富士山撮影暦
【1月】
天気は安定しており、終日富士山の見えている可能性はきわめて高い。空気は澄み、昼間は真っ青な澄んだ空に富士山が映え、誰が撮ってもきれいな富士山が撮れる。むしろPLフィルターのかけ過ぎに注意。星空もきれいで夜景もチャンス。しかし天気が良い反面、富士山の積雪はまだ薄く、年によってはガッカリするくらいのこともある。特に南面から西面にかけては少ない。周辺の山にも本格的な雪がまだ来る前ならば苦労せずに登頂できる。当然だが装備はしっかりすること。何回か訪れるドカ雪のあとが、忍野あたりの雪景色を撮影する狙い時。紅富士のチャンスでもある。車の場合は雪、凍結対策をしっかりと。一般道路に限れば、たいていの場合降雪の数日後には雪の影響は全くなくなる。林道、峠道などはその後通行不能になることもある。
●夜明けの富士
シルエット(完全に潰さないこと)の富士に夜明けのグラデーション。
本栖湖ではこの頃太陽が富士山頂に近づきバランスが良い。
●逆さ富士
快晴無風が要求される。朝9時頃までが良い。
山中湖ママの森展望台などが撮りやすい。
●雪景色の村
雪の積もった茅葺き屋根の民家などを狙いたい。忍野村が定番だ。
●霧氷と富士山
発生は気象条件による。霧のたった朝などはチャンス。
三ッ峠山はロケーションも良いし、登頂も楽なのでお勧め。
●ダイヤモンド富士
夜明けのダイヤモンドは朝霧高原ドクタービレッジ付近。
日没には山中湖畔でダブルダイヤモンドが見られる。
●首都圏からの富士
晴れた日からは東京からも良く富士が見える。夕暮れ時、ベイブリッジやレイン
ボーブリッジと組み合わせる富士は絶景。
【2月】
1月の下旬から2月の上旬までがもっとも寒さが厳しい時期で、精進湖、山中湖は結氷する。氷紋は毎日変わるし、降雪によっても様相を一変させるので被写体として面白い。ときどき降雪はあるものの天気は比較的安定しており、富士山が全く見えないという日はほとんど無い。目的の場所で富士山が見えない場合は雲の少ない方角目指し
て移動するとよい。下旬には春の足音が忍び寄り、昼間の富士山が少し霞むことが多くなってくる。平野部では梅の花が咲き始める。
●結氷
山中湖、精進湖で幾何学模様を描く結氷した湖面の様子を切り取る。
●雪煙舞う
強風に煽られて山頂付近の雪が舞う。迫力のある映像を望遠レンズで切りとりたい。 三ッ峠山や高座山(忍野村)など近くて高い山から撮影したほうが迫力が出る。
●ダイヤモンド富士
山中湖畔では夕暮れのダブルダイヤモンド富士が見られる。
●ムーンライト富士
冷たい月の光に冴え光る富士山と夜景を長時間露光で捉える。
御坂峠からは眼下に河口湖の夜景も取り入れられる。湖畔からの撮影も面白い。
●紅富士
朝は富士山東側の山中湖畔や、高座山、あるいは箱根方面から、夕方は西側の本栖湖や田貫湖(富士宮市)などで。
●梅と富士
岩本山公園(富士市)の梅園では白梅、紅梅を前景にした富士が撮影できる。
【3月】
富士山の見え方が明らかに変わり、特に遠望に関しては冴えがなくなる。朝は遠くからの撮影でも良いが、昼間は近づくというのが賢明。天候も安定せず富士山麓すべての地域が快晴という日はほとんどないので、山麓での撮影は雲の動きを見ながら場所を選ぶと良い。
●海越しの富士
この時期は南面の雪が十分ついているので、伊豆西海岸からも冬富士らしい富士山を撮ることが出来る。大瀬崎(沼津市)、恋人岬(土肥町)、雲見(松崎町)などが定番の撮影地。3月前半の風の強い空気の済んだ日が狙い目だ。
【4月】
「桜と富士山」を狙ってカメラマンが大移動する。斜光で写すか順光で写すかは好
みだがいずれにしろ時間が遅くなるほど富士山は急激に霞んでくることを承知して
おくべき。花の時期は年によって大きく変動する。一点狙いならば地元に問い合わせても良いが、富士山麓は、富士市の0mから富士五湖地方の1000mまで標高差があるので4月中ならばどこかに満開の桜がある。山麓では春の花が咲き乱れ、田圃にも水が入る。静岡の茶畑も鮮やかさを増す。富士山が霞んでしまったとしても、そんな山麓の風景を主体に捉えればすばらしい作品になると思う。
●桜と富士山
山麓の標高差があるので4月中楽しめる。大石寺(富士宮市)、田貫湖畔、本栖湖畔、精進湖畔、河口湖畔、山中湖畔等で。
●菜の花と富士山
菜の花畑が多いのは御殿場市、こちらは富士山の残雪も多いので写真になりやすい。。
●鯉のぼりと富士山
ゴールデンウイークの頃は、あちこちで泳いでいる。風の強い日を狙う。
朝霧高原のまかいの牧場、もちや、旧料金所前には沢山泳いである。
●ダブルダイヤモンド富士(田貫湖)
4/23頃、富士宮市の田貫湖で夜明けのダブルダイヤモンド富士。
●茶畑と富士山
4月下旬一番茶を摘む直前か、もしくは摘んでいる様子を狙いたい。清水市吉原地区や、富士市大淵、岩本などで。
【5月】
富士山周辺の山への登り頃。ミツバツツジをはじめとして春から初夏の花が咲き乱れる。しかし富士山そのものはあまり冴えないことが多い。残雪も日毎に少なくなっていく。
