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JBNリオデジャネイロ事務局便り no.1 2003年 6月15日発信

リオ便り 第一弾

 日本ブラジルネットワークでは、このたび日本事務所を縮小し、ブラジルでの活動をさらに効果的、効率的に進めていくため、ブラジル・リオデジャネイロでの事務所の強化を図っております。そして日本からボランティアやインターン生もこちらで活動を始めております。今後、そういった活動の様子や、日常生活から感じること、リオデジャネイロの生活情報などを、JBNリオデジャネイロ事務局便り「リオ便り」として報告いたします。さらに充実させ、ブラジルのニュースなどもお知らせできればと頑張っておりますので、よろしくお願いします。


 ブラジルは南半球なので、日本と季節は逆で、現在は秋です。朝夕肌寒い日もたまにはありますが、基本的には半袖シャツで暮らせます。日中は日が差していると日本の真夏とほとんど変わりません。
 
 一月にリオに移ってからは、世界社会フォーラムへの参加や、一時帰国等々が重なりあわただしく時間が過ぎていったのですが、この4月中旬からは、比較的落ち着いた生活を送っております。

 落ち着いて生活をはじめると、今まであまり見えてこなかったものや、気にしていなかったものが気になるようになります。リオは現在かつてないほど治安が悪くなりつつあり、麻薬組織と警察の銃撃戦や麻薬組織によってバスが燃やされるなどのテロが頻発していました。これは1月からのことであり、3月のカーニバル直前がもっとも危険な時期でしたが、いまだに麻薬組織の暗躍は続いております。ある大学では大学生が殺されることもありました。リオではいつものことといえばいつものことなのかもしれませんが、リオ出身の友達も生まれてから初めてと言っているほどでした。私達のJBN事務所は大学内にあり、学園農村(都市ではないのであえて学園農村)なので比較的平静を保っているのですが、4月には講義中に大学内の銀行にも武装した強盗団が押し入りました。
 麻薬組織による犯罪が起こると,武装した警官隊がスラム地域に押し入り、しらみつぶしに犯人探しを行います。その映像はテレビなどでも放映されますが、都市のゲリラ戦を髣髴させ、リオ市内は麻薬組織と警察が戦争状態にあるといっても過言ではありません。警察関係者も毎日のように麻薬組織によって殺されています。このような状態の中、一方では治安当局の責任者と麻薬組織の癒着が告発されています。

 こういった状態になると、富裕な人たちは自分達の命、家族、財産を守るための安全対策に必要以上のお金を投じ、また、貧困地域の人々の人権よりも、安全が優先されます。警察のスラムへの捜査、攻撃なども人権が十分に守られているとは言いがたい状況が容易に想像できます。また、富裕層の人々は,スラムや貧しい人々を警戒し、その怖れが軽蔑や差別にもつながっていきます。

リオの街中、路上、バスの中などでは、物売りや物乞い、乞食など、様々な人々を見ますが、私は最近、この人たちはよく犯罪や暴力に身をゆだねないで地道に頑張っていられるなと逆に感動してしまいます。このような貧しい人々は、高等教育の機会も得られないため、ほとんど雇用の機会もなく、得られたとしても非常に悪条件のものとなります。最近は、スラムや麻薬組織の実話などをもとにした映画も多いですが、その中でも「蔑まれ、便所でくそまみれになって虫けらのように死ぬくらいなら・・・」といって麻薬組織で暴力と犯罪に身をゆだねる人々がいます。その一方で、かろうじて暴力に頼らず、路上で必死に生きている人たちが居るのです。麻薬組織のリーダーは現在投獄されていますが、そこから様々な事件を指示していると言われています。彼はコロンビアに逃亡中、コロンビアゲリラのFARCから効果的に人民を恐れ慄かせる方法を学んだそうです。かつて私がコロンビア、ペルー等のブラジルよりさらに不安定な地域に行ったときにもリオと似たような状況だったことを思い出します。このような貧富の差と麻薬および麻薬組織の構造がいかに地域の発展を困難にしているかを身にしみて感じております。

私達の事務所からリオ市内への道のりは、このようなスラム地域一体を通るので、リオ市内と事務所の往復をするたびにこのような様々なことを考えます。
私のかかわっている活動である農村地域の持続的な土地利用は地域の安定化を目指すものでもあります。このようなスラムの拡大は、農村地帯の大土地所有制と非効率な雇用を吸収できない非持続的な土地利用が一因となっており、農村で暮らせなくなった人たちがリオやサンパウロの市内へと流れ込み、スラムを形成しています。

現在、私達は活動の一貫としてこのような農村地域についての法制度、政策についての報告をまとめています。
私たちが活動している大西洋沿岸森林地域(マタアトランチカと呼びます。)は、かつて全ブラジル面積の12%を占めるほどの広大な森だったものが、全ブラジル面積の1%足らずになってしまっています。マタアトランチカの歴史はブラジルの歴史につながり、マタアトランチカにおける持続可能な土地利用は、ブラジルの最重要課題の一つといわれております。マタアトランチカの有する固有種および生物多様性はアマゾンに匹敵するとの研究報告も多くあり、絶滅の危機に瀕しているもの、まだ、知られていない利用可能性のある多くの植物が存在しているといわれております。
破壊された93%の森林は、現在は、さとうきび園、牧場、ユーカリ植林、荒廃地など、大土地所有制が中心となっており、地域住民の雇用を吸収できず、多くの人々がリオ市内等の大都市圏でスラムを形成したり、土地なし農となって地域の不安定要因となっております。こうしたマタアトランチカ地域からアマゾンに流れていった木材業者も多くおります。

JBNでは、この土地の効率的な利用、アグロフォレストリー、家族農業や多様な樹種の植林のプロジェクトを進めています。これまでもマタアトランチカの残されたフラグメント状の森林から地域住民と共同で種子採集をし、データバンクを作るというネットワークを構築してきました。現在は、そこで得られた種子をアグロフォレストリーに利用するという段階に向かっております。マタアトランチカはすでにそのほとんどが失われましたが、アマゾンはこのマタアトランチカの破壊の歴史を現在も繰り返しているともいえ、法制度や政策もお互いに影響しあっております。

 今後は、このマタアトランチカでの経験を活かし、アマゾン地域の発展のための活動につなげていく予定です。

 


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