の目的は?
犯罪といえるのかどうか、それさえ微妙な事件。
マジシャンとしての沙希の協力を得て、
舛城は次第に真相に近づいてゆくのだが・・・

松岡作品、初体験です。
マジックのネタ、
それを使った詐欺の手口、
読んでいてナルホドナルホドと感心することばかりで、
ぐんぐん読み進められました。
また、登場人物も、魅力的で、
沙希はもちろん、
科捜研から派遣された白金、
舛城とは因縁のある詐欺師・飯倉など、
存在感があって、気になる人物ばかりです。
(白金はどうしても、
「ケイゾク」の柴田の縮小版、といった印象が強く、
なので、終始私の中では中谷美紀でした)

『千里眼のマジシャン』という作品も読んでみたいので、
まずは『千里眼』シリーズをやっつけなければ。。。

4月14日 『バッテリー X』 あさの あつこ

今回は、豪が戻ってきて、
巧とのバッテリーが、再開・・・なのですが、
豪が何を考えているのか、巧にはわからない。
そして、巧は豪の気持ちを、知りたい、と切実に思うのです。

自分ひとりの中で完結していた巧の野球が、
徐々に徐々に、姿を変えていきます。
マウンドにいたんじゃ、豪の気持ちは、
わからないのだと。
今までも充分にすごいピッチャーだった巧が、
人間的にも成長して、
さらに一回り、大きくなろうとしている。
実際、自分では制御しきれないほどに、
巧のピッチングもまた、威力を増してゆきます。

次がいよいよ、最終話。
彼らのバッテリーがどうなるのか、
そして因縁の試合の行方は・・・?
非常に楽しみです!

4月12日 『MOMENT』 本多 孝好

末期の長期入院患者の耳にだけ入る、必殺仕事人伝説。
死を間近にした患者の願い事を、
たった一つだけかなえてくれる人がその病院にはいるという。
バイトの大学生、掃除夫の神田は、
ひょんなことから、その伝説を受け継ぐことになったのだが・・・

御伽噺風の内容かと思いきや、
かなり、生々しいところのある話でした。
死を前にして、青年に願いを伝える人たち。
けれども、その胸のうちには、
言葉にしない複雑なものが渦巻いている・・・。
ただ、神田の朴訥でお人よしな人柄が、
全体を爽やかに感じさせてくれる気がしました。

感情的に成り過ぎない、さらりとした文章も、
とても好感がもてました。

4月9日 『未熟の獣』 黒崎 緑

まゆみの家の近所で、
少女がさらわれる事件が相次いだ。
一人は絞殺体となって発見され、
もう一人は無事に戻ったものの、
母親が殺害された。
そして三人目は、手首を切り取られた姿で・・・

果たしてこれらの事件は同じ犯人の仕業なのか?
三人の少女に共通点はあるのか?

マンションの隣人も、そして恋人も。
周囲の人間に疑いの気持ちを抱きつつ、
まゆみは学生時代の友人・真弓とともに、
真相を探ろうとするのだが・・・

犯罪を犯す人間も、
被害者となる人間も、
それぞれに何かしら病んだ部分を抱えている。
必死になって公園デビューを成功させようとする母親も、
両親から虐待され続けた少女も、
アイドルオタクの青年も、
程度の差こそあれ、実在しそうな人たちです。
そういうモチーフを犯罪という糸で繋ぎ合わせた、
という感触の作品。
少々、散らばりすぎ、という気もしますが、
最後の一押しが、全体をギュッと引き締めています。
とにかく、ラストが怖い。

4月2日 『天使の骨』 中山 可穂

自らが主宰する劇団を解散した後、
王子ミチルは抜け殻のようになっていた。
積み重なる疲労と喪失感の中で、
いつしか泣くことも眠ることもできなくなったミチルの前に、
ある日、ボロボロの天使が現れる。
日増しに増える天使たちが、
嘆きながらミチルの前を行進して行く・・・
絶望的な状況の中、
ひょんなことから旅に出たミチルは、
限りなく優しい異国の人々に触れ、
そして新たな出会いをするのだが・・・

中山可穂さんは、以前から気になっていた作家さんですが、
今回ようやく初挑戦、となりました。
何も知らずに選んだのが本書ですが、
これは『猫背の王子』の続編なのだそうです。
これだけを読んでも充分楽しめましたが、
今ひとつ、ミチル像がつかまえにくく、
やはり、『猫背の・・・』から読むべきだったかも。

とても読みやすい、というのが第一印象。
天使の話や彼女の恋愛癖よりも、
彼女が旅した国々のステキな風景や、出合った人々や・・・
そして何よりも、これほどまでにひとつの事に打ち込んで、
絶望して、そしてまた立ち上がって・・・という、
彼女の激しさが、熱さが、うらやましく思えました。