11.まだまだ春原


「む……」

ふと目を覚ましてみると、春原の部屋だった。
これでもかというほどに散らかった辺りを見回した後に、カーテンと窓を全開まで開け放つ。
吹き込んでくる朝の風が気持ち良い。
じろりと足元を覗いてみれば、春原が気持ちよさそうに寝転がっている。

「おい春原。起きろや」

がしがしと蹴りとばしてみるが、反応は皆無。
どうもこいつは朝に弱くていけない。
ひとつため息をついてから、大きく息を吸い込んでヤツの耳元で叫んだ。

「ラグb――」
「おぉうっと!!!! おはよう岡崎!!!!」

言葉を紡ぎ終わる間もなく神速で起き上がる春原。
近頃バケモノじみてきたな、こいつも。

「おい、春原。昨日何があったか覚えてるか?」
「いや、全然」

学年集会で暴動が起こった所までは覚えている。
なんだろうか、そこから先は、忘れているというより思い出したくないような気が……。

「あぁっ!! もうこんな時間じゃねえか!!」

壁にかけられた時計を見つめて悲鳴をあげる春原。

「ああ、そうだなあ」
「やっべ、優等生の基本は規則正しい登校からなのに!」

まだ優等生とか言ってやがったんですかこいつは。

「時間が無いから、着替えながら登校しろ。それで間に合う」
「良いねそれ! ……って、半裸で登校かよ!!」
「ほら、パンを食いながら遅刻ぎりぎりで走っていくシーンってあるじゃん」
「いや、それ違うし」
「もちろん曲がり角で、美少女の転校生とぶつかる素敵なイベントつき。半裸のおまえと」
「転校初日からトラウマになるだろうが!!」

いつものように、朝の爽やかな会話を繰り返し、俺は思う。

「どうも俺が思うに……」
「ん? なんだよ岡崎」

ああ。

「今日は学校へ行かないほうがいいと思う。ヤな予感がするから」

昨日、ヤなことがあった気がするから。

「やだよ、僕はこれから私生活まで含めて良い方向に改めるんだから。休むくらいなら半裸で登校したほうがましだねっ!」

良いこと聞いた。

「じゃあオマエ今日は半裸な。半裸で登校して、半裸で授業受けて、半裸で飯食って、半裸で下校しろよ。それなら俺も学校へ行くのが楽しくなる」

春原半裸に大決定。

「いやさ……そこは軽く笑って、ナイスな突っ込みをいれてほしかったんスけど……」
「半裸ー 半裸ー 春原君の半裸ー」
「歌うなっっ!!」
「じゃあ、登校するか」
「ちょっと待てよ!! まだ着替えてねえよ!!」
「半裸GO」
「もうオマエ嫌……」

着替えてから登校しました。





2004/7/15


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