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◆ タバコの詰め方

タバコを詰める時、まず古新聞等を敷いてから作業をすること。タバコの葉は床や畳の上に落ちると掃除が厄介だからだ。

さて、パイプ喫煙で最も大切なことが、詰め方である。タバコが美味くなるか、まずくなるかは、詰め方でほぼ決定する。それがいかに大切なことかを話そう。

パイプを始める人には二通りある。人が喫っている“形”を見て興味を持つ人、もう一つはパイプスモーカーに喫わせてもらって“味”からはいる人だ。ほとんどの人は前者の“形”からだが、後者の“味”からはいった人は幸せだ。パイプ歴の長い人は当然喫い方も上手い。喫い方が上手ければ、タバコの美味みは最大に発揮される。そんな“味”を経験させてもらった人は、たちまちとりこになる。しかし、“形”からはいった初心者にはこれは不可能に近い。なぜならほとんどの人が自己流でタバコを詰め、そして喫うからだ。ブレークインはなし、詰め方は出鱈目。これじゃ美味いわけはない。そんなことで“形”からはいった人達は次々にギブアップしていく。そして何年か経ち、ライティングデスクの引出しの中に打ち捨てられたパイプを見つけたりする。実に悲しいことだ。けれどもパイプを持った以上、タバコの本当の美味さに出会うべきだ。シガレットの吸い殻をミニパイプで喫ってさえ美味いのだから。

タバコの詰め方には二種類ある。
ピンチメッソッド(一気詰め)とカールエーワメソッド(徐々詰め)だ。ミニパイプやスポーツパイプ、キセルなどではピンチメッソドだが、他は殆どがカールエーワメッソドだ。

一般に、火皿の大きさによって二層から四層程度に分けて詰めるのが普通だ。パイプメーカーの社長深代氏と喫煙具輸入販売会社の春山氏はその共著であるパイプ教本の中で古くから使われている表現で詰め方を説明している。

最初(最下層)は子供の力で、次(中間層)は女性の力で、最後(最上層)は男性の力で。間違ってはいないが全体の感じは伝わらない。とにかく柔らかくだ。それで尚かつ下層ほど柔らかく詰めることが大切だ。そして各層の硬さも全体に平均していなければならない。前後、或いは左右というように、硬さにバラツキがあると、燃え方に片寄りが出来、火皿を焦がすことにもなる。

タバコはメーカー出庫時に、予め決められた湿度を与えられて出荷されて来る。ユーザーがこれをその儘喫う事は、まず無い。自前のタバコジャーに移して、好みの湿度に調整してから用いるのが一般的だ。カラカラに乾燥させる者も居れば、より湿度を与えて用いる者も居る。まあこれは慣れてきたらの話だが。スモーカーの嗜好と個体差も有る事なので、自由で良いと思う。だが、タバコの乾燥具合で詰め方が大きく変わるので、注意して頂きたい。乾いたタバコは強く詰め、湿ったタバコは柔らかく詰める。これがスモーキングに於ける基本と成る事だ。乾燥したタバコは葉の形状が変化しないので、可なり強く詰めても隙間が空いていて、空気の通りが良い。この事から、葉を乾燥させて用いる人が多いのだが、余りに乾燥させると風味が損なわれる事も有るので、タバコ本来の真味に到達出来ない恐れが有る。逆に湿った葉は形状がどうにでも変化するので、強く詰め過ぎると、一切通気しなく成ってしまう。この場合は、詰め方にテクニックが必要なのだが、結論から言うと、火皿の底から上迄均一な強さで、尚かつ適当な隙間を持った詰め方が為されていなければ成らない。市販のタバコは予めブレンドされているので、葉のカッティングはまちまちで有り、正しく詰めた積もりでも煙道が詰まっている事が有る。回避策としては、最下層のみ葉を選別して詰め、煙道を確保しておく事だ。後は指先の感覚で層を平均に重ねて行くだけ。これはロングスモーキングにも繋がる事なので、留意してほしい。

パイプ・ア・ラカルト5