「アホウドリ 学名:Diomedea albatrus 分類:ミズナギドリ目アホウドリ科 亜種:なし 英名:Short-tailed Albatross 漢字:信天翁、阿呆鳥 ――」
「……」
「……」
「……」
生徒会室にはまるで念仏のように、ことみの知識の泉が広がっている。
「別名:ばかどり(福島)、ばかどり(北海道)、うまおいどり、あんけ、ばかどり(新潟)、あおうどり、いかりご、ぽぽいかる(山形)、まいどり(岩手)、でれすけでーべー、ばかどり(茨城)、ばかつとり(群馬)、あまどり、ばかどり、ほいほい(静岡)、あわう、ばかかもめ、まほ(石川)、ばかつどり(神奈川)、あほうどりばか、なふりどり、ひとなぶり、ほいほい、おしどり(奈良)、あほめ(滋賀)、おちだまし、ばかどり(島根)、ばかどり、ろーまん(和歌山)、かご、たいぼ、どろかもめ(鳥取)、ばかどり、ほーほーどり、ほーほー(広島)、ほつこどり(香川)、あほう、あほーどり(佐賀)、つるつく(愛媛)、ばかどり、べーのとり(長崎)、よどり、ばかどり(宮崎)、あほどり(熊本)、でのとり、さむれどり、でうんどり、ばかどり、ほほどり(鹿児島)、あとも、かゆめ(奄美)、あほう(徳之島)、ばかどうい、ばかどる(沖縄島)――」
「ことみ、もう良い」
俺がそう言うと、ぴたっと動きを止める小さな口。
それと同時に、くりっとした可愛い眼を心の底から不思議そうにこちらへ向けてくる。
「でも……それだと、そこにある物が何なんだかわからないの」
「うん、それは大変だ。だけどな? その前に俺達がノイローゼになる可能性が大分に高いことを考慮してくれよな?」
「???」
お約束というか、相も変わらずハテナだらけである。
「というか……何で僕の考察にアホウドリが出てくるのかが、ハテナだらけで心の底から不思議なんですが。っていうか物かよっ! もう人間ですらないんですか僕は!?」
「前からじゃねえー?」
「黙れそこっ!!」
ことみと同じ用を成す器官だとは思えない大口を開けて、若干の憤慨を伴いながら乗り出してくる春原。
「ことみちゃん、忘れちゃったのかよぉーーー?」
「???」
完全に、無欠に、言い訳の程も無く、これっぽっちも、塵ほどでさえも覚えていないらしい。
「お、いつものように勢い余って他人を襲う気か?」
「僕のリアルはそんなんじゃねぇーーー!!!」
なんだか収拾がつかなくなってるのな。結構俺のせいかも。
「大丈夫なの、基本として単細胞生物は生殖能力を有さないの」
「僕はこれでも多細胞生物で霊長類なんですけどねぇ!?」
「春原は分裂して繁殖するのか、すげえな見直したぜ。っていうか気色わりぃよ。近寄るな」
「ううううううう」
あ、春原が何かに耐えてる。
ヤツは髪をかきあげ、場にいる三人を見やると、燦然と輝く笑顔を浮かべ、背中を向けた後、
「僕の世界は敵だらけだーーーーーーーーー!!!!!!!」
生徒会室の扉を破らんばかりのスピードで走り去っていった。
「……いじめすぎたか」
「???」
「頼んだぞ朋也」
あ、俺が追うのね?
2004/6/3
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