5.色々風子
やや傾いた太陽の光が差す生徒会室の廊下。半分だけ開けられた窓から入り込んでくる爽やかな風。
「ちくしょおぉぉぉぉぉぉ−−−−−−−!!!」
そんなお膳立て全てをどうしようもなくぶち壊す、愉快な叫び声。
「おーい、すのはらー。そっちは行き止まりだぞー」
「嘘つくなよコンチクショーーーーー!!」
「……???」
よく意味も分からず俺についてきていることみが微笑ましい、というかアヒルの子供かこいつは。
「ことみ、あいつの行動を分析するんだっ!」
「怒りは基本的感情の一つで、通常は欲求充足が阻止された時にその阻害要因に対して生じるの。その場合は攻撃行動を伴うことが多いの。生理学的には、怒りの状態では 交感神経系が活動し、血圧の上昇、心拍数の増加などの覚醒が生じるの。表情は種や文化を越えて類似していて、眉が引き寄せられて下がり、口が四角く開かれる攻撃的状態になるの。怒りの表出は人間では発達とともに変化する――」
意味わかんねぇぜヒャッハー。
「いや、怒りの定義は良い。今のあいつはどういう状態なんだろうなっ?」
「通常、怒りを感じた場合の人間の行動は約五通りなの。彼の行動パターンはその中でも、逃避行動、と呼ばれているパターンに著しく似通っているの」
「だってよー! すのはらーー!!」
「うるせーうるせーーーー!!」
三人分の足音がバタバタと廊下に響く。
あー、そういえば春原ってスポーツ推薦で、運動神経はサルみたいに良いんだっけか。
どうしたもんかなーはははー。
「おーい、すのはらー。そっちへ行くと落とし穴があるぞー」
「騙されるかアホーーーー!!」
「ほら、その昔、俺と春原がその落とし穴に青春の友情を誓い合ったじゃないか」
「誰がそんなもんに誓うかっっ!!!!」
「通常、落とし穴は――」
なんか収拾つかなくなってるし。
……。
良いか。春原が楽しいから。
「僕は楽しくねぇーーーー!!」
「人の心を読むなよ」
「通常、読唇術や読心術としてのとしての技術は――」
そんな中、春原が脱兎の如く駆け回っている向こう側の教室から、突然と人影が現れる。
危ないぞ、そこー。
……?
……んー?
ちっこい。ヒトデ。彫刻刀。
イエスッッ!! 良いタイミングだ。
神よ、教師を敬うぐらいには感謝します!!
「風子っ!! そいつを止めるんだっっ!!!」
「!!??」
風子です。風子ちゃんです。
ヒトデ、彫刻刀、愉快な悪口、三つの凶器を合わせ持つ彼女にかかれば春原なんてイチコロだぜ! いちころー。
「やれっ!! 風子っっ!!」
「なんですかっ!? この果てしなく限界までアグレッシブ及びエキセントリックな展開は!!?? 風子は中世ヨーロッパでも評判になるぐらいのおしとやかな女性ですっ!!」
何言ってんだかよく分からなかった。
「風子ちゃあぁぁぁぁぁーーーーん!!??」
「展開が理不尽ですっ! ミニチュア最悪ですっ! そこはかとなく陰謀の香りがしますっ!」
必死で目の前の風子をよけようとする春原。
ストップ&ダッシュを、バスケット程にでもないにせよ、かなり激しく繰り返すサッカー畑出身のすのぴーである。
「キット&カットだ春原っっ!!!」
「どこの言語っスかそれーーーーーーーーーーーー!!!!!????」
――どーーーん
……。
…………。
………………。
「風子と人格が入れ替わったっ!!!」
「誰が入れ替わるかボケッッッ!!!!!!」
〜たぶん後書き〜
多分続く。
2004/6/20
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