9月28(土) 29(日) 天候 雨時々曇り
本州の内水面での遊漁は大抵9月一杯までとなる。勿論、産卵期を保護するための措置だ。
私は例年のごとく、北海道遠征後は長野で釣りに行く気は全くなれなかったが、今シーズンも最後となれば話は別である。
目的地は、6月に千葉支部との合同合宿以来訪れる新潟県境の小渓である。昨シーズンの最後もここを訪れ尺イワナを手にした思い入れの強い川である。今回は会社の後輩の新人隊員を連れ出しての釣行だ。
午前中降り続けていた雨も、川に着く頃にはやんでいた。
他人に会うことは殆どない川なのだが、なんといつもの車止めに群馬ナンバーのサーフがあった。なんということだ。予想外の出来事に狼狽してしまう。「釣りだろうか?」車内の荷物を見る限りでは判断しかねたが、こんな場所に釣り以外で来るとは考えにくい。唯一の救いは、キャンプの装備を積んでいないと思われることだった。「今日はダメでも、明日は何とかなる」
時刻は既に4時近くになっており今更他の川に行く訳にもいかないので、畑君と2人ですぐに釣りの準備に取りかかった。久しぶりにペンドルトンのウールシャツに袖を通し、そそくさとウェイダーと履いた。
いつもどおり畑の脇を通り、急勾配の坂を降りるとその川はいつもの表情で我々を迎えてくれた。水温が低く、増水気味で、しかも先行者あり(?)ということで、殆ど期待はしていなかったが、最初のポイントで20センチほどのイワナがドライフライに顔を出してくれた。
こいつは幸先がいい。
と、この時は思ったのだが・・・。
一人で釣りに行って、自分の写真を撮るなんて通常ないから、
これは貴重なワンショット。同行の隊員に感謝。
彼は釣りは素人なので、釣り上がるペースを考えなければならない。フライフィッシングはビギナーズラックの可能性が1番低い釣りだ。私は畑君
に、「数は出ないが、ルアーだったら一発大物が狙えるぞ」と、 進言していたのだが、何としてもフライで釣ってみたいとのことだったので、それ以上は何も言わないことにした。そう、フライで最初の一匹を釣った時の感動は何物にも変え難いものだ。
但し、この日はすぐに日没でタイムアップとなった。
辺りは既に闇に包まれている。ペンシルライトの明かりだけを頼りになんとかクルマまで辿り着いた。群馬ナンバーのサーフは消えていたが、川では誰にも会わなかった。釣りじゃなかったのか?
山菜採りかな? ちょっと不思議だったが、そんなことはもうどうでも良い。
空はいつ泣き出してもおかしくない状態だ。すぐにタープを張り野営に備え、夕食の準備に取りかかった。
今日のメインディッシュは北海道産直のサンマ。
やっぱり炭火でサンマを焼くのが秋の風物詩。
ノルウェー産のシシャモ(つまりニセシシャモ)も食卓に花を添えてくれた。
明日も頑張ろう!
気が付いたら、12本も350ml缶を空けていた。明日も釣りがあるから今日はこの辺で勘弁してやろう。
頭がグラグラする。寝るとするか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
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・・・・・・・・・・・翌朝。
頭がガンガン鳴っており、目覚めたのは10時近く。彼もまだぐっすり眠っている。こりゃいかん。彼をたたき起こし、軽く朝食を取って後片付けをして、川に向かったのは12時近かった。
川岸に降り立ち僅か数メートル進むと、ボケまくった頭をシャキッとさせる光景が目の前に飛び込んできた。
30センチを優に超えるイワナが数メートル先で定位している。
「見えてる魚は釣れない」という言葉があるが、こいつもそうだろうか?
何回かドライフライをプレゼントしてみるがイワナは気付かないようだ。私は、とっさにインジケーター(浮き)を取り付けニンフをキャストすることにした。数回目のキャストの時に、なんとそいつは水面を這うインジケーターを追いかけて来たのだ。「ドライでもいける!」そう確信した私は、「チャンスだ。ドライフライを眼前に流してやれ!
奴の数メートル先でいい」すっかり興奮して指示していた。彼は一生懸命キャストするが、フライは魚のはるか手前にラインと一緒に着水するだけだ。「違う、ちょっと貸せ」
私は強引に彼のロッドを奪う。このままじゃヒットはおぼつかない。取りあえず、自分がキャストし、何とかフッキングさせてみよう。
2〜3回フォールスキャストし、奴の真正面にフライを流し込んだ。すぃーっとフライを水面に這わせてやると、奴はゆっくりとその巨体を浮上させ、一直線にフライに突進してきた。「絶対大丈夫」だ、そう思った瞬間、水面が大きく炸裂した。いつもこの瞬間は頭の中が真白になるくらいエキサイティングだ。だが、次の瞬間、フライはふわふわと空中に浮かんで、空しく手元に戻ってきたのだった。「あーっ!」と思わず声を上げたが、後の祭り。奴は悠々と深みに消えて行った。
「逃げた魚はデカイ」この時ほど、この言葉が心に重くのしかかったことはなかった・・。写真は釣り上げてから撮ればいい、と思っていた。
私は2度後悔。定位している奴のせめて写真でも撮っておけば・・・。
その後、2〜3時間釣り上がってみた。私はまたも、尺上はあると思われるイワナをヒットさせたが、足元に来る前にバラしてしまった。
それにしても、魚の活性は極端に悪い。というか、単に魚影が薄いだけなのかもしれないが・・・。
もう2人とも疲れており、いつの間にか3時を回っていたので、帰路につくことにした。結局、2日目の成果はゼロだった。
今シーズンの最後にしては、不本意な結果だが、致し方あるまい。
4月には転勤がほぼ確実な私は、来シーズンはどこで迎えることだろう。
お疲れ様。
彼は後半には大分思ったとおりキャスティングができるようになっていた。
ただ、この先、フライロッドを振ることがあるかどうか、分からないけど・・・。