![]() |
JBNリオデジャネイロ事務局便り no.2 2003年 9月15日発信リオ便り 第2号日本ブラジルネットワークでは、このたび日本事務所を縮小し、ブラジルでの活動をさらに効果的、効率的に進めていくため、ブラジル・リオデジャネイロでの事務所の強化を図っております。そして日本からボランティアやインターン生もこちらで活動を始めております。今後、そういった活動の様子や、日常生活から感じること、リオデジャネイロの生活情報などを、JBNリオデジャネイロ事務局便り「リオ便り」として報告いたします。さらに充実させ、ブラジルのニュースなどもお知らせできればと頑張っておりますので、よろしくお願いします。 この6月から8月までの間、ブラジルは南半球ですので、冬となっています。私の住むリオデジャネイロは南回帰線の北側、熱帯ですが、この時期は寒い日が時々あります。しかし、ほとんど半袖で過ごせる毎日で、日が差せば日本の夏より暑い日もあり、冬とは思えません。 活動もだんだんと軌道に乗り、この期間には、予備調査や会議のために様々な場所へと行ってきました。赤道直下アマゾン河口の町ベレンから、ブラジル首都のブラジリア、そして現在の調査対象地であるマタアトランチカ(大西洋沿岸熱帯林)のサンパウロ州、リオデジャネイロ州の州境の山脈の近郊のパラチ、クーニャなどです。 生活にかかわる最も大きなニュースは、7月のはじめから事務所のある大学がストライキに入ったことです。幸い教授陣も大学院向けの授業は続けていますのでなんとか大学は開いていますが、大学のみならず、連邦政府の公務員の多くがストライキなので、調査やワークショップの計画が延期になっているものもあります。 ブラジルの大学でのストライキは良くある話で、そのために大学の卒業にかかる期間が、人によって大きく異なります。ストライキになると長いときは3ヶ月以上も続き、授業が行われないので、皆、実家に帰ってしまったりもします。現在、学部の多くの授業は行われておらず、多くの学生は帰省しました。ここの大学は、大学以外は何もない田舎で、学生の多くは大学の学生寮に住んでいます。しかし、ストライキに入ると、食堂や様々な施設が機能しないため、学生も生活が困難になるため,帰省してしまうのです。 というわけで、最近は事務所のある大学に行ってもあまり、人も居ませんし、食堂等もやっていないため、昼食を取るのも一苦労です。 現在、ブラジル政府は、ルーラ大統領の労働党政権になり社会保障改革(年金改革)、税制改革を行っており、今回のストライキはこの年金改革に反対するものです。ブラジルはそもそも公務員天国のようにも言われる国で、ある程度上級の公務員は非常に良い給料が得られますし、年金でもそれがほぼ100%保証されることもあります。政府の財政において人件費が大半を占めており、いろいろな政策を実施しようにもこの人件費、年金の国庫負担が重荷となってきました。 また、ブラジルは、世界一のレベルの貧富の差でも有名な国です。最近の国連開発計画の人間開発報告書の中で、ブラジルの上位10%の所得の占める割合は、下位10%の70倍と新聞が報じていました。 このような現状の中、社会保障改革、年金制度改革は、この不平等を是正するための一つの手段ともいえます。年金に上限を設定し、受給開始年齢を引き上げるというものです。この対象は主に、富裕層の公務員が対象となり、富裕層への配分を引き下げて、財政を改善し、その他の公共政策が効率よくできるようにしようというものですが、この上限や年齢引き上げに、連邦政府の公務員が反対しているのです。つまり、皆、ある程度、高収入を得て、高い年金を得ているエリート達のストライキです。彼らの中には40代に既に年金暮らしをはじめる人もいます。民間の人々が貧困で苦しむ中で、エリート達が40代後半で年金で裕福な暮らしをしている現状を改善しようという改革ですが、これに対するエリートの反対行動です。このストライキについては、大統領も「エリートが長期休暇をとっているようなものだ」と批判しています。 この年金改革は、これまでも歴代の政府が課題としていたものですが、実現できませんでした。民衆の広い指示を得ていたルーラ政権だからこそ実現しようとしていますが、改革を望んでいたはずのインテリ・エリート層もいざ、自分達の特権がなくなるとなると総反対というわけです。 これらの一連のニュースを見て、単純に考えると、政府の公金でエリートが厚遇の年金暮らしをするなんてひどいと思いますが、しかし、エリートにとってはその生活水準を保つために、それなりの補償が必要だと思っているのです。一国の中で、このようなことが起こっているので非常に不条理に感じますが、世界が一つの国と考えたらどうでしょう。 日本人が健康的でゆとりのある生活をするための社会保障・公共政策のための資金を「改革だ」と言って、途上国援助に使うといったら、多くの人は反対するでしょう。日本人の福祉厚生の充実は必要不可欠だと訴えるでしょう。ブラジルのエリート達も同じような感覚なのだと思います。私自身、この年金改革へのブラジルのエリートの態度を見て憤慨しましたが、世界を一つと考えたら、彼らの行動は自然なことなのかもしれません。そう考えると、私達が単純にこのエリートを責めることはできないのです。ブラジルは、国土が広大であり、歴史的にも既発展地域と、発展途上地域の差が非常に大きいです。南部の都市や工業、先進的な農業だけをみると先進国並ですが、非常に貧しい農村地域、そこからの移民を中心に形成されてきたスラム地域は、最貧国並みの場合もあります。一人あたりのGDPで単純に考えれば、ブラジルは発展途上国とは言えず、中進国といえるでしょう。しかし、その国の中に先進国と途上国が存在しています。近年、急速に発展してきたアジア等にも同じことは言えるのかもしれません。 活動についての計画もだいぶ進んできました。この9月くらいからはさらに現場に没頭することになっていくと思います。住民とのワークショップ等も計画しており、非常に楽しみです。
|
|
本ホームページに掲載されております記事に関する権利は、
連絡先
|