14.占い朋也


 喧騒の溢れる昼休み。智代の所に行こうと春原を探していたら、藤林の占いの列に並んでいるのを見つけた。

「何やってんだお前」
「ん? 見れば分かるだろ。占ってもらおうと思って」

 春原は、さも当たり前のように笑って答える。

「何をだ」
「いやあ、僕のこのごろまじめになったじゃない? だからそろそろ相手が欲しいなあってね」
「喧嘩相手か」
「恋愛の相手だよ!」

 単純なやつである。

「そんなものは藤林に任せるまでも無い。そうだな、俺が占うから任せろ」
「あれ? 岡崎って占いできたの?」
「ああ、俺には既にお前の前世まで見えてる」
「マジでっ!? どんなだった!?」
「貧しい百姓の家で、生まれた瞬間に虚弱体質で亡くなった」
「三秒で前世終了っスか!!」

やつの言葉を綺麗に流し、そうして俺は占い師モードに入る。

「さあ、迷える子羊よ。お前の悩みを打ち明けて見せろ」
「占いというより懺悔みたいなんですけど……」

 なんやかんや言いながらも、素直に従う春原。

「僕の恋愛運を占って!」
「人生はいつも向かい風ではない。いつか必ず追い風が吹くと信じて、泥にまみれながら耐え生きろ」
「いや、それは人生相談だろ!!」

 占ってすらいねーし。

「三階の窓からダイブしてみろ。当たり所がよければ理想の女性が見えるかもしれない」
「それは死神って言うんじゃないんですかね!?」

 全く持って我侭なやつである。

「分かったよ。ここにトランプが四枚ある」

 裏にした四枚のトランプを扇状に広げ、春原の目の前に差し出す。

「お前の好きなカードを一枚取れ。それでお前の相手女性が分かる」
「マジで? なんか本格的じゃん」
「ああ、カードの絵柄から判断する高度な占いだ」

 カードと春原の間で睨み合いが繰り広げられる。
 春原は、まるで未来をも見通すかのようにカードを見据え、

「ラブパワァァァァァァァァ!!!」

 気合の烈波と共にこれぞと言うカードを引き抜いた。
 当たったカードは、

「ふむ。ハートのクイーンか」
「なんかよさそうじゃない!?」

 ふーむ。

「春原、カードの絵柄が見えるか」
「うん。12だからクイーンが描かれてるね」

 うむ。

「彼女こそお前の理想の女性だ。老けない、食べない、動かない。絶えず微笑む彼女の姿はきっとお前を幸せにするだろう」
「絵柄から占う、ってそのまんまかよ!!」

 あたりめーだ。

「キングを引いたらどうなってたんですかねえ!?」
「安心しろ。四枚ともクイーンだ」
「鬼かあんたは!!」

 昼休み終了。





2004/11/7


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