Everything But The Girl/Amplified Heart
ちょうど数年前の今頃、たまたまある大学の卒業式を終えた卒業生たちが校門から出て来るところに出くわし、何となく営業車の中から彼ら眺めていたときにカーラジオからこのアルバムに収録されている"We Walk The Same Line"が流れてきました。おそらく不安と希望を含んだ彼らの笑顔にこの曲が妙にしっくり来てジーンとしてしまった思い出があります。Everything But The Girlの音楽は学生時代からずっと聴き続けていて、僕の多感な時期にずっとそばにあったものなのでこの出来事は余計に印象深く、それ以降個人的に卒業ソングといえばこの曲になってしまいました。

Marco Di Marco Trio/At The Living Room
念願叶って先日ひょんな事からオリジナル盤を手にすることが出来、ジャケが見開きなんて事も初めて知り、リイシュー盤とのかなりの音質の違いに歓喜したマルコ・ジ・マルコトリオ、パリ3部作の中の最愛盤。他の2枚も良いけどトータルでの完成度の高さではこれが自分の中では1番です。モーダルなジャズワルツの"Valse"、スリリングで格好いい"Par Avion"。中でもとくに好きなのが"Dupo"です。春風で舞い落ちる桜の花びらのような刹那な美しさを表現したかのような可憐な演奏を聴くたびに胸を締め付けられてしまいます。この"Dupo"は94年発表のアルバム"Sempre"ではピアノソロで演奏されておりこちらは更に泣けてきます。

菅野光亮/冬の終りに
”冬の終りに”このレコードのご紹介(笑)。日本のジャズピアニスト菅野光亮の81年のアルバム。トリオやカルテットからピアノデュオまで曲によって様々に編成を変えバラエティに富んだ音を聞かせてくれる1枚です。菅野さんのオリジナル曲であるアルバムタイトル曲はワンホーンスタイルの美しいボッサナンバーで、春の芽吹きを感じられるような1曲。試聴の"O's Child"はゲスト参加のピアニスト大野肇さんがご子息に送った疾走感溢れるナンバーでこれまた素晴らしいです。

Marz/Love Streams
エレクトロニカの良質な作品を多くリリースしているドイツのKARAOKE KALKレーベルから2枚のアルバムをリリースしている2人組メルツの1st。個人的にこの手の音はアコースティックな音の響きを大切にしているものが好みで、このメルツはそんな自分の好みにピッタリな1枚。1曲目からいきなりニック・ドレイクのアコギをサンプリングしていたりして彼らの音楽に対する懐の深さが窺い知れます。どの曲も非常にメロディがしっかりしていて聴きやすいので、このジャンルの音楽を聴き始めるにはもってこいのアルバムだと思いますよ。

Christine Adams/Loneliness Is Always Around
個人的にフリーソウルっていうのはあまり熱心に追いかけた方では無かったのですが、アリス・クラークの"Never Did I Stop Loving You"とかグロリア・スコットの"What Am I Gonna Do"なんかのメロウな楽曲は大好きでした。そんな自分のメロウグルーヴクラシックに新たに仲間入りした1枚。あまり詳しいことは分かりませんが、おそらくシングルリリースのみの女性ソウルシンガーだと思います。切なさが込み上げるメロディに今にも泣き出しそうな悲しい歌声が堪らない最高の1曲。こんな素敵な1曲を教えてくれた稲さん&INAMIX THANKS!!

金延幸子/み空
ジャパニーズフォーク幻の名盤。ジャパニーズフォークというとイメージ的には学生集会とか四畳半であるとか、とかく暑苦しくて陰気なイメージを持ちがちですが、このアルバムはそんなイメージと対局をなすおおらかで開放的な内容の素晴らしすぎる1枚です。72年にこのアルバム1枚残して忽然と音楽シーンから消えてしまったという所なんかが、UKのヴァシュティ・バニヤンと比較される所以だと思いますが、試聴して頂くと分かるとおり、彼女の音楽が好きな方にはピッタリですよね。ちなみにプロデュースが細野晴臣さんでバック演奏がはっぴいえんどと中川イサト。間違いないです。

Bobbi Boyle & The Trio/A Day In The Life
USマイナージャズボーカルの奇跡の1枚。ピアノトリオ+ギターのカルテットスタイルのグループで演奏されるソフトロックやボサノヴァの数々。そのどれもが洗練の極みのような洒落たアレンジで演奏されていて、こんなグループが埋もれているアメリカの懐の深さを思い知らされます。5th dimentionの"Up,Up and Away"、トミーウルフの"Spring Can Really Hang Up you The Most"、そしてロジャー・ニコルス&スモールサークルオブフレンズの"Love So Fine"など、ジャズボーカルものが好きな方にはマストな1枚と言えるかも知れません。
Dawn Chorus/I'm Going Down
確か3枚のシングルを残して消えた80'sガールズポップグループのシングル盤。どのシングルもカバー曲をやっているのですが、ここではUSロックの大御所ブルース・スプリングスティーンの"I'm Going Dawn"をカバーしています。エレポップ風の安っぽいアレンジにかわいい女の子ボーカルはおおよそ本家のファンからは受け入れられないであろう世界ですが、不完全なものの美しさというマジックがここには生まれています。途中のアカペラ部分から最後までのコーラスリフレイン、切なすぎて何度聞いても胸が締め付けられます。

yoga'n'ants/Bethlehem,We are on our own
昔、今はもう存在しないシトラスというグループが好きでした。演奏があまり上手で無いインテリそして奇人音楽家(だけど基本的には紅茶好き)というよくわからない説明しか出来ないグループで実体は極めて不明確でしたがTres Bienであったことは間違いなかったです。そんなグループのメンバーであった江森さんによる新しいグループ"ヨーガンアン"のデビューアルバムです。美と狂気が同居したアパルトマンで繰り広げられる宴へようこそ。
there is the light never goes out...tonetwilight

Jean Leccia/Ca N'Arrivera Jamais
彼の手がけたサントラ盤がフレンチスキャットジャズの人気盤として有名ですが、彼のソロもなかなか良いものが多くてこのシングル盤も素晴らしい1枚になっています。試聴の"Caravan"のカヴァーはDJの方に人気がありそうですが、もう1曲いい曲が入っていて、その名も"Scouliadou Dou Bom"というスキャットを使った美しいボサノヴァ。フレンチボッサという言葉に反応してしまう方は要チェックです(笑)。他にもロシュフォール好きにはたまらないルグラン風のワルツナンバーを歌っていたり、のちにアメリカに渡ってLEXIAのあの名盤を作り上げたりと彼の素晴らしい仕事っぷりは30年先を走っていたということでしょうか。