 |
彼女との出会い
|
| 僕が彼女に出会ったのは、ある映画のプロモーションで、岩井俊二とい |
| う監督がテレビ出演した時のことだった。その映画のワンシーンを見た僕 |
| は、ただ漠然と、この映画を観たいと思ったのだ。そこには夜のプールで |
| 泳ぐ彼女がいた。もちろん名前や年齢などわからない、それに、その映画 |
| のタイトルすらずっと後になってから知ったのである。 |
| それからというもの、少しづつ彼女の名前を目にするようになった。(当 |
| 初「奥菜」という苗字の読み方に確信が持てなかったのは言うまでもない) |
| そしてある日、彼女のファースト写真集が発売された。だが、僕には |
| それを買うだけの勇気がなかった。それは、当時の僕にとって、なぜか |
| 写真集というものは不健全なものという認識があり、それに比べるとま |
| だエロ本のほうが健全であるとさえ思えたからである。そして何より、そ |
| の時点ではまだ彼女のことを、それほど意識していなかったのだ。しかし、 |
| それで良かったのかもしれない。もし、あの時写真集を手に入れていた |
| ら、きっと初めて「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」を観 |
| た時の新鮮さと感動は無かったのではないだろうか。 |
「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」
|
 |
|
それは、僕がいつものようにレンタルビデオ屋でビデオを借り |
|
ようとした時だった。普段はある特定のジャンルしか借りない僕 |
|
が、たまには違った作品でも観ようと思い、邦画のコーナーに立 |
|
ち寄ったのである。その瞬間、僕の脳裏に今まで忘れていた記憶 |
|
が蘇えってきたのだ。 |
|
そこにはなんと、岩井俊二監督作品「打ち上げ花火、下から見 |
|
るか?横から見るか?」があるではないか。僕は迷わずそのビデ |
|
オを借りた。そして今までその存在を忘れていたことにひどく後 |
|
悔をした。 |
|
その映画で主演をしていた彼女は「及川なずな」という小学生 |
|
の役を見事に演じきったのだ。少なくとも、ひとりの男の人生に |
|
おいて多大なる影響を与えるくらい見事に・・・ |
|
すべてはそこから始ったのである。1997年6月の出来事だ |
|
った。 |
|