士郎くん乱心



「せいばぁー」

和室にシロウの声が響き渡る。
さっきまで昼寝でもしていたのだろうか。聞こえてくる言葉はふにゃふにゃとしていて、どうにも聞き取りづらい。

「どうしたのですか、シロウ」
「ん〜」

まさか寝言で私の名を呼んだわけではあるまいか。
それはそれで嬉しくもあるのですが。

「今日の食事当番って誰だったっけー?」
「はい、確か今日はリンの番でした」
「ん〜」

先ほどと同じ言葉を繰り返すと、シロウは気だるそうに言う。

「じゃあ、今日はセイバーが当番やってくれ」
「はい。……は? ……えぇ!?」




私はゆっくりとシロウの言葉を反芻する。

『じゃあ、今日はセイバーが当番やってくれ』

いまいち理解しきれない。
何故私が?

「シロウ、何故私がそのようなことをする必要があるのですか。リンの料理の腕前は貴方も知っているでしょう。まったくの素人である私がいても、足手まといになるだけです」
「だからそれだよ」
「は?」
「何が良いって」


「面白い」




「それで貴方は、のこのこ私のところへやってきたわけ?」
「……はい」

リンは台所で夕飯の準備に勤しんでいた。
私に詳しいことは知りえないが、かなり力を入れている、といった様子が感じ取れる。

「セイバー、貴方、料理の経験は?」
「全くありません」

ふふーん、とリンは鼻を鳴らす。

「衛宮くんの意図は大体わかるわ。大丈夫。私は貴方に絶対失敗させないから」
「は、はい! お願いします、リン!」

良かった、教え好きの彼女なら丁寧にやってくれそうだ。




「一から手順を教えるからね。どんなずぶの素人でも間違わないくらい丁寧に。よーく聞いていてね」
「はい。どうぞ」

リンは私に絶対失敗させないと言った。
いったいどんな風に私に料理を教えるのだろう。
ちょっとどきどきする。
だってこれが初めての料理経験なのだから。

「まず心得」
「はい」



「食材は包丁で切ります。エクスカリバーは使っちゃ駄目よ」
「それぐらいは分かります」


2004/4/2


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トップで掲載した実験作。
ネタは即興。
続くかもとか言って、続かなかったヘタレ。


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