7.迷子の春原くん


午後の資料室。
俺は皆の前に立つと、大声で開会を宣言した。

「えー、これより、宮沢の提案によって実現した、『この世にミラクルは存在するのか! 天地森羅万象をひっくり返してまで果たして実現する価値があるのか!? っていうかなんで俺がこんなことしなくちゃなんねえんだよ!! 春原を優等生にしようぜ会議』を始めます」
「嫌なタイトルっスね……特に後半の響きが」

この会議はその名の通り、春原を優等生にするための意見交換を交わす会議である。
俺は少しばかり辺りを見回した後、びっと指を突きつける。

「鋭いボケを期待してことみ。ファースト意見を頼む」
「絶対やる気無いですよね、あなた……」
「???」

ことみは、ふんふんと頷きながら、その全国の頂点に立つであろう脳をフル回転させる。
どこの頂点は、はなただ疑問だが。
そして、数秒ほど考えた後にゆっくりと口を開いた。

「イメージソングを作るの」

ボケなのか本気なのか非常に判断に困る意見だった。

「彼の歌を作って、みんなで歌うの。良い歌を作れば、みんな楽しいの」

どうやら本気らしい。

「良いねそれっ!」

こいつも乗り気だし。

「朋也くんが考えるの」
「マジか……」

そうだなあ……。
……。
…………。
…………うむ。


「『ある日 森の中 春原に 出会った♪』 ……うわ、出会いたくねぇ……」
「ちげえーーー!! それちげえよ!!!! 森のくまさんじゃねえかよ!!!!」
「しょうがねぇなあ……」

……。
…………。
…………うむ。


「『迷子の迷子の春原くん あなたのお家はどこですか♪』 ……ああ、オマエ、ストリートチルドレンだったっけか」
「オマエいっつも僕の部屋に入り浸りじゃないっスか!!!!」
「ああ? これでも駄目だって?」

……。
…………。
…………うむ。


「『岡崎くんからお手紙着いた 春原くんたら読まずに食べた♪』 ……意地汚ねぇなあ春原」
「誰が食うかっっ!!!!!」
「あー、もうお手上げだなあー」

米人のように首を振りながら、ハハーンとお手上げしてみる。

「チクショーーー!! 有紀寧ちゃん、岡崎がいじめるよおー!!」
「『泣いてばかりいる春原くん♪』」
「オマエのせいだよ!!!」

ことみ作戦失敗。



2004/6/28


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