――バン!!


生徒会室の無機質な机が、盛大な音とともに派手にゆれる。

「おまえが問題など解いたら、皆が怖がるだろう!!」
「だから、なんなんだよそれっ!!」

回し蹴りの味を忘れたわけでもなかろうに、生徒会長である智代の尋問にまったく臆さずに答える春原。
俺の言いたいことは、ただひとつ。

「……何で俺まで付き合わなくちゃならねえんだよ」

不毛な弁論大会に没頭していた二人が、夢から覚めたかのように同時にこちらへ視線を向ける。
われ先にと口を開いたのは銀髪智代。

「む、朋也……おまえにはやってもらいたいことがある」
「やってもらいたいこと?」
「ああ、そうだ」

そう言い放ったかと思うと、智代は生徒会室の入り口へのしのしと歩いていき、掛け声とともに、何やら大きなものを抱えて持ってきた。

「今回の重要参考人だ」

彼女が抱えて持ってきた物……というか者は、

「……ことみ?」
「今回の事件の際、春原が声を大にして彼女の名前を叫んだというじゃないか。関係ないはずがないだろう」

確かにことみである。
だけどちょっと問題あるんじゃないかな……だって、

「こいつ、本読んでるじゃん」

引きずられようが、落とされようが、まったく意に介した様子はなく、ただ一心不乱に読書を続けていることみ。

「うん。どうやっても私に気づいてくれないので、図書室から引っ張ってきたんだ」

相対する、まっする智代ちゃん。

「この状態の彼女を解き放てるのは朋也だけ、と、まことしやかに噂されている」
「ああ……そういうことね……」

俺はゆっくりと鼻を鳴らしながらことみを眺める。
えーと……こいつのトリップ状態を解除する言葉は……。

「ことみ」
「……」

……じゃ、駄目なんだよな。
相も変わらず本を読みつづけている。
んー……

「ことみ……ちょん?」
「(ピクッ)……」

あ、ちょっと反応したかな?

「ことみ……ちん?」
「(プルプル)……」

微妙に首を振っている。
これは無意識なのだろうか。

「ブレインクラッシャーことみちゃん?」
「……(プィッ)」

微妙にすねたような気がする。
……このへんにしとくか。

「こ・と・み・ちゃん?」
「……なに?」

お、反応したぞ。

「……???」

状況を理解していないらしい。

「あなたは、朋也くん」
「ああ、そうだ」

確かめるように指を指す。

「あなたは、智代ちゃん」
「うん、そうだぞ」

そして、自分を指差す。

「私は、ことみ、ひらがなみっつで、ことみちゃん」

平仮名むっつに聞こえるのは俺の耳が悪いからだろうか。
最後にゆっくりと春原を指す。
そして……

「???」

ハテナだらけだった。

「学名が思いつかないらしいな」
「普通の人間だよっ!!!」

2004/6/2


NEXT>>

タイトルヘ / topへ