●新緑と富士
富士山と相対する山に登り、新緑やミツバツツジを前景に富士山を捉える。御坂山地や毛無山塊、愛鷹山などが最も富士山に近く富士山の眺めが良い。
【6月】
梅雨に入れば当然だが、そうでなくても富士山が見えない日が多い。きれいに見え
てくれた日は貴重。しかし、たとえ富士山は見えなくても、山麓の生き生きした自
然を捉えてはどうだろう。
一方、甲州や信州の山ではレンゲツツジやアヤメの季節である。富士山の姿を見ら
れる幸運を期待して出かけてみてはどうだろう。
●レンゲツツジと富士山
甘利山(韮崎市)は特に有名。
【7月】
7月1日は富士山の山開き。いよいよ夏山登山シーズンを迎える。夏は平野部は雲海の下になっていることが多く、下界では曇っているように見えて実は五合目以上は晴れているということがある。南アルプスや八ヶ岳などから雲海の上に頭をだす富士山を捉えてみるのも良い。梅雨の合間に時々、ものすごくクリアに山肌のディテールまで見せてくれることがある。また、天候の変化が激しい時ほど、おもしろい雲が発生し変化に富んだ作品が撮れる可能性が高い。悪天でも天気の回復が予測される時には出かけてみることをお勧めする。
●ラベンダーと富士
河口湖大石公園のラベンダー畑。
●夕焼けの富士山
雲の状態によっては素晴らしい夕焼けに出会えることがある。長尾峠や乙女峠(いずれも御殿場市)であれば、日が暮れた後に御殿場の夜景も撮影できる。
●雲上の富士
富士山に次ぐ高峰、南アルプス北岳から雲上の富士を狙ってはいかがか。高山植物との組み合わせも楽しめる。
【8月】
富士山がすっきりみえてくれることがすくないが、台風一過の日は大チャンス。面白い雲にも出会えるかもしれない。機会があれば出かけてみよう。下旬にはわずかに残っていた山頂部分の雪も消える。早朝荘厳な赤富士が見えるのもこのころだ。
●赤富士
霞を避ける意味で、なるべく富士に近づいて捉えたい。滝沢林道(富士吉田市)など
●光の道
ご来光を求めて、夜中登山者は山頂を目指す。その光の列を長時間露光で撮影する。 三ッ峠山など登山道を正面に見る場所で。
●ひまわりと富士
夏の代表的な花、ひまわりと富士山の組み合わせ。山中湖花の都公園などで。なお、花の都公園は毎年同じ花を植えるわけではないようなので注意。
●花火と富士(河口湖畔など)
8月5日は河口湖の湖上祭。
【9月】
急激に秋の気配が漂う。秋雨で天候は安定しないが、展望はきくようになる。甲州の山々からの遠望もよい。
●秋の花と富士山
秋の花咲く山稜からシルエットの富士山を遠望する。大菩薩峠(塩山市)などから。
●実りの秋
山麓の田圃と富士山を撮影。富士宮市や御殿場市郊外はまだ田園風景が残っている。
●コスモスと富士
コスモスと富士山をやさしい雰囲気で撮る。山中湖花の都公園、朝霧高原などで。
●夜景と富士山
長時間露光で富士山と街の夜景を捉える。櫛形林道など(増穂町)から。
【10月】
天候は安定し、富士山が見える日は多い。紅葉が五合目から次第に山麓に降りてくる。富士山の懐に深く入って一足早い秋を感じてみるのはどうだろう。紅葉前線の進み具合や鮮やかさは年により異なるので、最新情報を得ることを心がけたい。山頂付近では時々降雪を見る。
●新雪と紅葉
見事な紅葉に新雪が訪れてくれれば変化がついて最高。富士山スカイラインや富士スバルラインなど。
●黄葉の落葉松と富士
スバルライン終点付近の富士山御庭、奥庭で、風雪に歪んだ落葉松と富士山の組み合わせがみられる。
●ススキと富士
一面のススキの原っぱを前景に。逆光だと穂が輝いて美しい。朝霧高原や十里木高原など。
●湖畔の紅葉
紅葉が湖畔に降りてくるころには富士山も随分白くなってきている。河口湖畔など
【11月】
天候は安定している。富士五湖では、このころ朝霧がよくたち、絶好のモチーフとなる。日の出が遅くなり、朝焼けや日の出を撮るのに早起きの苦痛が少なくなる。この頃から早朝待機のカメラマンが増え始める。もちろん日の沈む時間も早い。太陽は低く、日中でも斜光の条件になることが多いので写真は撮りやすい。雪化粧をする日も何日かはある。このとき気象条件によってさまざまな雪の付き方をする。
●朝霧の湖
夜明け、湖にたつ霧がオレンジに染まる。精進湖、西湖などが狙い目。
●柿の木と富士山
富士宮や忍野村、御殿場などで日本らしい風景を狙おう。
【12月】
天候は安定している。雪はすっかり根雪となり、冬富士の姿となってくる。しかし地肌もまだ目立ち、それに天候が安定すればするほど雪は少なくなってしまう。周辺の林道などは、まだ冬の通行止めに入っていないところが多いので、雪さえ十分着いてくれれば、変化に富んだ冬富士の撮影が手軽に楽しめる。
●彩雲
太陽の位置が低くなるこの季節は彩雲(彩雲:太陽の近くにある高積雲などの縁が美しく五色に輝く現象)になるチャンスが多い。撮影地は午前中は朝霧高原、午後は梨ヶ原。