「そこは交通量の多い国道沿いを流れる川なんで、携帯もつながるんだけど、イワナ、オショロコマ、ニジマスが面白いように釣れるんだ。
しかも、ゴミひとつ落ちてないし、釣り人など見たこともない」
現地ガイドである父からその話を聞いたのは昨年のことである。北海道といえど、いまどきそんな川があるのか、最初は半信半疑だった。
今流行りのフィッシング詐欺とは、こういう話ではないか、とさえ思ったが、ガイドの話である。間違いないのだろう。
今回は道東の遠征がメインであったが、まずその川に行ってみることにした。ガイドも今シーズンはその川への初釣行なので、多少緊張気味だ。
8月11日(木)
我々はその川に降り立った。川のせせらぎに混じり大型トラックやバイクのエンジン音が聞こえてくる。もちろん真横を走る国道からだ。
早速キャストを開始。ガイドはニンフ、私はドライフライで勝負だ。
ほどなくニジマスが顔を出す。北海道上陸第1号。
第2号はチビイワナ。
第3号は割と良型のオショロコマ。
なるほど、どの魚種が釣れてくるか分からないから面白い。しかも、ほぼ入れ食いの状態が続く。
北海道のニジマスには、北海道限定のサッポロクラシックビールがよく似合う(?)
とある小さなプールでの釣果。ニジマス3、オショロコマ1
ガイドと二人で思わず、「釣れすぎだな」と顔をゆるませる。
ふと気が付くと、フィッシングベストの中から機械音が聞こえる。ケータイが鳴っている。そうか、ここは圏内だったんだ。
少し興ざめしてケータイを見ると、なんと「横浜南支社」の表示、会社からである。更に愕然としてしまった。
こちらは100%会社のことなど忘れて釣りに没頭しているのに、何てセンスのない奴だ!! 思わず叫びたくなる。
それでも、緊急事態だったらいけないと思い、ケータイを手に取ろうとするが、サイフと一緒に防水バッグに入れてあり、
取り出すのに手間取っているうちに切れてしまった。「まぁ、本当に大事な用だったらまたかかってくるだろう」と思い、釣りを続けた。
僅か数10秒間の出来事であったが、非常に気分を害してしまった。
想像してみて欲しい。北海道の川で伸び伸びとロッドを振っている時に会社から電話がかかってきた時のことを。
案の定、それ以来、夏休み中に会社から電話がかかってくることはなかった。
・・・その後もマスは釣れ続く。もう二人で何十匹釣ったか分からない。
そして、
本日の大物賞。ニンフで仕留めた体高のある34cmの♀
1m位のジャンプを2度も見せ楽しませてくれた。体中からアドレナリンが溢れ出すのを実感できる瞬間だ。
少し気になったのは、尾鰭の上部が欠損していたこと。先天的なものかどうかは不明。